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確定給付企業年金(DB)から企業型確定拠出年金(企業型DC)への制度移行について、日本企業型確定拠出年金センターが解説していきます。

2023年4月より日本生命保険が団体年金保険の予定利率を、現在の年1.25%から0.50%に引き下げると発表されました。続く超低金利やマーケットの状況から、将来に渡って予定利率を維持することが困難だと判断されたことが理由です。確定給付企業年金(DB)制度を採用している企業にとっては、財務計画に影響する大変重大なニュースです。今後、確定給付企業年金(DB)から企業型確定拠出年金(企業型DC=401k)への移行も加速するといった影響もありそうです。

今回は、確定給付企業年金(DB)制度から企業型DC(401k)へ移行するときのポイントを、日本企業型確定拠出センターが解説していきます。

 
 

確定給付企業年金(DB)の予定利率引き下げの影響

制度変更について確認しておきましょう

会社が従業員の退職金や福利厚生として導入している企業年金制度の一つに確定給付企業年金(DB)があります。多くの企業で導入されている企業年金で、加入した期間に応じて将来の年金額が予め確定されているものです。

将来の年金額を予め確定するということは、会社が従業員に給付金額を約束することでもあり、会社側に運用責任を伴います。

先日のニュースによると、日本生命保険は、2023年4月から、確定給付年金で扱う団体年金商品の予定利率を現行1.25%から0.5%に引き下げると発表しました。予定利率とは、保険料を運用する際に約束をする利率。同社によれば、対象となる確定給付年金の契約は約5,200団体、受託残高は6兆6939億円と説明されています。

日本生命の他、大手生保である明治安田生命、住友生命などは、当分の間現行の予定利率を維持するとしていますが、今後のマーケット状況によっては、引き下げが実施されないとは言い切れません。

この予定利率の引き下げが行われると、多くの確定給付企業年金(DB)を導入している会社に影響が生じるでしょう。会社は、将来の給付額を確保するために、資産配分を変更したり、運用商品の切り替え、掛金の引き上げなど、運用方法自体を大きく見直すといった対応を迫られるかもしれません。さらに、会社に運用リスクの大きい確定給付企業年金から、企業型DC(401k)へと制度移行を行うこともあるでしょう。確定給付年金(DB)制度を引き続き運用していくか、企業型DC(401k)制度へ移行するかは大きな選択です。制度設計をするための検討・準備期間も必要ですし、従業員への理解や同意も丁寧に進めなければなりません。どのような選択をするにしても、予め制度移行に関する注意ポイントを押さえておきましょう。

 
 

確定給付企業年金(DB)から企業型DC(401k)に移行するとき。確認しておきたいの5つのポイント

ポイント1 企業型DC(401k)へ移行するメリット

5つのポイントを整理しておきましょう

企業型DC(401k)は、従業員が運用した成果によって、将来受け取る年金が決定するのが特徴です。会社で拠出する掛金は損金算入が可能ですし、従業員が掛金を拠出するマッチング拠出制度や選択制DCの場合であっても、従業員には課税されません。運用中の運用益についても非課税のため、所得税・住民税の負担軽減が可能といった大きな税制優遇が魅力です。

なにより、会社にとっては確定給付企業年金(DB)のように運用リスクを負わないことから、退職給付債務や積み立て不足が発生しない点が大きなメリットです。確定給付年金(DB)は、従業員に対して支払う額を約束しているものなので、運用がうまくいかなければ支払額に満たないというケースも発生しますし、満たなければその分を補填しなければなりません。日銀の大規模な金融緩和策によって超低金利が続いている中、予定利率が引き下がるなど生じれば、利差損が大きな負担となります。さらに確定給付年金(DB)の場合は退職給付債務として認識しなければなりません。将来の退職金額のうち、当期までに発生した費用の累計額を債務とみなして計上します。反対に企業型DC(401k)は、掛金の費用計上のみですので、退職給付債務(負債)を計上する必要はありません。一定の掛金の負担だけを計画していけば、財務状態がシンプルで負担が少ないと言えるでしょう。

 

