インデックスファンドとは?初心者向けに投資信託やNISA・企業型DCの違いと選び方を解説
インデックスファンドとは?初心者向けに投資信託やNISA・企業型DCの違いと選び方を解説
「NISAやiDeCoを始めたいけれど、『インデックスファンド』という言葉の意味がよく分からない」 「投資信託と何が違うの?企業型DCでも選べるの?」
資産形成への関心が高まる中、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、インデックスファンドとは「日経平均株価などの『市場の平均点』と同じ値動きを目指す投資信託」のことです。初心者にとって失敗しにくく、資産形成の王道とされる投資対象です。
しかし、多くの人が「商品(インデックスファンド)」と「制度(企業型DC・NISAなど)」を混同してしまっています。ここを整理しないと、手数料や税金で損をしてしまう可能性があります。
この記事では、インデックスファンドの仕組みやメリット・デメリット、どの制度を使って投資を始めたらいいかについて、わかりやすく解説します。
1. インデックスファンドとは?市場平均に連動する「パッシブ運用」の投資信託
インデックスファンドとは、特定の指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託のことです。
「パッシブファンド」とも呼ばれます。
日経平均やS&P500などの「指数(インデックス)」とは何か
「指数(インデックス)」とは、株式市場全体の動きを表す「温度計」のようなものです。代表的なものには以下があります。
・日経平均株価(日経225): 日本を代表する225社の株価の平均。
・TOPIX(東証株価指数): 日本の株式市場全体の動きを示す。
・S&P500: 米国の代表的な優良企業500社の株価指数。
・MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(オルカン): 先進国と新興国を含む世界全体の株価指数。
インデックスファンドは、これらの指数と同じようなグラフを描くように設計されています。
インデックスファンドの仕組み:市場全体を丸ごと買うイメージ
インデックスファンドの仕組みは、詰め合わせのお弁当に例えられます。
・個別株投資: 「卵焼き(A社)」や「ハンバーグ(B社)」を単品で選んで買うこと。どれか一つが腐っていたら(株価が暴落したら)大きなダメージを受けます。
・インデックスファンド: 市場にあるすべてのおかずが少しずつ入ったお弁当を丸ごと買うこと。
例えば「日経平均連動型」のインデックスファンドを1つ買うだけで、実質的に日本の代表的な225社すべてに少しずつ投資しているのと同じ分散効果が得られます。
なぜ「初心者向き」と言われるのか?
最大の理由は、「高度な専門知識がいらない」からです。個別の企業の業績を分析したり、プロのように相場を予測したりする必要がありません。
「日本全体」「アメリカ全体」「世界全体」といった大きな枠組みを選ぶだけで、自動的に分散投資ができ、市場全体の成長を享受できる仕組みになっているため、投資の第一歩といわれています。
2. インデックスファンドとアクティブファンドの違いと特徴
投資信託には大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。
それぞれの違いを理解しておきましょう。
| 特徴 | インデックスファンド(パッシブ) | アクティブファンド |
| 目標 | 市場平均(指数)と同じ動きを目指す | 市場平均を上回る成績を目指す |
| 運用スタイル | 守り(機械的・自動的) | 攻め(プロが銘柄を厳選) |
| コスト(信託報酬) | 低め | 高め |
| リターン | 平均 | 平均以上にも、以下にもなる |
インデックスファンド(パッシブ):市場平均通りの成果を目指す
インデックスファンドは、コンピュータを使って指数構成銘柄を機械的に組み入れるため、人件費や調査費があまりかかりません。
その分、保有中にかかる手数料(信託報酬)が安く設定されています。「大勝ちはしないが、大負けもしない(平均点は取る)」という、守りの運用です。
アクティブファンド:市場平均以上の成果を目指す
アクティブファンドは、ファンドマネージャー(運用のプロ)が企業を訪問調査・分析し、「これから伸びる企業」を厳選して投資します。
プロの手間がかかる分、コスト(信託報酬)は高めです。
市場平均を大きく上回るリターンを出すファンドもありますが、読みが外れて市場平均を下回る成績になることも珍しくありません。
初心者にはどちらがおすすめ?成績とコストの比較
一般的に、初心者には「インデックスファンド」がおすすめといわれています。
過去の多くのデータにおいて、長期投資(10年、20年)になればなるほど、「アクティブファンドの大半が、インデックスファンドの成績に勝てない」というデータがあるからです。
理由の1つに「コストの差」があります。アクティブファンドが高い手数料分を取り返すほどのリターンを出し続けることは、プロであっても至難の業です。
