退職金を企業型DCにすると会社の負担はいくら変わる?損金算入・手数料
結論(この記事で分かること) 企業型DCの会社負担は「導入時の費用」「毎月の手数料」「掛金」の3つで、手数料の額は運営管理機関やプランにより異なるため見積もりで確認します。税務面では、社内で積み立てる退職一時金は支給するまで損金にならないのに対し、DCの事業主掛金は拠出した事業年度に全額損金算入できます(法人税法施行令第135条)。
企業型DCの導入支援を専門とする株式会社日本企業型確定拠出年金センター(1,300社以上の導入実績)が解説します。この記事では、企業型DCにかかる費用の内訳と、退職一時金との税務上の違いを解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

結論:会社負担は「導入費+月額手数料+掛金」で考える
企業型DCの総コストは、掛金に加えて、制度の運営にかかる手数料を合わせて考える必要があります。
| 費用の種類 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 導入時の費用 | 規約作成・厚生労働大臣(地方厚生局)への申請準備、制度設計、従業員説明会など | プランにより異なる(要見積) |
| 毎月の手数料 | 運営管理機関・資産管理機関(信託銀行等)の口座管理・記録関連の手数料など(加入者数に応じてかかる設計が一般的) | プランにより異なる(要見積) |
| 掛金 | 会社が従業員ごとに拠出する事業主掛金(上限は月5.5万円、2026年12月から月6.2万円の予定) | 規約で決めた額×人数 |
| 運用商品の信託報酬等 | 投資信託の運用管理費用。加入者の資産から差し引かれる | 商品により異なる |
手数料を会社と加入者のどちらが負担するかも、規約・プランで決まります。比較の際は「月額の単価」だけでなく「導入費の有無」「加入者1人あたりの費用」「会社負担か加入者負担か」をそろえて見積もりを取ることが重要です。詳しくは手数料を徹底比較をご覧ください。
このセクションのポイント
- 費用は「導入費・月額手数料・掛金」の3つで把握する
- 手数料の金額はプランにより異なるため、見積もりで比較する
- 手数料の負担者(会社か加入者か)も必ず確認する
退職一時金とDCの税務はどう違うか
退職一時金の積立は損金になるか?
社内で準備する退職一時金は、積み立てても損金にならず、実際に支給した時点で損金になります。かつてあった退職給与引当金制度は平成14年度税制改正で廃止されており、現在は会計上引当金を計上しても税務上は損金に算入されません。

そのため、将来の支払いに備えて社内に資金を残す間は、その資金は法人税が課された後の利益から積み立てることになります。
企業型DCの掛金はいつ損金になるか?
企業型DCの事業主掛金は、規約に基づいて拠出した事業年度に全額損金算入できます(法人税法施行令第135条、国税庁タックスアンサーNo.5231)。従業員側も、事業主掛金は拠出時に給与として課税されません。
| 比較項目 | 退職一時金(社内準備) | 企業型DC |
|---|---|---|
| 損金算入の時期 | 支給した時 | 掛金を拠出した時 |
| 引当金・積立の扱い | 引当金は損金不算入 | 掛金は全額損金 |
| 資産の置き場所 | 会社の内部 | 会社の外(個人別に管理) |
| 将来の支払額 | 規程で定めた額を会社が準備・支払う | 掛金の拠出で会社の負担は完了、給付額は運用次第 |
なお、企業年金の積立金には本来1%の特別法人税がかかる仕組みがありますが、国税庁の案内では令和11年3月31日までに開始する事業年度は課税停止とされています。仕訳の具体例は会計処理はどう仕訳する?と勘定科目と仕訳例で解説しています。
選択制DCの場合に留意すべき点は?
選択制DCでは、従業員が給与の一部を掛金に振り替えた部分は社会保険の報酬に含まれないため、標準報酬月額が下がり、将来の厚生年金や傷病手当金等の給付に影響し得ます。導入時は、この点を従業員に丁寧に説明することが欠かせません。
このセクションのポイント
- 退職一時金は支給時に損金、引当金は損金不算入
- DCの事業主掛金は拠出時に全額損金(法人税法施行令第135条)
- 選択制DCは将来の厚生年金等への影響を従業員に説明する
NDCセンターからのアドバイス
- 掛金と手数料を合わせた「年間総額」で試算する:人数×掛金×12か月に手数料を加えた額で、毎年の損金額とキャッシュフローを確認します。
- 複数プランを同じ条件で比較する:導入費・月額手数料・負担者をそろえて見積もりを比べます。
- 既存の退職金規程との関係を整理する:退職一時金から移行する場合の規程改定・不利益変更の検討は、提携する社会保険労務士法人とうかいと連携して対応します。

このセクションのポイント
- 「掛金+手数料」の年間総額で判断する
- 見積もりは同じ条件で比較する
- 既存制度からの移行は規程面も同時に検討する
よくある質問(FAQ)
Q1. 企業型DCの導入費用と毎月のコストはいくらですか? プランや運営管理機関により異なるため、見積もりで確認が必要です。導入時の費用、加入者数に応じた月額手数料、掛金の3つを合計して比較するのが基本です。

Q2. 企業型DCの手数料は損金にできますか? 会社が負担する手数料は、一般に事業に必要な費用として損金に算入されます。仕訳・勘定科目は顧問税理士にもご確認ください。
Q3. 退職金の引当金は損金になりますか? いいえ、なりません。退職給与引当金制度は平成14年度税制改正で廃止され、退職一時金は実際に支給した時点で損金になります。
Q4. DCの掛金はいつ損金になりますか? 規約に基づき拠出した事業年度に全額損金算入できます(法人税法施行令第135条)。退職一時金のように支給時まで待つ必要はありません。
まとめ
企業型DCの会社負担は「導入費・月額手数料・掛金」で、手数料はプランにより異なるため見積もりでの確認が欠かせません。税務面では、支給時まで損金にならない退職一時金に対し、DCの事業主掛金は拠出時に全額損金算入できます。株式会社日本企業型確定拠出年金センターでは、貴社の人数・掛金に合わせた費用の見積もり相談を無料で承っています。

出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.5231「確定給付企業年金等に係る課税関係」(法令135):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5231.htm
- 国税庁「法人税関係法令の改正のあらまし(課税ベースの見直し)平成14年8月」退職給与引当金制度の廃止:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei2002-1/01.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第9章第2節第7款「退職給与」:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_07.htm
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(拠出限度額の引上げ):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html
- 確定拠出年金法施行令(第11条 拠出限度額):https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=85aa2606&dataType=0&pageNo=1
執筆・監修:株式会社日本企業型確定拠出年金センター(企業型DC導入支援専門/1,300社以上の導入実績)




