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確定給付企業年金がどのような制度なのか、理解していない方も多いのではないでしょうか。
確定給付企業年金制度は2004年にスタートした新しい制度です。従業員が老後の資金準備をするうえで企業年金は貴重な収入源になります。しかし、導入する制度によって受け取り方の違いや税金の額も変動します。
そこで今回の記事では、確定給付企業年金について詳しく解説します。他の企業年金との違いやおすすめの制度についても解説しているので、参考にしてみてください。
企業型確定拠出年金と確定給付企業年金との併用における重要な変更点に注目し、企業にどのような影響があるのかを分かりやすくお伝えします。
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確定給付企業年金は企業年金の一種で、労使合意のもと退職後に受け取る年金給付額を設定し、それに必要な掛金を企業が拠出する制度です。
年金を受け取る際、給付額が合意した金額に満たない場合は企業が差額分を補填するため、加入者には安心できる制度だと言えます。
企業年金には次の3種類の制度があります。
● 確定給付企業年金
● 確定拠出年金
● 厚生年金基金
確定給付企業年金はこの中の1つの制度です。それぞれの内容について、詳しく解説します。
正式名称は「退職給付制度」です。実際に世間で呼ばれているのは「退職手当」や「退職一時金」「退職金制度」等、さまざまな呼び方をされています。
確定給付企業年金は、労使合意のもと退職後に受け取る年金額を設定し、その額に見合った掛金を拠出して資産運用を行う制度です。
給付を受ける年金額は確定しており、年金資産に積立不足が生じた場合、企業は掛金を加算拠出する積立義務が課せられています。
そのため加入者にとって、年金資産運用の善し悪しに関わらず、一定の年金額を受け取る保障がされているため、安心できる制度だと言えるでしょう。
また、導入する企業や加入者である従業員にとって、税制上の優遇措置も充実しています。
企業側にとっての税制上の優遇措置 | 加入者にとっての税制上の優遇措置 |
拠出した掛金は全額損金算入が可能 | 拠出した掛金が所得税の控除対象 |
運用中の年金資産は特別法人税の課税対象 ただし、現在は凍結中(つまり非課税) | 運用で得た配当金・売却益は全額非課税 |
給付を年金として受給する場合は 公的年金等控除 | |
給付を一時金として受給する場合は 退職所得控除 |
確定給付企業年金には、給与の一部を掛金として受け取るか、給与としてそのまま受け取るかを従業員が選択できる仕組みの「選択制確定給付企業年金」があります。
掛金として拠出した給与の一部は非課税所得となる上、社会保険の算定基礎も対象外です。したがって、企業側のメリットも多く導入しやすくなります。
確定拠出年金は、拠出した掛金とその運用益との合計額を基に、将来の給付額が決定する年金制度です。掛金の拠出元によって2種類に分類されます。
● 企業型確定拠出年金 … 企業が掛金を拠出
● 個人型確定拠出年金 … 加入者が掛金を拠出
運用実績によって給付額が変動するため、リスクが高く感じます。しかし、確定給付企業年金同様の税制上の優遇措置が充実しているため、運用結果によっては有利になるとも言えます。
厚生年金基金は、厚生労働大臣の認可により企業が設立可能な法人です。(2014年4月以降は新設できなくなりました)
老齢厚生年金の一部を代行し、厚生年金基金が独自の上乗せを行った上で年金給付が行われるというのが特徴です。
しかし、昨今の運用悪化で大幅な赤字の基金が増加しているのが現実です。そのため、他の企業年金に移行するため、代行部分を国に返上したり、解散したりしており、実際の運用は減少傾向にあります。
確定給付企業年金のメリットやデメリットについて、企業側と加入者側とに分けてそれぞれ解説します。
確定給付企業年金は、加入者にもメリットが大きい制度です。したがって、確定給付企業年金の導入は企業の福利厚生の充実にも繋がります。
特に中小企業の場合は、退職金制度が充実していない企業が多いため、採用率アップや離職率の改善が期待できます。
確定給付企業年金の掛金は原則企業負担となりますが、その全額を経費として計上できます。
確定給付企業年金を導入すると、一定のランニングコストは発生しますが、社内で積み立てていく退職金制度に比べて、節税効果を得られます。
選択制の確定給付企業年金を導入した場合、加入者の社会保険料が変化します。
選択制確定給付企業年金は、給与の一部を掛金として受け取るか、給与としてそのまま受け取るかを加入者が選択できる制度です。
加入者が掛金として受け取った場合、給与から拠出される掛金は社会保険料の算定基礎からも除外できるため、社会保険料が変化します。
確定給付企業年金は、上限の規制はありますがその範囲内であれば柔軟な設計が可能です。