したがって、コストが安いインデックスファンドを選ぶ方が、手元に残るお金が増える確率は高いといわれています。
3. 「インデックスファンド=投資信託」ではない?用語の違いと関係性
ここが初心者が最も混乱しやすいポイントです。「インデックスファンド」と「投資信託」、「NISA」や「iDeCo」はどう違うのでしょうか。
分かりやすく「箱(制度)」と「中身(商品)」の関係で整理しましょう。
投資信託との違い:インデックスファンドはカテゴリーの一部
「インデックスファンド」は「投資信託」という大きなグループの中の一つの種類です。「果物(投資信託)」の中に「りんご(インデックスファンド)」や「みかん(アクティブファンド)」があるイメージです。
基本的に、「投資信託をやる」ということは、「インデックスファンドかアクティブファンドを買う」ことを意味します。
企業型DC・iDeCo・NISAとの違い:これらは「制度(箱)」
ここが最も重要です。
・企業型DC・iDeCo・NISA: お得に投資するための「箱(口座・制度)」
・インデックスファンド: その箱の中に入れる「中身(金融商品)」
「NISAとインデックスファンド、どっちがいいですか?」という質問は、「お財布と1万円札、どっちがいいですか?」と聞いているのと同じで、比べる対象が違います。正しくは、「企業型DCやNISAという『お得な箱』を使って、インデックスファンドの『中身』を買う」となります。
注意点
同じ「全世界株式インデックスファンド」を買う場合でも、どの「箱(制度)」で買うかによって、税金の優遇幅(所得税・住民税の節税効果など)による「最終的な手残り」が全く異なります。制度選びは商品選びと同じくらい重要です。
ETF(上場投資信託)との違い
ETF(Exchange Traded Fund)もインデックスファンドの一種ですが、株式市場に「上場」している点が異なります。
・一般的なインデックスファンド(投資信託): 1日1回決まる基準価額で約定(売買)。金額指定(例:1万円分)で買える。積立向き。
・ETF(上場投資信託): 株のように市場が開いている間、リアルタイムの価格で約定(売買)。
基本的に、初心者の方が長期でコツコツ積み立てるなら、金額指定で自動積立がしやすい一般的なインデックスファンド(投資信託)が推奨されています。
4. 初心者がインデックスファンドを選ぶ3つのメリット
なぜこれほどまでにインデックスファンドが推奨されるのか、メリットを3つ挙げます。
メリット1:信託報酬(運用コスト)が低く長期投資に向いている
投資のリターンは不確実ですが、コストは確実なマイナスです。
インデックスファンドの信託報酬は、年率0.05%〜0.1%程度のものも多く登場しており、アクティブファンド(平均1%〜2%)と比べて格安です。
この差は、20年、30年と複利で運用すると数十万〜数百万円の差になります。
メリット2:1本で世界中や国全体の幅広い銘柄に分散投資できる
数千円〜数万円という少額から、世界中の企業に分散投資ができます。仮に1社が倒産しても、全体への影響は極めて軽微です。
「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言を、たった1本の商品で実践できます。
メリット3:商品設計がシンプルで初心者でも選び間違いが少ない
アクティブファンドには仕組みが複雑なものも多いですが、インデックスファンドは「どこ(国・地域)の」「何(株・債券等)に」投資するかだけの違いです。
分散すればするほど、リスクは減ります。
5. 知っておくべきインデックスファンドの2つのデメリット
メリットばかりではありません。リスクについても正しく理解しておきましょう。
デメリット1:市場平均を大きく上回る短期間でのリターンは期待できない
インデックスファンドはあくまで「平均点」を目指すものです。「1ヶ月で資産が2倍になる」といったような、短期的な爆発力はありません。
一発逆転を狙う投機(ギャンブル)的な利益を求める人には向いていません。
デメリット2:不況時など市場全体が下落する局面では損失が出る
市場全体に連動するため、リーマンショックやコロナショックのように「世界的に株価が暴落する」局面では、資産がマイナスになります。
ただし、過去の歴史において世界経済は、一時的な暴落を乗り越えて右肩上がりに成長してきました。
対策: 下落時こそ「安くたくさん買えるチャンス」と捉え、積立を止めずに「長期・積立・分散」を継続することが、損失を乗り越える鍵となります。
6. インデックスファンドの賢い始め方|目的別「NISA・DC」活用4ステップ
インデックスファンドを始める際、銀行の窓口に行く前に確認すべき手順があります。
重要なのは、「いつ使うお金なのか」を明確にし、その目的に合った最適な「箱(制度)」を選ぶことです。効率よく資産形成を行うためのステップを紹介します。
ステップ1:投資の「目的」と「期間」を整理する
まずは、何のために資産運用をするのかを考えましょう。目的によって適した制度が異なります。
