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中小企業退職金共済の辞め方とは?解約や脱退の方法を解説
中小企業退職金共済(中退共)は、中小企業に勤務する従業員の退職金を用意するための制度です。福利厚生の一環として、中小企業退職金共済を導入している事業主の方もいるのではないでしょうか。
中小企業退職金共済を導入すると、事業主は掛金を拠出しなければなりません。導入後に経営状況が悪化してしまい、従業員が共済金を受け取る前に解約を余儀なくされる場面もあり得ます。
こちらの記事では、中小企業退職金共済の辞め方や必要な手続き、解約手当金などを解説します。中小企業退職金共済の掛金納付が難しい状況にある事業主の方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。
中小企業退職金共済を解約する条件は「解約について従業員の同意を得たとき」「掛金納付が困難な状況にあることにある点について厚生労働大臣から認定を受けたとき」の2パターンです。
以下で、それぞれのパターンにおける解約方法を解説します。
中小企業退職金共済の解約について、従業員の同意を得たときは以下の書類を用意したうえで、中退共本部契約課に提出します。
「退職金共済契約解除通知書(様式10)」は、中小企業退職金共済事業本部のホームページでダウンロードできます。
「共済契約の解除について共済契約者と被共済者間の同意を得ていることが分かる書面」は、共済契約者(事業主)と従業員で共済契約解除に同意したことが確認できる書面です。
電子メールを印刷して提出することも可能ですが、下記の要件をすべて満たす必要があります。
中小企業退職金共済は従業員の退職後の生活を支援するための制度なので、事業主が一方的に解約することはできません。事業主と従業員の双方で、合意することが前提となる点は押さえておきましょう。
掛金納付が困難な状況にあるという理由で中小企業退職金共済を解約する場合は、厚生労働大臣から認定を受ける必要があります。手続きを進める際には、まず中退共本部契約課に問い合わせを行いましょう。
掛金納付が難しい状況が一時的な場合は、解約せず一時的に掛金の納付を止めることが可能です。ただし、掛金の納付を止められるのは以下の事由に該当するときに限られます。
「事業主の責めに帰することができない事情」とは、具体的に天災や疾病の蔓延などが挙げられます。
単なる経営不振や資金難では、掛金の納付を止めることはできません。どうしても掛金の納付が難しいときは、掛金の納付を止めるのではなく解約を検討しましょう。
中小企業退職金共済を解約すると、解約時点における掛金の納付期間に応じて以下のように解約手当金が支給されます。
納付期間が12ヵ月未満 | 支給なし |
---|---|
納付期間が12ヵ月以上24ヵ月未満 | 支給あり (※掛金総額を下回る) |
納付期間が24ヵ月以上42カ月未満 | 支給あり (※掛金総額の100%) |
納付期間が43ヵ月以上 | 支給あり (※掛金総額を上回る) |
ただし、「新規加入掛金助成」または「月額変更(増額)助成」の助成を受けた場合は、解約手当金が減額されます。
以下で算出された額のうち、少ない金額が減額されるため注意しましょう。
「機構から助成を受けた分については解約手当金から減額される」というイメージを持っておくとよいでしょう。
なお、解約手当金を支給する際には従業員本人による請求が必要です。解約手当金は所得税法上「一時所得」として取り扱われ、確定申告が必要となる場合がある点も、従業員に伝えましょう。
昨今は従業員を確保するためにも、福利厚生を整備する必要性が高まっています。中小企業退職金共済を辞める代わりに、選択制企業型確定拠出年金をはじめとした代替案を用意すれば理解が得やすくなるかもしれません。
従業員が安心して働けるような環境を維持すれば、人手不足により事業継続が困難になるリスクを軽減できるでしょう。
中小企業退職金共済に替わる福利厚生制度としておすすめなのが、選択制企業型確定拠出年金です。選択制企業型確定拠出年金は公的年金の上乗せとなる私的年金を用意できる制度で、従業員が掛金を拠出しながら資産運用を行う特徴があります。
選択制企業型確定拠出年金 | 中小企業退職金共済 | |
---|---|---|
加入年齢 | 70歳未満 | 制限なし |
役員の加入可否 | 可能 | 不可能 |
掛金を拠出する人 | 従業員 | 事業主 |
掛金 | 上限55,000円 (最低額は規約によって異なる。 iDeCoと併用の場合は上限額が変わる) | 5,000円~30,000円の16段階 |
運用 | 加入者が資産を運用 | 基金が資産を運用 |
受け取れる共済金額 | 運用成績により変動する (元本確保型商品を選択すると変動しない) | 運用成績により変動しない |
掛金は従業員の給料から拠出されるため、事業主が掛金を負担する必要はありません。中小企業退職金共済のように事業主が掛金を拠出しないため、掛金納付が困難になる事態を回避できます。
なお、選択制企業型確定拠出年金は「選択制」という言葉があるように、確定拠出年金を始めるかどうかは従業員が自分の意志で決められます。加入は従業員の自由意思に委ねられているため、従業員の金融リテラシーの向上を図れる点もメリットです。
選択制企業型確定拠出年金に加入する場合、加入者は運用管理機関が選定した金融商品へ投資します(投資を行わない元本確保型商品もあります)。受け取れる共済金額は運用成績によって変動するため、リスクを取って積極的にリターンを狙いたいと考えている役員や従業員にとって、相性がよい制度といえるでしょう。
退職金制度をはじめとした福利厚生を導入することは、従業員の満足度を高め、長期的な雇用にもつながります。従業員は事業を支える貴重な存在ですから、満足度を高めて長く働いてもらえる環境を整備することは、長期的に見てもメリットが大きいでしょう。
中小企業退職金共済を始めたあとでも、途中で辞めることができます。事業主の方は、掛金の納付が難しくなったときに備えて辞め方(解約方法)を知っておくとよいでしょう。
中小企業退職金共済を辞める際には、従業員の同意を得るか厚生労働大臣から掛金納付の継続が困難であることを認めてもらう必要があります。また、解約する際には従業員への丁寧な説明も必要となるでしょう。
中小企業退職金共済を解約すると、従業員が退職後の生活に不安を覚える可能性があります。代替手段としておすすめなのが、事業主が掛金を負担せずに従業員の資産形成を後押しできる選択制企業型確定拠出年金です。
日本企業型確定拠出年金センターでは、選択制企業型確定拠出年金の導入サポートを行っています。実際に1,300社以上への導入支援を行ってきた経験を活かして、個別のシミュレーションを通じて最適な年金・退職金制度を提案します。
選択制企業型確定拠出年金を導入したあとの事務手続きもサポートするため、制度に詳しくない事業主の方もご安心ください。相談は全国対応となっているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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