また、企業型確定拠出年金やiDeCoと称される個人型確定拠出年金などとの併用も可能です。
確定給付企業年金は、加入者(従業員)が受け取る給付額を予め設定し、積み立てます。
資産運用によって給付額が減ったとしても企業側が補填するため、受け取る給付額に変更はありません。
したがって、老後を始めとした将来設計を考えやすく、安心感が得られるでしょう。
確定給付企業年金は、給付要件が比較的易しく「加入期間が3年以上で退職した場合、老齢給付の受給要件を満たしていない人」などの一定条件を満たせば、退職一時金が給付されます。
そのため転職もしやすく、柔軟なキャリア設計が可能と言えます。
選択制の確定給付企業年金に加入した場合、納める税額や社会保険料が変化します。
選択制の確定給付企業年金は、給与の一部を掛金として受け取るか、給与として受け取るかを加入者が選択できる制度です。
加入者が掛金として受け取った場合、給与から拠出される掛金は課税所得から除外されるため、市民税や所得税の負担が軽減され、社会保険料も変化します。
確定給付企業年金は原則として厚生年金の被保険者であれば、従業員はもちろん、経営者や役員でも加入できます。
また、資産運用は企業の責任で行うため、従業員自身で資産運用を行う企業型確定拠出年金に比べると加入のハードルが下がり、結果的に前述の確定給付企業年金導入のメリットを受けやすいでしょう。
企業型確定拠出年金やiDeCoなどとの併用が可能です。
ただし、掛金の限度額を超えない範囲での設定が必要です。
確定給付企業年金は、資産運用結果により給付額に達しなかった場合、その差額を企業が負担する必要があります。
そのため、資産運用の方法については慎重に検討することが重要です。
確定給付企業年金を導入すれば、手数料などの一定のコストが発生します。企業型確定拠出年金にも共通するところですが、各委託会社の費用面を比較するといいでしょう。
資産運用は年金運用機関が行い、運用商品の変更はできません。加入者の自己責任で運用を行う企業型確定拠出年金と異なり、加入者ごとに積極的な運用ができないことがデメリットでしょう。
運用は年金運用機関、またはある一定の条件で企業も行えます。しかし、加入者には現在の状態がわかりにくいため、これが難点でしょう。
企業型確定拠出年金も確定給付企業年金と同じく企業年金の一種で、掛金は企業が拠出します。平成13年から導入されたこの制度は、資産運用の実績により受取金額が変動します。
よく似ている2つの制度について、異なる3つの点を解説します。
確定給付企業年金は、実際いくらくらいもらえるのでしょうか。
加入している企業年金の種類や拠出額・会社によって受給額は異なりますが、確定給付企業年金の受給年金額の調査結果は以下の通りです。
加入年金の種類 | 受給平均年金額 |
確定給付企業年金 | 100万円 |
確定給付企業年金 (基金型) | 58.4万円 |
出典 : 企業年金に関する基本統計 / 企業年金連合会(令和4年調査・令和3年度末現在)
また、確定給付企業年金の受取額は企業が運用する商品や運用結果によって異なるため注意が必要です。
次の3つの企業年金は、どれがおすすめなのでしょうか。
● 企業型確定拠出年金
● 確定給付企業年金
● iDeCo
それぞれの特徴に合わせた、おすすめの場合を解説します。
企業が企業年金を導入するなら、企業型確定拠出年金がおすすめです。企業型確定拠出年金制度の場合、原則、掛金は企業が拠出しますが、選択制企業型確定拠出年金(選択制DC)を選べば拠出額を抑えながら導入することができます。
また、資産の運用は加入者が行うため、万が一元本割れが起きたとしても、企業が責任を負う心配はありません。一方でうまく資産運用すれば、加入者は大きな利益を得られることもあります。
2002年4月に新しく始まった制度です。確定給付企業年金の場合、掛金の拠出も運用も企業が行います。また、加入前に労使で給付金額についての約束を交わしているため、もし約束の金額に満たない場合は企業が不足額を負担する必要があります。
双方にメリットが多い確定給付企業年金ですが、どちらかと言えば加入者に優しい制度であると言えるでしょう。
iDeCoがおすすめの場合は、企業年金を導入していない企業に務めている場合や、勤め先の企業年金には加入しているが、運用管理機関が選定した運用商品に満足できない場合です。
iDeCoは自身で運用する金融機関を選択できます。
確定給付企業年金はもっとも加入率が高い企業年金です。企業が掛金を拠出し、資産運用しながら予め設定した給付額を目指します。労使合意のもと給付額を定めるため、万が一、元本割れした場合でも、不足分は企業が補填して支払うため加入者にとっては安心感のある制度です。
一方、企業型確定拠出年金は資産の運用は加入者が行うため、元本割れが起きたとしても、企業が責任を負う心配はありません。また、選択制DCであれば、低コストで導入することも可能です。
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