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役員退職金はいつまでに支払う必要があるの?
退職前に支払う方法や退職後3年以内に支払う方法を解説
企業の役員が退任した際には、規程に沿って役員退職金を支払うことになります。高額な役員退職金を支払うことになったら、企業の財務に大きな影響を与えかねません。
役員退職金を支払うタイミングは、ある程度柔軟に調整できます。しかし、役員の退任を控えている方の中には、役員退職金をいつまでに支払えばよいのか疑問に感じることもあるでしょう。
今回は、役員退職金を支払うタイミングや支給する際のルールについて解説します。
役員退職金は、株主総会での決議後、速やかに支払うケースが一般的です。ただし、定款や株主総会の決議次第では、当該役員が退任する前に役員退職金を支給することもできます。
企業の財務状況的にまとまった支出が厳しいときは、支給時期を遅らせることも可能です。この場合、退任からおおよそ3年以内に支給額を確定させたうえで支給すれば、税務上の問題は発生しないとされています。
特段の事情がないにも関わらず、意図的に支給時期を後ろ倒しにすると税務署から「利益調整」とみなされる恐れがあります。もし税務署から指摘を受けると損金算入が認められず、追徴課税となってしまう点に注意しましょう。
基本的に、金額が確定してから速やかに支給すれば問題になりません。退職前や退職後しばらく経過してから支給する事情がある場合は、株主総会の議事録に、その理由を詳細に記載しておきましょう。
役員退職金を退職前に支給することは可能であり、規定された方法に則って処理されます。
この場合、株主総会での決議が不可欠であり、事前に支給額が定まっている必要があります。また、退職金支払いの手続きは、規程に基づいて行われなければなりません。
退職前の支給により、役員の経済的な安定を図ることができますが、企業側は退職金の適正額を十分に検討することが求められます。また、税務上の処理でも影響が出るため、この段階でも慎重な取り扱いが必要です。
正確な手続きや金額設定が行われていれば、支払いはスムーズに進み、無用なトラブルを避けることができます。
役員退職金は、退職後3年以内に支給する方法があります。
これにより、役員退職金が即座に支給されることが難しい場合でも、企業は適切に資金を準備し、支出を分散させることが可能です。一般的には一括または分割払いでの対応が可能であり、企業の資金繰りに応じて支払い方法が選択されます。(通常、退職の事実が発生した日から起算して1年未満の端数がある場合は切り上げて計算するケースが多いです。)
ただし、3年という期間があるため、支払いが遅れることなく行われるよう、企業は計画的な運用を心掛けるべきです。また、税務上の処理も重要なポイントとなり、支払った時期に応じて正確に計上する必要があります。
役員退職後の3年以内にこの支払いを適切に行うことが、企業の信用維持にもつながります。
役員退職金が退職後3年後に支給されるケースには、慎重な判断が求められます。
万が一、役員退職金が3年間未払いとなると、法人税上の影響が出る可能性があります。定められた期限を過ぎての支給では、法人が負う責任が増し、その後の税務調査で問題が発生するリスクがあります。
死亡退職金の場合は、受取者にかかる税務が相続税と所得税に分かれ、受取り時期によって税負担が変わるため注意が必要です。
適切な時期に支払われない退職金については、保険の利用を検討する企業もあり、リスクヘッジとして有効です。
このような予防策として、退職金の制度を整えておくことが推奨されます。
なお、役員退職金の支払いには株主総会の決議が欠かせません。退職金規程に基づいて退職金額を算定し、株主総会において詳細な事項(金額や支払い方法、支払時期)などを決議します。
株主総会の決議がなければ、適正な方法で退職金を支払ったことにならないため、税務署より指摘を受けて損金算入が否認される可能性が高まります。
役員退職金の計算方法は企業ごとに異なりますが、一般的に「功績倍率法」か「1年あたり平均額法」で計算します。
以下で、それぞれの計算方法について解説します。
功績倍率法は、役員の職務における功績や貢献度を考慮して退職金を計算する方法です。「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」で計算します。
例えば、最終報酬月額が50万円、勤続年数20年、功績倍率が2.0倍で計算をすると、役員退職金は「50万円×20年×2.0=2,000万円」です。
なお、功績倍率は以下のように、役職に応じて決められます(あくまでも一例で、企業ごとに倍率は異なる)。
代表取締役社長 | 2.5~3.0 |
---|---|
会長 | 2.0~2.5 |
専務取締役 | 2.0~2.5 |
常務取締役 | 1.5~2.0 |
取締役 | 1.0~1.5 |
監査役 | 1.0~1.5 |
功績倍率法は、役員の貢献度を適切に反映し、公平性を保つうえで優れています。
1年あたり平均額法は、役員の勤務期間に対して、同種同規模企業の役員退職金の平均額を乗じて計算する方法です。「同種同規模企業の役員退職金の1年あたり平均退職金×勤続年数」で計算します。
例えば、同種同規模の役員退職金の平均額が100万円で勤続年数が15年の場合、役員退職金は「100万円×15年=1,500万円」となります。
「同種同規模の役員退職金の平均額」を調査するのが煩雑なので、功績倍率法を採用して計算するケースが一般的です。また、何らかの事情で役員退任時の最終報酬月額が低く、これまでの功績を合理的に算出できないとき、1年あたり平均額法で計算することがあります。
功労加算金とは、役員が特に高い業績や顕著な貢献をしたときに、退職金に上乗せする仕組みです。必ずしも、すべてのケースで功労加算金が支給されるとは限りません。
