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2026年退職金課税10年ルールへ!5年ルールの改正と手取りを減らさない対策

2026年退職金課税10年ルールへ!5年ルールの改正と手取りを減らさない対策

企業型確定拠出年金(企業型DC)や退職金を受け取る際、「受け取る順番」と「期間」によって手元に残る金額が大きく変わることをご存知でしょうか。特に重要なのが、複数の退職所得を期間を空けて受け取る際に適用される調整規定、通称「5年ルール」です。

現在は2025年11月。いよいよ来年、2026年1月1日よりこのルールが「10年ルール」へと厳格化されます。この変更は、多くのビジネスパーソンの老後資金計画に直結する重大な改正です。

本記事では、ルールの基礎から、改正後に「知らなかった」では済まされない落とし穴、そして損をしないための具体的な戦略までを詳しく解説します。

1. 企業型確定拠出年金にも適用される「5年ルール」とは

退職所得控除(退職金の非課税枠)の計算において、複数の退職金を期間を空けて受け取る場合、過去に受け取った退職金と勤続期間が重複している部分を調整(減額)するルールが存在します。

これを一般的に「5年ルール」と呼びますが、2026年1月1日以降は対象期間が拡大され「10年ルール」となります。

※注意:用語の混同について ここで解説する「5年ルール」とは、勤続年数5年以下の人が退職金を受け取る際の増税措置(短期退職手当等)のことではありません。複数の退職金を受け取る際の「退職所得控除の調整期間」を指します。

2026年改正の重要ポイント

この改正は、主に「確定拠出年金(DC)を先に受け取り、あとから会社の退職金を受け取る」ケースを直撃します。

項目 現行(~2025年末) 改正後(2026年~)
対象期間 前年以前4年以内(計5年間) 前年以前9年以内(計10年間)
影響 5年空ければフルに控除を使えた 10年空けないと控除が減らされる

つまり、これまで「5年空ければ税金が安くなる」とされていた節税手法が、2026年以降は「10年空けないと税金が高くなる」形に変更されます。

2. 「5年ルール(新10年ルール)」が適用される具体的条件

このルールは、過去に退職一時金(企業型DCやiDeCoの一時金含む)を受け取っており、一定期間内に新たな退職一時金を受け取る場合に適用されます。

適用される3つの条件

受け取る順番: 確定拠出年金(DC)の一時金 $\to$ 会社の退職金
期間(2026年以降): DCを受け取った年から10年以内に会社の退職金を受け取る
勤続期間: 会社の勤続期間とDCの加入期間が重複している

加入期間が数年程度の短期間であっても、一時金として受け取れば「退職所得」の実績としてカウントされるため、調整の対象となります。

【注意】過去に受け取ったDCも対象になります(遡及適用)

最も注意すべき点は、「2025年以前にDCを受け取った人」にも新ルールが適用されることです。

例えば、2020年にDCを受け取った人が、6年後の2026年に会社の退職金を受け取る場合、これまではセーフ(5年以上経過)でしたが、改正後はアウト(10年以内)となり増税対象となります。

「受け取った当時は5年ルールだった」という言い分は通用しないため注意が必要です。

3. 5年(10年)以内に受け取ると税金はどう増えるのか

調整の対象となると、2回目に受け取る退職金(例:会社の退職金)の控除額計算において、「過去に受け取ったDCと重複している期間」の控除額を差し引く必要があります。

本来、退職所得控除は勤続年数が長いほど控除額が増えますが、この「みなし控除額の差し引き」により、2回目の退職金で使える非課税枠が大幅に減り、結果として課税対象額が増加します。

混同しやすい「19年ルール」との違い

「5年(新10年)ルール」とよく混同されるのが「19年ルール」です。これは受け取る順番がのケースに適用されます。今回の改正による変更はありません。

19年ルールの特徴: 会社の退職金を先に受け取った場合、その勤続期間と重複する期間の控除枠は「すでに使い切った」とみなされます。そのため、その後19年以内にDCを受け取っても、重複期間分の退職所得控除は再度利用できません。