・短期・中期(〜10年以内):結婚、住宅購入、子供の教育資金など。「必要な時にいつでも引き出せること」が重要です。
・長期(10年以上〜):老後資金、定年後の生活費など。「60歳まで使わない代わりに、税金を極力減らして効率よく増やすこと」が重要です。
ステップ2:目的に合わせて「箱(制度)」を使い分ける
投資信託を購入できる主な制度は、大きく分けて「NISA」と「確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)」の2つです。それぞれの得意分野を理解しましょう。
| 制度名 | NISA | iDeCo | 企業型DC |
| 税制メリット | 非課税 | ・掛金は全額所得控除 ・運用益は非課税 ・受取時は退職所得控除/公的年金等控除 |
・掛金は課税対象外 ・運用益は非課税 ・受取時は退職所得控除/公的年金等控除 |
| 引き出し | いつでも可 | 原則60歳以降 | 原則60歳以降 |
| 投資上限 | 360万円/年 | 最大27.6万円/年 ※第2号被保険者の場合。企業年金の有無等により上限は異なります。 |
最大66万円/年 ※他の企業年金がない場合 |
| 対象者 | 誰でも | 誰でも | 導入企業に勤務している人のみ |
※2025年12月現在の情報
・いつでも使えるお金を作りたいなら: 制限なく引き出せる「NISA」がおすすめです。
・老後資金を効率よく作りたいなら: 60歳まで引き出せない制約はありますが、投資するお金(掛金)自体が税金(所得税・住民税)の計算から除外される「企業型DC・iDeCo」が、金銭的メリットは大きくなる可能性があります。
ステップ3:勤務先の制度を確認し、優先順位を決める
自分の状況に合わせて、どの制度から始めるか、あるいはどう組み合わせるかを決定します。
まず勤務先の制度を確認: 会社に企業型DCの制度があるか確認してください。口座管理手数料は会社が負担するため、iDeCoよりも有利な条件で老後資金を作れる場合があります。
優先順位の決定:
・老後資金が最優先 → 企業型DC(なければiDeCo)の限度額を優先して使い、税負担を減らしながら積み立てる。
・直近のライフイベントが優先 → NISAを優先して現金の流動性を確保する。
・余裕がある場合 → 「DCで老後準備」+「NISAで自由資金」の併用がおすすめです。
ステップ4:目論見書を確認し、無理のない金額で積立設定を行う
利用する制度が決まったら、購入するインデックスファンドを選びます。
・コスト確認: 「目論見書(もくろみしょ)」を見て、信託報酬が低い商品を確認します。
・金額設定: 生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)は現金で手元に残し、それ以外の余剰資金で積立額を設定します。
あとは、日々の値動きに一喜一憂せず、淡々と自動積立を続けるだけです。時間が経つほど、複利効果と税制メリットがあなたの資産を育ててくれます。※これらは、一般的にいわれている内容です。
7. まとめ
インデックスファンドは、市場平均点を目指すシンプルで低コストな商品であり、初心者の資産形成における最強の味方です。
・インデックスファンドは「中身」: 市場全体に分散投資できる「お弁当パック」。
・重要なのは「箱(制度)」選び: 企業型DCやNISAなど、税制優遇のある制度を優先して使う。
・選び方のコツ: 手数料(信託報酬)が安いものを選ぶ
これから投資を始める方は、まず商品の銘柄選びに悩む前に、「自分の会社に企業型DC(選択制DC)などの有利な制度がないか」を確認することから始めてみるとよいでしょう。
有利な「箱」を確保し、その中で堅実な「インデックスファンド」を積み立てていくことが、将来の資産を築くための確実な第一歩となります。
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よくある質問(FAQ)
Q 「S&P500」や「オルカン」という言葉をよく聞きますが、何ですか?
A 代表的な「指数(インデックス)」の名前です。
「S&P500」はアメリカの優良企業500社、「オルカン(オール・カントリー)」は世界中の企業に分散投資する指数です。
Q 投資を始めるのに一番いいタイミングはいつですか?
A 「思い立った今」が一番の始め時です。
インデックスファンドは、時間をかけて複利効果(利息が利息を生む効果)で資産を増やします。
始めるのが早ければ早いほど、運用期間が長くなり有利になります。
Q インデックスファンドとアクティブファンド、初心者はどちらを選ぶべきですか?
A 一般的に、「インデックスファンド」がおすすめといわれています。
プロが銘柄を選ぶアクティブファンドは、手数料(信託報酬)が高めに設定されています。
長期的な運用成績を見ると、低コストなインデックスファンドの方が手元にお金が残りやすいというデータが多くあります。
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