「役員退職金×20%」のように、決定した役員退職金に対して一定のパーセンテージを乗じて計算します。功労加算金の規程を設ける際には、透明性を確保するためにも、具体的に「どのような業績を挙げたときに○%を功労加算金として上乗せする」のような明文化をしておくとよいでしょう。
役員退職金の支払方法は現金一括払いが基本ですが、場合によっては分割払いや現物支給となる可能性があります。
役員退職金の分割払いは、企業にとってキャッシュフローの負担を軽減する有効な方法です。
原則として役員退職金は一括支給ですが、分割払いについて株主総会で決議されており、分割払いを行う合理的な根拠がある場合は分割払いが認められます。
分割払いをする場合、損金算入時期は支給総額が確定した時点か、分割して支払うたびに費用計上する方法があります。
なお、役員退職金は年金形式での支給も認められており、年金で支払う場合は「退職所得」ではなく「雑所得」として取り扱います。役員個人の納税額に影響するに留意しましょう。
役員退職金を、現金ではなく株式や不動産、生命保険などの現物で支給する方法もあります。現物支給では現金の代わりに現物資産を渡すため、企業はキャッシュアウトが生じません。
分割払いと同様に、現物払いについて株主総会で決議されており、現物払いを行う合理的な根拠がある場合に認められます。もちろん、退任する役員本人の同意も必要です。
ただし、現物支給を行う場合には現物資産の評価額を適正に評価しなければなりません。支払うときの「時価」で計算し、状況に応じて固定資産売却益または固定資産売却損が発生します。
役員退職金を支払う場面は、役員退任時だけとは限りません。昇進や分掌変更、現職中の死亡など、さまざまな状況によって退職金の支払いが発生する点に留意しましょう。
昇進に伴う退職金は、労働者が役員へ昇格したときにおいて、労働者としての貢献に対して支払われる退職金です。つまり、役員退職金ではなく一般労働者としての退職金となります。
規程に基づいて労働者であった期間の退職金を支給したとき、支給した事業年度の損金として算入されます。ただし、未払金に計上した場合には損金に算入されません。
分掌変更に伴う退職金とは、役員の担当業務が大幅に変更される場合に支払われる退職金です。以下のように、役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金を支給するケースが該当します。
ただし、退職金を未払金に計上した場合は原則として退職金に含まれません。
役員の現職中に死亡した場合は「死亡退職金」として支給されます。損金算入のルールは、一般的な役員退職金と同様です。
ただし、遺族への生活保障という側面があるため、速やかな支払いが求められます。死亡退職金は一般的な退職金とは異なり、所得税や住民税ではなく相続税の対象となります。
役員退職金は、適正な金額でなければ損金算入ができません。適正金額は一様に決められているわけではなく、企業の業種や規模、当該役員の業績などを評価して判断します。
税務署から「過大」と評価されるリスクを軽減するためにも、退職金規程を作成して合理的な支給基準を定めたうえで、株主総会での決議を経ましょう。退職金規程を作成しておけば、税務調査の際に支給額算定根拠を示すことができます。
なお、規程で計算方法や金額を定める場合は、業種や規模などを総合的に加味する必要があります。あわせて、役員の功績や企業の財務状況を考慮し、現実的かつ公正な金額を設定しましょう。
功績倍率法を採用する場合、支給功績倍率の上限は3倍とは限りません。3倍以下でも過大と評価されるケースや、逆に3倍を超える倍率で計算しても損金として認められるケースがあります。
また、支給額が法的に妥当であるかどうかの確認だけでなく、支給スケジュールが明確であること、他の役員とのバランスも整っていることも求められます。
役員退職金を支払う際には、株主総会で支払う金額やタイミングを決めなければなりません。企業の財務状況次第では、支払時期で退任する役員と折り合いが付かない可能性があります。
支払いのタイミングで悩まずに済む役員退職金制度が、企業型確定拠出年金です。企業型確定拠出年金は、加入する役員や労働者が自分で運用を行いながら退職金を用意し、退職するときに運用実績に基づいて一時金や年金で受け取る制度です。
実際に受け取れるのは原則として60歳以降ですが、59歳以下で退任したときも運用資産の持ち運び(ポータビリティ)が可能です。一般的な役員退職金のように、退職金規程の作成や株主総会の決議が不要なので、手続き面での負担を軽減できるでしょう。
なお、実際に受け取るタイミングは加入者自身が60歳以降、任意に選択できます。一般的な退職金制度よりも、柔軟性に優れているといえるでしょう。
企業型確定拠出年金は、非課税で運用できる点も大きなメリットです。役員が積極的に運用し、退任時に大きなリターンを得られていても、利益部分に課税されません。一般的な投資よりも有利に資産形成できるため、役員や労働者の老後生活をサポートできるでしょう。
役員退職金をいつまでに支払えばよいか、明確なルールはありません。実務上は役員退任後速やかに支給するのが一般的ですが、場合によっては分割払いや年金払いをすることもあります。
なお、役員退職金を支給する際には会社法に基づいて、株主総会での決議を経なければなりません。必要なプロセスを飛ばすと、税務調査を受けた際に指摘を受ける恐れがあるため注意が必要です。
日本企業型確定拠出年金センターでは、企業型確定拠出年金制度の導入をサポートしています。柔軟性が高い役員退職金制度の導入を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
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