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役員退職金が否認された事例とは?

「退職の事実」や「不相当に高額」の意味も解説

役員退職金(役員退職慰労金)を支給する際、税務上の注意点を理解していないと「損金不算入」とされる恐れがあります。実際に、役員退職金が否認された事例もあるため注意が必要です。

税務署より役員退職金の損金算入が否認されると、退職金としての税制優遇を受けられません。受け取った個人と支払った法人の税金に悪影響を及ぼすため、具体的な否認事例を学び、正しい計算方法や適切な手続きを理解することが重要です。

今回は、役員退職金が否認された事由や具体的な影響について解説します。

役員退職金とは

役員退職金について解説します。

役員退職金は、企業の経営に貢献をしてきた役員に対して、退職時に支給される報酬です。一般的に給与(役員報酬)とは異なり高額になりやすいため、会社法において支給時のルールが定められています。

具体的には、市場水準と比較して適切な金額が設定されていること、支給のタイミングや手続きが適正であることが求められます。また、役員の業績を適切に評価することも大切です。

 

役員退職金の損金算入が否認された事例

役員退職金の損金算入が否認された事例を紹介します。

役員退職金が税務上認められないケースには、いくつかパターンがあります。その主な要因として、役員退職金が不適切に設定されたケースが挙げられます。

  • 実際の業績や退職金の計算根拠に見合わない過大な金額が設定されている
  • 会社法に基づく適正な手続きを踏まずに支給されている
  • 役員と親族関係にある者に対して特に高額な退職金を支給されている
  • 退職後も実質的に会社業務に関与している(退職の事実がない)

以下で、具体的な事例を見ていきましょう。

 

業務上の事故で死亡し退職した代表者の遺族に対する退職金は不相当に高額であるとした事例

請求人は、死亡退職した代表者の遺族に対し、死亡退職金として9,100万円を支給しているが、業務上の死亡により退職した者に対しては、通常の退職給与より多額に支給されるのが一般的であると認められることから、比較法人の平均功績倍率により算定した通常の退職給与額に、業務上死亡の退職事情を考慮して相続税法基本通達3-20の取扱いに準じ死亡時の普通給与の3年分を加算した金額をもって役員退職給与の適正額とし、その金額を超える部分は不相当に高額な役員退職金に当たるとした原処分は相当である。(平成2年12月20日裁決)

 

代表取締役から取締役への分掌変更に伴い支給した役員退職金について損金算入が認められないとした事例

代表取締役から取締役への分掌変更に伴い支給した役員退職給与について、臨時株主総会議事録及び取締役会議事録等は、いずれも真正に作成されたものと認められないことから、代表取締役辞任及び本件役員退職給与の支給についての証拠資料とは認められないこと、当該議事録の内容について所定の商業登記がされていないこと、その当時当該代表取締役は高齢であったが、著しく健康を害していたとは認められず、かつ、他に定時株主総会まで従来どおり代表取締役としての執務ができない特段の事情があったと認めるに足りる証拠資料がないこと及び取締役への分掌変更後における報酬の支給状況等からみて、当該取締役が臨時株主総会時において、実質的に退職と同様の事情にあったとは認められないから、当該役員退職金は損金の額に算入することはできない。(昭和56年6月23日裁決)

 
端的に言うと、支給した役員退職金額が適正でない(過大である)場合や実質的に役員を退任していないにも関わらず役員退職金が支給された場合に、否認されるケースがあります。
なお、紹介した事例は国税不服審判所にて掲載されている事例で、実際には他にも多くの否認事例があると考えられます。
逆に、「過大ではない」と判断された事例も紹介します。
 

過大役員退職金に当たらないとした事例

原処分庁は、退職した請求人の専務取締役(請求人の社長等とは同族関係にない。)に対して支給した退職金のうち、使用人期間分については不相当に高額な部分があると主張するが、同人は請求人の設立以来実質的に社長代理として請求人の業務発展に多大な貢献をし、昭和36年1月以降は常務取締役と呼称され、それにふさわしい功績を残したと認められることから、同人の請求人就職以来の全期間の功績を評価して、この功績倍率を請求人と類似する法人の平均功績倍率に近似する3倍とし、これによって退職給与の額を計算した請求人の計算に不合理はなく、不相当に高額な部分があるということはできない。(昭和59年12月25日裁決)

 
つまり、役員としての肩書ではなく「実質的に果たしてきた役割」を鑑みて、支給した退職金が適正と判断されれば否認されません。

みなし役員に注意

注意点もみていきましょう。

みなし役員とは、形式上は役員ではないにも関わらず、実質的には役員の業務を行っている人物です。みなし役員に対して高額な退職金を支給すると、税務署から否認される可能性があります。

みなし役員に該当するかどうかの判定は「法人の経営に従事しているか」が軸となります。具体的には、経営会議への出席及び指示命令や経営会議以外での指示命令、金融機関等との交渉などを総合的に鑑みたうえで判断されます。

例えば、役員を退任したときに役員退職金が支給され、その後も実態として役員と同様の業務を行っている場合は退職しているとみなされません。「みなし役員」として、継続して業務に従事しているためです。

役員の肩書が外れたとしても、実態として役員としての業務を行っている場合は注意が必要です。

 

