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役員退職金を法人生命保険で準備する方法とは?

メリットとデメリットを解説

役員退職金を準備する方法として、生命保険の活用が挙げられます。確実に退職金を用意できる方法として、導入する企業も存在します。

生命保険にはリスクに備える性質があるため、退職金を用意するだけでなくリスクヘッジとしても有用です。代表者に万が一のことがあっても運転資金を確保できる点は、生命保険の特徴です。

今回は、生命保険を用いて役員退職金を用意する方法について解説します。

役員退職金の基本

役員退職金の基本を解説します。

役員退職金は、企業の経営に長年貢献した役員への報奨として支給されるお金です。退職時にまとまった金額が支給されるケースが多く、企業としては事前の準備が不可欠です。

退職金を用意するための方法はさまざまですが、役員の退任に備えて退職金は計画的に用意する必要があります。場合によっては、企業の財務を圧迫するケースもあるでしょう。

なお、企業が退職金を用意する方法として、主に以下が挙げられます。

 

  • 有価証券や預金で準備する
  • 法人保険を活用し準備する
  • 小規模企業共済制度を活用して準備する
  • 企業年金で準備する
  • 中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)で準備する

どの制度を導入しているのかによって、支給する退職金額は異なります。また、退職金規程によって独自に退職金の計算方法を決めることも可能です。

いずれの場合でも、無理のない資金計画を立てて企業が継続的に経営できる方法で、役員退職金制度を整備することが大切です。

 

役員退職金を計画的に用意する必要性

役員退職金を計画的に用意する必要性を解説します。

長寿化に伴って、リタイア後の年数が長くなっています。例えば、65歳でリタイアしたあと95歳で亡くなるとしたら、30年間もの老後期間があります。

老後生活を支える収入として公的年金がありますが、公的年金のプラスとなる資金を用意できれば、より大きな安心につながるでしょう。

 

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイス

リタイア後の経済的な不安がなければ、勇退して事業運営を後継者に任せられます。自分が事業から身を引いてスムーズな事業承継を実現するうえでも、役員退職金を計画的に用意することは有効です。

役員退職金の適正な計算方法

役員退職金の適正な計算方法を解説します。

役員の退職金を適正に計算するためには、当該役員がどれくらいの期間にわたって企業に貢献してきたのかを確認する必要があります。一般的には、役員在職期間の長さや会社の業績、役職などを考慮したうえで、個別に計算する必要があります。

在職期間が長いほど、役員としての役職が上になるほど退職金は多くなるのが一般的です。例えば、「功績倍率方式」を用いて役員退職金を計算する場合、「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」で計算します。

企業によって異なるものの、功績倍率は以下のように役職が高いほど高くなります。

  • 社長:3.0
  • 専務:2.4
  • 常務:2.2
  • 平取締役:1.8
  • 監査役:1.6

規程によっては、役員退職金は1,000万円を超える金額となるケースもあります。企業としては、自社に合った方法で役員退職金を用意しなければなりません。

 

生命保険の保険積立金(解約返戻金)を活用して役員退職金を準備できる

生命保険を活用して役員退職金を準備するメリットとデメリットを解説します。

生命保険を活用して役員退職金を準備することが可能です。役員退職金には、役員を退任するときに受け取る「勇退退職金」と、在任中に亡くなったときに家族へ支給される「死亡退職金」とがあります。

以下で、生命保険を活用して役員退職金を準備するメリットとデメリットを解説します。

生命保険で役員退職金を準備するメリット

貯蓄性のある生命保険に加入すれば、代表者の万が一の事態に備えつつ計画的に役員退職金を用意できます。保険の本質は「万が一の事態に備えるため」ですから、被保険者となっている代表者や役員に万が一のことが起きたとき、保険金を受け取れます。

特に、ワンマン代表者の企業だと、代表者に万が一のことがあったときに事業運営に支障が出る可能性があります。また、借入金が残った状態で事業の継続が不可能になると、残された社員や家族が困ってしまうでしょう。

生命保険に加入していれば、後継者が事業を軌道に乗せるまでのつなぎ資金を確保できます。つまり、資金面の懸念をヘッジする方法として有効です。

代表者が勇退する場合は、生命保険の解約返戻金が退職金代わりとなります。万が一の事態に備える手段としてだけでなく、計画的に退職金を用意できることがわかります。

さらに、法人契約に基づく生命保険に加入すると、支払った保険料の一部を損金算入することが可能です。

最高解約返戻率 損金算入 資産計上期間 3取崩期間
50%以下 全額損金算入
50%超70%以下 60%損金算入 保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで 保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで
70%超え85%以下 40%損金算入 保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで 保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで
85%超 30%損金算入保険期間の開始の日から10年を経過する日までは10%) 保険期間の開始の日から最高解約返戻率となる期間(当該期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで 解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間(資産計上期間がこの表の資産計上期間の欄に掲げるに該当する場合には、当該による資産計上期間)経過後から、保険期間の終了の日まで

損金算入できれば、一時的に法人税の負担が軽減されます。

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイス

ただし、実際に保険金を受け取ったら企業の収入としてカウントするため、長期的に見れば節税の効果はありません。つまり、厳密にいえば税金の納付を後回しにする「繰り延べ」の効果があります。

さらに、保険金は事業承継の場面でも役立ちます。後継者へスムーズに資産を移転するうえで、保険金を活用できるでしょう。

例えば、後継者が自社株式や事業用の資産を継承する際に、贈与税や相続税を納付する必要性が出てきます。生命保険金の受取人を後継者にしておけば、納税資金を計画的に用意できます。

