確定拠出年金の信託報酬は低いほうがよい?計算方法も解説
個人型でも企業型でも、確定拠出年金を通じて投資信託を購入すると信託報酬がかかります。信託報酬は投資信託を保有している期間中はかかり続けるため、加入者にとってコストとなります。
運用商品を選ぶ際に意識すべきポイントはいくつかありますが、信託報酬もその一つです。信託報酬が高い商品を選択するとリターンが削られてしまう事態になりかねないため、注意しましょう。
今回は、確定拠出年金制度における信託報酬の計算方法や商品選びの考え方について解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
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動画内では、信託報酬がどのようなタイミングで発生するのか、また信託報酬が高い場合と低い場合の違いについても詳しく説明しています。
信託報酬が投資に与える影響をしっかり理解し、より効果的な資産形成を目指しましょう。
1. 信託報酬とは何か
信託報酬とは、投資信託の運営に関連する費用です。投資信託を保有している間、信託財産の中から「純資産総額に対して○%」という割合で毎日差し引かれています。
2. 信託報酬は安いほうが良いのか
信託報酬は、投資信託ごとに異なります。投資信託には「インデックス(パッシブ)型」と「アクティブ型」があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。
| インデックス (パッシブ)型 |
特定のベンチマーク(経済指数)に連動するように運用される。信託報酬は安め |
|---|---|
| アクティブ型 | 特定のベンチマーク(経済指数)を上回ることを目指す。信託報酬は高め |
どちらの投資信託がよいかどうかは、一概にはいえません。単に信託報酬だけ比較すると、インデックス(パッシブ)型のほうが有利といえるでしょう。
アクティブ型の信託報酬が高くなってしまう理由は、投資対象の情報収集やリサーチに多くのリソースを投じる必要があるためです。経験豊富なファンドマネージャーやアナリストによる専門的な分析が行われ、人件費や調査費用がかかる分、手数料が高くなります。
さらに、アクティブ型は市場の動向に応じて頻繁に取引を行うため、多くの取引手数料が発生します。運用にかかるコストがインデックス(パッシブ)型よりも高い分、投資家が負担するコストが重くなってしまうのです。
ただし、経験豊富なファンドマネージャーやアナリストでも、将来の株価や為替について正確に予測することはできません。
アクティブ型の投資信託は、インデックス(パッシブ)型よりも優れた運用成績を残せる可能性があるものの、必ずしも信託報酬に見合うリターンを得られるとは限りません。
3. 信託報酬の計算方法と安いかどうかの目安
信託報酬は自動的に運用している資産から差し引かれるため、なかなか負担している実感が得られないものです。しかし、信託報酬は最終的なリターンに影響を及ぼすため、計算方法を知っておくとよいでしょう。
たとえば、信託報酬が1%の投資信託を100万円分購入した場合、年間で支払う信託報酬は1万円です。0.5%の場合は5,000円となります。
確定拠出年金の場合、毎月掛金を拠出する(運用資産が増えていく)うえに運用期間中は価格変動が起こるため、計算が複雑になります。
しかし、信託報酬が高いほど最終的に得られるリターンが削られてしまうため、基本的に「信託報酬は安いほうがよい」と考えて問題ないでしょう。
なお、信託報酬が安いかどうかを判断する明確な基準はありません。ただし、最近では年率0.2%以下で運用できる投資信託が増えているため、「年率0.2%」を基準にしてみるとよいでしょう。
4. 信託報酬がリターンにもたらす影響
信託報酬はコストである以上、確定拠出年金加入者が得られるリターンに影響を及ぼします。投資信託を保有し続けている期間中は発生し続けるコストなので、運用期間が長いほど負担も重くなる点に注意が必要です。
特に、確定拠出年金は老後資金を作る目的に特化しているため、運用期間が長くなりやすい傾向にあります。つまり、信託報酬が高い投資信託は実質的なリターンを圧迫してしまいがちです。
運用成績が同じ投資信託がある場合、信託報酬が安いほうが最終的なリターンは大きくなります。そのため、自分で最適な投資信託を選択できる自信がない方は、信託報酬が安い投資信託を選ぶほうが合理的です。
とはいえ、アクティブ型の投資信託がすべて悪いわけではありません。投資方針に共感できたり、より大きなリターンを求めたりするのであれば、アクティブ型へ投資するのも一つの選択肢です。
投資信託の投資方針や自分の価値観、期待しているリターンなどを総合的に鑑みて、最適な投資信託を選択しましょう。
5. 信託報酬の確認方法
信託報酬の年率は、投資信託の目論見書に明示されています。実際に購入する前に把握できるため、確認したうえで投資信託を選ぶとよいでしょう。
運営管理機関の中には、ホームページ上で一覧表示しているケースもあります。運用対象となる資産ごとに信託報酬を明示していれば、比較検討しやすいでしょう。
6. 確定拠出年金で運用商品を選ぶ際のポイント
確定拠出年金は、加入者が自分の責任で資産運用を行う点が特徴です。選択する運用商品の運用成績次第で、自分が将来受け取れる金額が変動します。
つまり、確定拠出年金で運用商品を選ぶ際には、自分との相性や価値観を考慮しなければなりません。信託報酬の水準だけでなく、投資信託の運用方針や過去の実績も含めて総合的に評価しましょう。
投資信託が「どの金融資産を対象に運用しているのか」を確認することは欠かせません。運用対象は債券や株式が代表的で、投資対象となる国や地域も「国内」「先進国」「新興国」などさまざまです。
投資対象によってリスクは異なります。リスクとは「危険性」ではなく「収益の振れ幅」を意味しており、リスクが大きい商品ほど「得られる利益は大きくなりやすいが、損失も大きくなりやすい」という特徴があります。
一般的に、リスクが小さい順番に商品を並べると以下のようになります。
- 定期預金・保険
- 日本国債
- 外国国債
- 国内REIT
- 外国REIT
- 日本株式
- 外国株式
