退職金規程に企業型DCをどう書く?規程例と就業規則の変更手順
結論(この記事で分かること) 企業型DCを退職金制度として導入する場合、退職金規程(就業規則)の変更が必要です。常時10人以上の事業場では、変更案について過半数代表者等の意見を聴き、意見書を添えて労働基準監督署へ届け出たうえで従業員に周知します(労働基準法第89条・第90条・第106条)。条文はDC規約の内容と一致させることが最も重要です。
企業型DC導入支援を専門とする株式会社日本企業型確定拠出年金センター(1,300社以上の導入実績)が解説します。この記事では、変更が必要な条文、規程例(サンプル)、就業規則の変更手順を解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

結論:企業型DCを入れたら退職金規程の変更は必要
企業型DCを退職金として位置づけるなら、退職金規程の変更は必要です。退職手当の「適用される労働者の範囲」「決定、計算及び支払の方法」「支払の時期」は就業規則の記載事項だからです(労働基準法第89条第3号の2)。DCは掛金の決め方や給付の支払い方法が一時金と異なるため、条文の書き換えが必要です。

このセクションのポイント
- 退職金規程は就業規則の一部で、DC導入時は変更が必要
- 書き換えるのは「対象者」「掛金(計算方法)」「支払方法・時期」の条文
変更が必要な条文と規程例、変更手順
どの条文を変える必要があるか?
主に変更・追加が必要になるのは次の5項目です。
| 項目 | 記載する内容 | DC規約との対応 |
|---|---|---|
| 適用範囲 | 加入資格(対象となる従業員) | 加入者の資格 |
| 掛金 | 事業主掛金の算定方法(定額・定率等) | 事業主掛金の算定方法 |
| 給付 | 給付は法令と規約に基づき資産管理機関等から支払う旨 | 給付の額及び方法 |
| 勤続3年未満の扱い | 事業主返還の有無 | 返還資産額の算定方法 |
| 他制度との関係 | 既存の退職一時金・中退共等との関係 | 資産移換等 |
勤続3年未満で資格を失った人の事業主掛金相当分を会社に返還させる扱いは、規約で定めた場合に限り認められます(確定拠出年金法第3条第3項第10号)。
規程例(サンプル)はどう書くか?
【規程例(サンプル)】 第○条(確定拠出年金)会社は、退職金の全部(または一部)として、企業型確定拠出年金制度(以下「DC制度」)を実施する。 第○条(加入者)加入者は、○○株式会社企業型年金規約(以下「規約」)に定める資格を有する従業員とする。 第○条(掛金)会社は、規約の定めにより加入者ごとに毎月事業主掛金を拠出する。 第○条(給付)給付は、確定拠出年金法及び規約の定めにより資産管理機関等から支給し、会社は直接支給しない。 第○条(規約との関係)本規程に定めのない事項は、規約の定めるところによる。
※規程例はサンプルです。個社の規約・既存制度との整合確認が必要です。
就業規則の変更手順は?
常時10人以上の事業場では、次の3つの手続きが必要です。
- 意見聴取:過半数労働組合、ない場合は過半数代表者の意見を聴く(労働基準法第90条)
- 届出:意見書を添付し、所轄の労働基準監督署へ変更届を提出する(同法第89条・第90条)
- 周知:掲示・書面交付・社内システム等で従業員がいつでも見られる状態にする(同法第106条)

なお、DC規約の作成には過半数代表者等の「同意」が別途必要です(確定拠出年金法第3条第1項)。就業規則の「意見聴取」とは別手続きなので、書類を分けて整えます。
このセクションのポイント
- 変更の中心は加入資格・掛金・給付・勤続3年未満の扱いの条文
- 常時10人以上は「意見聴取→届出→周知」、DC規約は別途「同意」が必要
NDCセンターからのアドバイス
「DC規約を先に固め、規程を合わせる」順番で作ると食い違いが起きにくくなります。特に掛金額と勤続3年未満の返還の定めはずれやすい箇所です。既存の退職一時金を減らす場合は不利益変更の論点が生じるため、提携する社会保険労務士法人とうかいと連携して規程改定から届出まで支援します。

このセクションのポイント
- DC規約→退職金規程の順で整合させる
- 既存制度の減額を伴う場合は社労士と連携して進める
よくある質問(FAQ)
Q1. 企業型DCを入れたら就業規則は必ず変える必要がありますか? はい、退職金として位置づける場合は変更が必要です。退職手当の適用範囲・計算方法・支払時期は就業規則の記載事項とされています(労働基準法第89条第3号の2)。
Q2. 従業員10人未満でも届出は必要ですか? いいえ、届出義務は常時10人以上の事業場が対象です。ただし制度内容を明確にするため、退職金規程を作成し周知しておくことをおすすめします。
Q3. 就業規則の意見聴取と、DC規約の同意は同じものですか? いいえ、別の手続きです。就業規則は意見を聴く手続き、DC規約は過半数代表者等の同意が要件であり、それぞれ書類を整えます。
まとめ
企業型DCを退職金制度とするなら、退職金規程の変更と意見聴取・届出・周知が必要です。条文はDC規約と一致させてください。規程改定や不利益変更が気になる場合は、社会保険労務士法人とうかいと連携したNDCセンターの無料相談をご利用ください。

出典・参考資料
- 労働基準法 第89条・第90条・第106条:e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「就業規則の作成・変更・届出の義務」 https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/newpage_00483.html
- 確定拠出年金法 第3条(規約の承認・規約記載事項):e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000088
- 東京都TOKYOはたらくネット「就業規則 第6章 退職金・賞与等」(厚生労働省モデル就業規則準拠) https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shiryo/kisoku2025-chapter6.pdf
監修:株式会社日本企業型確定拠出年金センター(企業型DC導入支援の専門会社・1,300社以上の導入実績)