 

生命保険で役員退職金を準備するデメリット

生命保険を契約途中で解約した場合、解約返戻金が支払った保険料の総額に対して少額になる「元本割れ」が発生することがあります。一般的に解約返戻金は契約期間が長いほど高額になるため、想定よりも早く解約すると退職金を十分に用意できないケースが考えられるでしょう。

さらに、当然ですが保険契約を維持するためには長期間にわたり保険料を支払い続ける必要があります。一部を損金算入できるとはいえ、キャッシュアウトが生じることで企業の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性も否定できません。

業績が悪化している場面においては、払い込む保険料によって資金繰りが苦しくなる恐れがあります。保障内容や将来の解約返戻金を確認したうえで、長期的に無理なく保険料を払えるか確認することが大切です。

保険契約を締結するにあたって、どのプランが自社に適しているか選定する手間が発生する点もデメリットです。不適切な保険プランを選んでしまうとリスクへの備えが不十分になったり、退職金に用意が不足したりする事態になりかねません。

 

生命保険を用いた積立方法

生命保険を用いた積立方法を解説します。

生命保険を活用して役員退職金を用意する際には、「逓増定期保険」「長期平準定期保険」「終身保険」から自社にあった保険を選択するのが一般的です。

以下で、それぞれの特徴について解説します。

 

逓増定期保険:短期間での効果的な準備

逓増定期保険は、短期間で役員退職金を効果的に積み立てるための保険商品です。企業の成長に合わせて保険金額が増加する特徴があり、保険金額は基準保険金額の最大5倍になります。

契約期間が進むにつれて保険金額が増加する特性を持つため、企業が成長するタイミングで契約すると効果的なリスクヘッジとなるでしょう。

5年~10年程度の期間で効率よく解約返戻金を計画的に積み立てられますが、最高値に達したあとは徐々に減少します。そのため、退職金を用意する目的で活用する場合は、役員が退任するタイミングをあらかじめ明確に把握する必要があります。

 

長期平準定期保険:長期積立に適した選択

長期平準定期保険は、役員退職金を長期的な視点で積み立てるために設計された保険商品です。一般的に契約期間が長期間にわたり、保険料が一定に保たれるため、計画的に役員退職金を用意できます。

長期平準定期保険は、保険期間の満了日が90歳代後半~100歳と長期になります。受け取れる解約返戻率は緩やかに上昇し、最高値に達したあとは緩やかに下降する点が特徴です。

勇退時期が明確ではなく、長期的な視点からリスクヘッジを行いつつ、役員退職金を用意したいときに向いています。

 

終身保険:長期的な保障と資産形成

終身保険は、一生涯にわたり保険契約が続く保険商品です。契約者が死亡するまで保障が続くため、長期的な保障と資産形成を同時に行えます。

経過年数に応じて解約返戻金が増加するため、役員を退任するまでの期間が長いときに有効活用できるでしょう。長期的に役員退職金のような大きな金額を計画的に準備するのに適しています。

解約返戻金を受け取ったうえで役員退職金を支給する方法だけでなく、保険の契約者を「企業」から「経営者個人」に名義変更して「退職金を現物支給する」という対応も可能です。

安定的に解約返戻金を増やしつつ、柔軟性にも優れた保険といえるでしょう。

 

生命保険とあわせて検討したい企業型確定拠出年金

特に中小零細企業から注目を集めているのが、企業型確定拠出年金です。

生命保険は計画的に役員退職金を用意するうえで有用ですが、他にもさまざまな手法があります。特に中小零細企業から注目を集めているのが、企業型確定拠出年金です。

企業型確定拠出年金は、加入者が自分の判断で運用しながら退職金を用意できる制度です。「加入するか、しないか」を加入者が個別で判断できる選択制企業型確定拠出年金も、柔軟性が高い制度として人気です。

生命保険の場合、損金算入できる金額には上限があります。しかし、企業型確定拠出年金であれば、経営者や役員分として拠出した掛金は全額福利厚生費として損金算入が可能です。

また、企業型確定拠出年金では加入者の運用益が非課税となる税制優遇があります。生命保険よりも税制面で有利で柔軟性も高いため、昨今は導入する企業が増えています。

 

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイス

生命保険では「加入者が自分の意志で運用する」ことはできません。しかし、企業型確定拠出年金であれば株式や債券などの金融商品へ投資し、効率よく資産形成を行える可能性があります。

柔軟性が高い退職金制度を探している方は、企業型確定拠出年金の導入を検討してみてください。

まとめ:最適な退職金準備のために知っておくべきこと

まずは無料相談にお申込みください。

役員退職金を準備するうえで、生命保険の活用は一つの手段です。役員の万が一の事態に備えつつ、解約返戻金を積み立てて退職金を用意できます。

逓増定期保険や長期平準定期保険、終身保険などの中から、それぞれの特徴に応じて自社にあった商品を選択しましょう。

生命保険のほかにも、企業型確定拠出年金で退職金を用意する方法もあります。生命保険よりも柔軟性が高く、リスクを取った運用を行いつつ運用益が非課税になるメリットを受けられるため、収益性も優れています。

日本企業型確定拠出年金センターでは、退職金制度や企業年金制度のプロとして、各企業様のニーズをヒアリングしたうえで的確なアドバイスをいたします。経験豊富なスタッフが、制度の導入だけでなく導入後のサポートも行うため、制度に詳しくなくても安心して導入いただけます。

全国どこからでも無料相談が可能なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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