4. 企業型DCの3つの受け取り方法と税制メリット

企業型DCの老齢給付金には、大きく分けて3つの受け取り方があります。

1. 一時金で受け取る(退職所得控除)

まとめて受け取る方法です。税制上最も優遇されています。

メリット: 控除額を超えた分も課税されるのはその2分の1だけです。

計算式:
勤続20年以下:40万円 - 勤続年数
勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

2. 分割で受け取る(公的年金等控除)

年金方式で受け取る方法です。「雑所得」扱いとなります。

注意点: 国民年金や厚生年金と合算されます。合計額が控除枠(65歳未満60万円、65歳以上110万円)を超えると課税対象となります。

3. 一時金と分割の併用

退職所得控除の枠ギリギリまでを一時金(非課税)にし、残りを年金で受け取ることで、税率を分散させる戦略です。

5. 新10年ルール時代の手取りを最大化するには

2026年の改正を見据え、損をしないための戦略を解説します。

戦略1:あえて「同じ年」にまとめて受け取る

10年も間隔を空けられない場合、中途半端に時期をずらすよりも「同じ年に全額受け取る」方が有利になるケースが増えます。

・ずらして受け取る場合: 2回目の受取時に「過去に使った控除額を差し引く」という厳しい調整計算が行われ、控除枠が大きく削られます。
・同時に受け取る場合: 調整計算は行われません。単純に「最も長い勤続期間(加入期間)」に基づいた控除枠を1回だけ適用します。

控除枠の「2回使い(ダブル適用)」はできませんが、複雑な計算で控除枠を削られるリスクを回避でき、結果として手取りが多くなる可能性があります。

戦略2:DCを「年金形式」で受け取り退職所得控除を温存する

一時金での受け取りにこだわらず、DCを「5年(10年)ルール」の適用対象外である「分割(雑所得)」で受け取る方法です。 これにより、会社の退職金(一時金)を受け取る際に、退職所得控除をフル活用できます。

戦略3:確定拠出年金の受取年齢を調整する

確定拠出年金は60歳から75歳の間で受取開始が行われます。※企業型DCの場合は、加入資格喪失するまでは受け取れません。

「会社の退職金は60歳で一時金受取」「確定拠出年金は65歳以降に年金受取(企業型DCの場合、65歳で加入資格喪失する場合を想定)」といった分散受給が有効です。

6. まとめ

2026年からの制度改正により、退職金と企業型DCの受け取り計画は「5年空ければOK」という単純なものではなくなります。

・改正点: DC受取後、10年以内に退職金を受け取ると控除額が大幅に減額される。
・注意点: 過去(2025年以前)に受け取ったDCも判定期間に含まれる。
・対策: 「年金受取の活用」や、あえて「同一年受取」を選択するシミュレーションや専門家に相談を行う。

退職金は老後の生活を支える大切な資金です。制度の変更を正しく理解し、ご自身のライフプランと照らし合わせて「手取り額が最大になる受け取り方」を選んでください。

日本企業型確定拠出年金センターでは、企業担当者のみなさまに、導入に関する個別相談を無料で行っています。企業型DCの受け取り開始時期に関する情報も詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。

よくある質問(FAQ)

Q 社長である私自身の退職金にも影響はありますか?

A はい、影響があります。

役員退職金は金額が大きくなりやすいため、企業型DCやiDeCoと受け取り時期が重なると、税負担に影響を与える場合があります。

Q iDeCo(イデコ)も今回の「10年ルール」の対象になりますか?

A はい、対象になります。

iDeCoの一時金も「退職所得」とみなされるため、会社の退職金や企業型DCと同じルールで合算・調整されます。

Q この改正はいつから適用されますか?

A 2026年(令和8年)1月1日以降に受け取る退職金から適用されます。

ただし、過去(2025年以前)に受け取ったDCも「過去10年分」として判定に含まれるため、直近で受け取り実績がある場合は注意が必要です。

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