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企業型確定拠出年金の影響で最低賃金を下回るケースがある?
給与明細の項目や見方も紹介
毎年10月に最低賃金が改定されます。2024年度は前年度から50円上昇する予定となっており、事業主は労働者に対して最低賃金以上の給与を支払っているか確認しなければなりません。
最低賃金の改定とあわせて確認すべき点が、選択制企業型確定拠出年金の掛金との兼ね合いです。選択制企業型確定拠出年金に加入し、拠出する掛金は賃金に含まれません。
そのため、多くの掛金を拠出している労働者がいる場合、最低賃金を下回る恐れがある点に注意しましょう。
今回は、企業型確定拠出年金と最低賃金との兼ね合いについて解説します。
最低賃金の計算方法は、給与の形態によって異なります。
時間給の場合 | 時間給≧最低賃金額(時間額) |
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日給の場合 | 日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額) |
月給の場合 | 月給÷1カ月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額) |
出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合 | 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額) |
時間給の場合はわかりやすいですが、日給制や月給制の場合は所定労働時間から1時間あたりの給与を計算する必要があります。
例えば、月給が20万円で1カ月の平均所定労働時間が160時間の場合、時給は「20万円÷160=1,250円」となります。
なお、最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。基本給はもちろんですが、毎月一定額が支払われる「職務給」や「営業手当」などは、賃金に含めて計算します。
残業代やボーナスは含まれませんので、注意が必要です。
昨今は、福利厚生を充実化させる目的から選択制確定拠出年金を導入する企業が増えています。選択制企業型確定拠出年金では、労働者が加入するかどうか、掛金をいくら拠出するかを決められる点が特徴です。
選択制企業型確定拠出年金を導入する際には、賃金とは別に生涯設計手当規程を定めたうえで、「生涯設計手当」を支給する必要があります。
以上のように、労働者ごとに選択できますが、「確定拠出年金の掛金」として拠出する場合は、賃金に含まれません。
拠出する掛金が多いほど、支払っている給与が最低賃金を下回ってしまう可能性が高まるため注意しましょう。
実際に、選択制企業型確定拠出年金に加入している労働者が最低賃金をクリアしているかどうか、事例で検証してみましょう。なお、東京都の令和5年度における最低賃金1,113円を基準に計算します(令和6年度は1,163円になる予定です)。
この場合、賃金を計算する際には、生涯設計手当から確定拠出年金の掛金である2万円を除きます。「18万円(基本給と職務手当)÷160時間=1,125円」となり、最低賃金はクリアできています。
続いて、以下のケースで考えてみましょう。
生涯設計手当から確定拠出年金の掛金である2万円を除き、「16万円(基本給と職務手当)÷160時間=1,000円」となり、最低賃金を下回っています。最低賃金法に抵触するため、早急に手を打たなければなりません。
主な調整方法としては、労使間の話し合いで決定する方法が挙げられます。最低賃金との兼ね合いで、掛金拠出額を抑えて欲しい旨を伝えましょう。また、あらかじめ規約で拠出できる掛金上限を抑えることも有効な対策です。
選択制企業型確定拠出年金は、加入者が掛金を自由に変更できます。しかし、給与が最低賃金を下回るのは事業主として問題なので、必要な制限を設けて対策しましょう。
また、選択制企業型確定拠出年金に関する情報を従業員に十分に提供し、理解を深めるための説明会や研修を定期的に開催することが求められます。最低賃金の仕組みとあわせて、労働者が自ら年金制度を理解できるように支援しましょう。
選択制企業型確定拠出年金は、労働者が計画的に老後資金を用意できる制度です。非課税で資産運用できるメリットを最大限に活かすために、多くの掛金を拠出する加入者がいるかもしれません。
しかし、確定拠出年金で拠出する分は賃金に含めずに計算します。場合によっては最低賃金を下回ってしまい、気付かないうちに法令違反となっていた、という事態になりかねません。
日本企業型確定拠出年金センターでは、多くの中小企業や零細企業に企業型確定拠出年金の導入支援を行ってきました。導入後の事務手続きもサポートしており、事業主様の事務的負担を軽減いたします。
社労士事務所と提携しておりますので、給与計算や最低賃金の兼ね合いを含めて、最適な制度設計作りを行っています。法律に抵触するリスクを軽減するためにも、ぜひ実績豊富な弊社にお任せください。
無料相談も行っているので、興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
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