役員退職金の損金算入が否認されたときの影響

役員退職金の損金算入が否認されたときの影響を解説します。

役員退職金の損金算入が否認されると、役員個人と法人の税金に影響が出ます。

納めるべき税額が増えるケースが一般的なので、注意が必要です。

所得税・復興特別所得税・住民税

役員個人に影響するのは、所得税・復興特別所得税・住民税です。役員退職金は「退職所得」として扱われ、税負担を抑えるための税制優遇がされています。

役員退職金としての受け取りが否認されると、給与所得に該当します。給与所得は総合課税の対象となり、退職所得よりも税額が多くなりやすいのが一般的です。

その結果、あとになって税金の再計算が行われ、手取りの金額が減ってしまうため注意しましょう。

法人税

あとになって役員退職金の損金算入が否認されると、当該部分は損金不算入となります。最終的な法人税の課税所得が増えるため、追徴課税となります。

つまり、役員個人と同様に納めるべき税金に影響する点に注意しましょう。

適正な役員退職金の計算方法

適正な役員退職金の計算方法を紹介します。

役員退職金を適正に算定するためには、役員の在職期間や実際の貢献などを評価する必要があります。一般的に、役職が高く在任年数が長いほど、退職退職金は高額になります。

役員退職金の算定においてよく用いられるのが、功績倍率法と1年当たり平均額法の2つです。

 

功績倍率法

功績倍率法は、役員の在職期間や役職、貢献度に応じて倍率を設定したうえで退職金を計算する方法です。この方法では、企業の業績や役員個々の貢献度が反映されやすく、公平な評価ができる特徴があります。

具体的には「最終報酬月額×在任年数×役位別功績倍率」で計算します。

 
役位 功績倍率
会長 2.0~2.5
代表取締役社長 2.5~3.0
専務取締役 2.0~2.5
常務取締役 1.5~2.0
取締役 1.0~1.5
監査役 1.0~1.5

例えば、最終報酬月額が100万円で在任年数が15年、功績倍率が2.0倍の会長が退任する場合は「100万円×15年×2.0=3,000万円」となります。

1年当たり平均額法

1年当たり平均額法は、類似企業の役員報酬の平均額を基に退職金を算定する方法です。類似する企業役員の退職金の1年当たり平均額を調査したうえで、役員の在任年数を乗じて計算します。

例えば、類似する企業役員の退職金が1,000万円で在任年数が15年の場合、退職金は1,500万円です。業績不振により退任時の最終報酬月額が低くなっている場合、功績倍率法ではなく1年当たり平均額法を採用したほうが合理的と判断されるケースがあります。

 

過去の事例から学ぶ具体的な対策

過去の事例から学ぶ具体的な対策を解説します。

役員退職金を適正に支給するためには、過去の否認事例から具体的な対策を学ぶことが有効です。否認事例は多岐にわたりますが、多くは適正な計算ができていなかったり、適切な手続きが欠けていることが原因です。

適切な役員退職金を算定するためには、公正かつ透明性のある基準に基づいて計算を行うことが求められます。企業内において規程を作成し、役員の在職期間や貢献度を具体的に評価できる体制を整備する必要があります。

退職金規程において計算方法を示し、役職ごとの功績倍率を決めておきましょう。さらに、役員の在任期間や業務への貢献度などを公正かつ客観的に評価したうえで、金額を設定することが求められます。

必要に応じて同業他社の退職金制度を調査し、自社の基準が同程度であるかを確認することも有効です。

規程に基づいた透明性のある手続きを実施することに加えて、株主総会や取締役会で決議された内容を詳細に議事録へ記録しましょう。

  • どのような議題を決議したのか
  • 出席者は誰か
  • 日時はいつか
  • 可決されたのか、否決されたのか
  • 反対意見はあったのか

主に上記のポイントを詳細に記録し、会社法に基づいて適正な処理を行っていることを証拠として残しておくべきです。

ただし、適正な金額かどうかはそれぞれの状況に応じて変わってきます。最終的には個別具体的に判断する点は押さえておきましょう。

損金算入が否認されるリスクを軽減できる役員退職金は企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金がおすすめです。

役員退職金を用意する方法はさまざまです。中でも、企業型確定拠出年金(企業型DC)は多くの中小企業や零細企業で導入されています。

企業型確定拠出年金とは、加入者が自分自身の判断で運用を行い、運用実績に応じて受け取れる退職金が決定する制度です。一般的な退職金のように「金額が過大かどうか」という議論が生じないため、企業の税務リスクを軽減できます。

また、運用中に得られた利益は非課税となる点も企業型確定拠出年金の特徴です。一般的な投資では運用益に対して20.315%の税金が課されることを考えると、企業型確定拠出年金では効率よく資産形成を行えます。

企業型確定拠出年金の中でも、「選択制企業型確定拠出年金」を導入すれば、役員や労働者が個別に加入するかどうかを判断できます。個別のニーズに対応しつつ、企業の福利厚生を充実を図れる点が好評を得ています。

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイス

選択制企業型確定拠出年金を導入すると、役員分の拠出金は福利厚生費として全額損金算入が可能です。税務に影響を与えつつ、役員や労働者の老後資産の形成をサポートできます。

まとめ

まずは無料相談にお申込みください。

役員退職金を支給する際に、不適切な金額を支給したり適正な手続きを踏まなかったりすると、税務署から損金算入を否認されるケースもあります。

「退職の事実がない」「不相当に高額である」と判断されると、損金算入が認められません。役員個人と法人が納める税額に悪影響が出るため、注意しましょう。

これから役員退職金制度を導入する企業におすすめなのが、企業型確定拠出年金です。一般的な退職金制度のように、損金算入が否認されるリスクが非常に低く、役員が一人しかいない規模の企業でも導入できます。

日本企業型確定拠出年金センターでは、これまでに1,300社以上の退職金制度の導入をサポートしてきました。企業の希望や状況をヒアリングしたうえで、最適な制度を提案させていただきます。

企業型確定拠出年金は自由度の高い制度ですが、運用が煩雑になりがちです。しかし、社員の入退社に伴う手続きや、掛金変更の手続きなども継続してサポートするので、お気軽にご相談ください。

個別相談は企業型確定拠出年金導入関する相談です。個人の運用相談ではありません。

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