継続雇用(65歳・70歳雇用延長)時の企業型DC掛金設計の実務ポイント
高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保が義務付けられ、70歳までの就業機会確保が努力義務とされています。継続雇用が一般化するなかで「再雇用後も企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金を続けるべきか」「役職定年で給与が下がったら掛金はどうなるか」といった相談が増えています。本記事では、継続雇用時の掛金設計の考え方を整理します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

企業型DCは70歳未満まで加入できる
企業型DCは法改正により加入可能年齢が拡大され、規約に定めることで70歳未満まで加入し続けることができます。65歳で定年を迎えたあとも再雇用契約を結んで厚生年金の被保険者である限り、企業型DCへの加入を継続できる設計が可能です(規約上の定めや個別要件は運営管理機関への確認が必要です)。

再雇用後の給与水準に応じた掛金の見直し
継続雇用では、多くの企業で役職を外れるとともに給与水準が下がります。給与比例で掛金額を決めている場合、再雇用後は自動的に掛金額も下がることになりますが、これが従業員の資産形成にどう影響するかを事前に説明しておくことが望まれます。選択制DCであれば、本人の希望に応じて掛金額を柔軟に調整できるため、継続雇用者の収入変化に対応しやすい制度設計といえます。

60歳以降の運用期間をどう考えるか
60歳以降も企業型DCで運用を続けられることは、退職金の受け取り時期を柔軟に調整できるというメリットにもつながります。受給開始のタイミングは75歳まで繰り下げることが可能な制度となっており、継続雇用で収入がある間は受け取りを先送りし、退職所得控除を有利に活用する選択肢も生まれます(受け取り方法・税制上の取り扱いの詳細は税理士等の専門家への確認をおすすめします)。

継続雇用者への説明で押さえておきたいこと
- 再雇用後も企業型DCへの加入を継続できること
- 給与水準が変わることで掛金額にも影響が出ること
- 60歳以降の受け取り開始タイミングは本人が選べること
- 運用商品の見直し(リスク資産の比率を下げるなど)を検討するタイミングであること
役職定年と掛金設計を切り離して考える
役職定年制度を導入している企業では、役職を外れるタイミングで給与だけでなく賞与・手当も減少することが一般的です。給与比例で掛金を決めていると、役職定年前後で資産形成のペースが大きく落ち込むことになります。役職定年前にまとまった掛金を拠出できるよう上限に近い設計にしておく、あるいは役職定年後も一定水準を維持できるよう掛金体系を工夫するなど、ライフステージに応じた設計の見直しが有効です。

よくある質問
Q. 継続雇用後に企業型DCへの加入を辞退することはできますか? A. 選択制DCであれば、本人の意思で掛金拠出を行わず給与で受け取る選択が可能です。給与上乗せ型の場合は、規約の定めによって取り扱いが異なるため確認が必要です。
Q. 60歳以降も掛金を拠出し続けるメリットは何ですか? A. 拠出時・運用時の非課税メリットを引き続き受けられる点に加え、受け取り開始時期を柔軟に選べるため、退職所得控除などの税制優遇を有利に活用できる可能性があります。
Q. 70歳で退職した後、資産はどうなりますか? A. 加入資格を喪失した後は、運用指図者として運用を継続するか、受け取りの手続きを行うことになります。受け取り方法(一時金・年金・併用)によって税制上の扱いが異なるため、事前の検討が重要です。
まとめ
継続雇用が当たり前になった今、企業型DCの掛金設計も「定年前提」の制度から「65歳・70歳までの就労を前提とした」制度へとアップデートする必要があります。
日本企業型確定拠出年金センターは、継続雇用制度に対応した掛金設計や、対象従業員への説明資料の作成についても支援しています。高年齢者雇用と福利厚生の両立にお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。