運営管理機関によっては、一つの投資信託でさまざまな金融商品に投資できる「バランス型」の投資信託を用意しています。手間をかけることなく、リスクを抑えながら分散投資ができるため、初心者に向いている商品といえるでしょう。
7. SBIぷらす年金の信託報酬
日本企業型確定拠出年金センターが取り扱っているSBIぷらす年金では、以下のように低コストの投資信託や積極的なリターンを目指す投資信託を用意しています。
【国内株式】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 0.176% |
| パッシブ | ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.143% |
| アクティブ | フィデリティ・日本成長株・ファンド | 1.683% |
【内外株式】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775%以内 |
| パッシブ | SBI全世界高配当株式ファンド(年1回決算型) | 0.0550% |
| パッシブ | SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 0.1022%程度 |
| パッシブ | SBI・先進国株式インデックス・ファンド | 0.0982% |
| アクティブ | コモンズ・30・ファンド | 1.078%以内 |
| アクティブ | キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用) | 1.085% |
| アクティブ | ひふみ年金 | 0.836% |
【海外株式】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.09889% |
| パッシブ | EXE-i 新興国株式ファンド | 0.1761%程度 |
| パッシブ | SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド | 0.2388%以下 |
| パッシブ | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 0.0982%程度 |
【国内債券】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0.132% |
| アクティブ | DCダイワ物価連動国債ファンド | 0.396% |
【内外債券】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| アクティブ | SBI・iシェアーズ・全世界債券インデックス・ファンド | 0.1098%程度 |
【海外債券】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | 野村外国債券インデックスファンド(DC) | 0.154% |
| パッシブ | iFree 新興国債券インデックス | 0.242% |
| アクティブ | SBI-PIMCO世界債券アクティブファンド(DC) | 0.8294% |
【バランス型】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | DCインデックスバランス(株式20) | 0.154% |
| パッシブ | DCインデックスバランス(株式40) | 0.154% |
| パッシブ | DCインデックスバランス(株式60) | 0.154% |
| パッシブ | DCインデックスバランス(株式80) | 0.154% |
| パッシブ | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.143%以内 |
| アクティブ | セゾングローバルバランスファンド | 0.56%±0.02%程度 |
| アクティブ | セゾン資産形成の達人ファンド | 1.34±0.2%程度 |
| アクティブ | DC低リスク運用・先進国バランスファンド(円キャッシュプラス) | 0.33% |
【その他】
| 運用スタイル | 名称 | 信託報酬(税込) |
|---|---|---|
| パッシブ | DCニッセイJ-REITインデックスファンドA | 0.187% |
| パッシブ | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297%以内 |
| パッシブ | SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし) | 0.1838%程度 |
加入者の投資経験やリスク許容度、投資方針に応じて最適な商品を選べます。バランス型の投資信託も多く用意しているため、初めて資産運用を行う方でも安心です。
8. まとめ
確定拠出年金で老後資産を用意する際には、信託報酬にも意識を向けましょう。信託報酬はコストである以上、資産形成を進めるうえで無視できない要素です。
自分で最適な投資信託を選べない方や投資初心者の方は、信託報酬が低い投資信託を選ぶのが無難です。
日本企業型確定拠出年金センターでは、運営管理機関として多くの企業へ企業型確定拠出年金の導入をサポートしてきました。労働者への投資教育も行っているため、各加入者が自分でよりよい投資判断を下す支援もいたします。
導入の支援だけでなく、担当のコンサルタントが導入後も継続的に事務をサポートさせていただきます。興味がある方は、ぜひ無料相談にお申し込みください。
よくある質問(FAQ)
Q 信託報酬はいつ支払うのですか?
A 別途支払う必要はありません。
投資信託を保有している間、信託財産の中から「純資産総額に対して○%」という割合で毎日差し引かれる仕組みのためです。
Q 信託報酬が低いほど、必ず儲かるのですか?
A いいえ、信託報酬はあくまで「コスト」です。
運用成績そのものは投資対象の市場動向に左右されますが、コストが低いほど手元に残る利益は多くなります。
Q 従業員が企業型DCを活用する際、信託報酬も会社が負担しますか?
A いいえ、会社の負担ではありません。
口座管理手数料などの諸経費は会社が負担しますが、投資信託の信託報酬は加入者(従業員)自身の運用資産から差し引かれます。