【確定給付年金(DB)と企業型DC(401k)の違い】

  DB DC
従業員

・退職時に給付される金額が明確

・中途退職時に受給可能

・投資知識がなくても、会社が運用 
 してくれる

・自分の運用次第で資産が決まる

・ポータビリティがあり、転職時な
 どに有利

・投資の知識が必要

・中途で引き出しが不可

会社

・積立不足負担の可能性がある

・退職給付債務が発生する

・積立不足が発生しない

・退職給付債務が発生しない

・従業員への投資教育などの義務が
 発生する

ポイント 2 確定給付企業年金(DB)の積立不足の解消

確定給付企業年金(DB)から企業型DC(401k)に移行は可能です。とはいえ、その移行については、積立不足がある状態のまま移行はできません。企業型DC(401k)へ移行する場合で、積立不足がある場合には、原則、不足分を補てんする必要が生じます。

確定給付企業年金(DB)制度を廃止して、すべての資産を企業型DC(401k)に移行する場合には労使合意も必要です。不足分の解消が難しく、給付の引き下げを行う場合にも労使協議を重ね、合意形成しなければ移行はできません。そのためのシミュレーションは必須です。新たに移行する企業型DC(401k)制度の水準が移行前の給付額の水準を満たしているかなど検証を行い、従業員の理解を得なければなりません。不利益が発生する世代や職種などがある場合は、経過措置の検討も必要でしょう。

 

ポイント3 制度を併用するときの掛金限度額

確定給付企業年金(DB)を利用しつつ、企業型DC(401k)を導入するといったケースもあるでしょう。ただし、掛金の拠出については、制限がありますので注意が必要です。

企業型DC(401K) 確定給付企業年金
(DB)なし
iDeCo併用なし 月額55,000円
年額660,000円
iDeCo併用あり 月額35,000円
年額420,000円
確定給付企業年金
(DB)あり
iDeCo併用なし 月額27,500円
年額330,000円
iDeCo併用あり 月額15,500円
年額186,000円

ポイント4 従業員への丁寧な説明と投資教育

確定給付企業年金(DB)では、従業員が運用する必要は生じません。一方、企業型DC(401k)を導入するとなれば、今後は従業員自身が拠出した掛金を運用していくことになります。会社は掛金を拠出すればよい、ということにはなりません。従業員が今後運用していくにあたっての必要な投資教育を行なっていく必要があります。適切な投資教育を行い、金融リテラシーをあげてもらうために十分な情報や知識の提供を行わなければなりません。これは会社に課せられた努力義務となっています。そして、この投資教育は、定期的・継続的に行うことが求められています。制度移行の場合には、とくに制度移行に関する丁寧な説明と、十分な投資教育がマストです。とはいえ、ハードルが高いものではありません。投資教育などは、自社の社員で行わなくとも、投資知識に詳しい専門家などに登壇していただき、研修教育なども可能です。

ポイント5 制度移行までのスケジュールは約1年がかかる

確定給付企業年金(DB)から企業型DC(401k)への制度移行には、積立不足の解消や脱退手続き、新しい企業型DC(401k)制度の設計やシミュレーション、労使協議や同意のとりつけなど、さまざまなやるべきタスクがあります。検討プロセスをどの程度の期間を設けるかによっても、導入までのスケジュールは変わってくるでしょう。一般的には、確定給付企業年金(DB)から企業型DC(401k)への移行には、約1年ほどかかるとされています。余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイス

DBからDCの移行の基本の流れは、DBの廃止とDCの導入を同時に進めていくかたちになります。すぐにできることではなく、計画的に実施が必要となります。

まとめ

日本企業型確定拠出年金センターの石黒です。まずは無料相談にお申込みください。

マーケットも先行き不透明な中、確定給付企業年金(DB)制度において、将来の積立不足や退職給付債務の負担を不安に思っている経営者・企業担当者の方も多いでしょう。長期に制度を運営していかなければならないものであるゆえに、なかなか決断しにくいといった面もあるかもしれません。会社によって個別事情も異なることから、制度移行に二の足を踏む場合もあるかもしれません。そのような場合には、まずは現状のお悩み・疑問に思っていることをご相談ください。会社ごとに置かれたビジネス環境、従業員の状況などは異なりますので、一つひとつお伺いしながら、最適な制度設計のためのアドバイスをさせていただきます。

企業型DC(401k)をはじめ企業年金制度の変更は、就業規則などの見直しにも影響する場合もあり、かなり大掛かりな準備・検討が必要になってきます。日本企業型確定拠出年金センターでは、多数の会社の制度導入や制度移管のお手伝いをしてまいりました。豊富な経験からアドバイス・サポートしておりますので、ぜひお声がけください。

 

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