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企業型DC・iDeCo「元本割れ8割」の嘘と真実|経営者が知るべき対策を解説

企業型DC・iDeCo「元本割れ8割」の嘘と真実|経営者が知るべき対策を解説

「iDeCoや企業型DCを導入しても、結局8割の人が元本割れして損をするらしい」

経営者の皆様の中には、このような噂を耳にし、従業員のための制度導入を躊躇されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。2025年12月現在、新NISAの普及とともに資産形成への関心は高まっていますが、ネット上には依然として不安を煽る古い情報や、制度の一側面だけを切り取った誤解が残っています。

結論から申し上げますと、「8割が元本割れ」という情報は、公的な統計データに基づく事実ではなく、iDeCo(個人型)の口座管理手数料の構造を極端に解釈して広まった「根拠のない噂」に過ぎません。

本記事では、なぜこのような「8割元本割れ」の噂が生まれたのかというカラクリと、経営者が従業員の資産を守るために知っておくべき「企業型DC(特に選択制DC)」の決定的な優位性について解説します。

1. 結論:「元本割れ8割」は構造を誤解した噂である

まず、この衝撃的な数字の正体について整理します。この数字は確定拠出年金制度全体の運用実績を示すものではなく、「手数料負け(=口座管理手数料による資産の目減り)」という現象を過大に解釈した噂話です。

噂の出所と「手数料負け」のカラクリ

この噂が生まれた背景には、iDeCo(個人型確定拠出年金)特有の「口座管理手数料」と「商品選択」のミスマッチがあります。

iDeCoは、加入者自身が最低でも月額171円(年間2,052円)以上の口座管理手数料を負担する必要があります。一方で、投資経験のない加入者が「元本確保型商品(定期預金など)」のみを選択してしまうケースが少なくありません。

超低金利時代において、定期預金の利息は微々たるものです。 つまり、「利息(ほぼゼロ)」から「口座管理手数料(年間2,000円以上)」が引かれることで、運用に失敗したわけではないのに、資産残高が目減りしていく現象が発生します。

これが「元本割れ」と言われる正体であり、投資信託で運用に失敗して市場で損をしたわけではありません。この「手数料負け」のリスクが独り歩きし、「確定拠出年金は8割が損をする」という極端な噂に変化したと考えられます。

2. なぜ企業型DCなら「噂のリスク」を排除できるのか

答えは、iDeCoで懸念される手数料負けは、企業型DCには構造上当てはまらないからです。

決定的な違いは「口座管理手数料を誰が払うか」

元本割れリスクには、大きく分けて「市場リスク(値動き)」と「口座管理手数料リスク(固定費)」の2つがあります。噂の元凶となったのは後者です。

・iDeCo(個人型): 口座管理手数料は個人負担。定期預金を選ぶと、手数料負けして元本割れする可能性がある。
・企業型DC: 口座管理手数料は会社負担。従業員個人の固定費負担がない。

つまり、企業型DCであれば、仮に従業員がリスクを嫌って「定期預金」を選んだとしても、口座管理手数料は会社が負担しているため、従業員の積立金が「手数料負け」で目減りすることは構造上発生しません。

3. 経営者が推奨すべき「従業員を守る投資原則」

投資信託(株式など)を選択した場合、一時的な市場変動により元本割れリスク(市場リスク)が発生する可能性があります。

しかし、企業が適切な「投資教育」を提供することで、従業員がこれらのリスクを理解し、自身の許容範囲内で対応できるようになることが期待されます。

長期・積立・分散の徹底

世界経済の成長に合わせて資産を増やす王道です。長期積立により、高値掴みを防ぎ(ドルコスト平均法)、リスクを引き下げます。

年齢に合わせたポートフォリオ

「絶対に損をしたくない」と20代の社員が定期預金のみを選ぶのは、インフレリスク(現金の価値目減り)を考えると逆にリスクとなります。若いうちはリスクを取って増やし、退職が近づいたら安全資産に移すといった方法があります。

税制優遇を含めたトータルリターン

企業型DCの最大のメリットは税制優遇です。掛金は全額が給与算定対象外となるため、所得税・住民税の負担を軽減できます。

仮に運用益がゼロだったとしても、負担軽減できた金額の分だけ、従業員の実質手取り額は増えます。

これも元本割れリスクを補う大きな要素です。

4. 掛金コストを抑えて福利厚生を充実させる「選択制DC」

「従業員のために制度を入れたいが、掛金コストが増えるのは厳しい」とお考えの経営者様に適しているのが、「選択制DC」です。

選択制DCは、従業員に対し「今の給与の一部を、DCの掛金として積み立てるか、そのまま給与として受け取るか」の選択権を与える制度です。

経営者と従業員双方のメリット

1. 会社側の掛金負担なし: 既存の給与原資を活用するため、会社が新たに掛金を上乗せする必要はありません。「将来のための積立制度(箱)」を用意し、利用するかどうかは従業員の判断に委ねることができます。

2. 従業員の「手取り」を増やす支援: 掛金として拠出した分は、給与算定対象外となります。そのため、従業員は「所得税」と「住民税」の負担を軽減しながら、効率よく老後資金を作ることができます。

3. 経営者自身の資産形成も可能: 企業型DCは役員も加入可能です。拠出する掛金は全額損金算入できます。

5. まとめ

「iDeCo・企業型DCは8割が元本割れ」という情報は、iDeCoの口座管理手数料の構造を誤解した噂に過ぎません。

口座管理手数料を会社が負担する企業型DCにおいては、「手数料負けによる元本割れ」は発生しません。むしろ、従業員の資産形成を後押しする制度といえます。

・口座管理手数料は会社負担: スタート地点でiDeCoより有利。
・税制優遇: 運用成績に関わらず、所得税・住民税の負担軽減。
・選択制DCの活用: 会社の掛金コストゼロで、従業員と役員の手取り最大化を支援。

「従業員の将来を守りたいが、掛金コストは抑えたい」とお考えの経営者様こそ、まずは選択制DC導入によって、ご自身と従業員がどれくらい税制メリットを受けられるか専門家に相談することをおすすめします。

経営者・企業担当者の方へ

日本企業型確定拠出年金センターでは、経営者・企業担当者のみなさまに、企業型DC導入に関する個別相談を無料で行っています。企業型DC導入のメリット・デメリットも詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。

よくある質問(FAQ)

Q 「確定拠出年金は8割が元本割れする」というのは本当ですか?

A いいえ、事実ではありません。

この数字は公的なデータではなく、個人型(iDeCo)で定期預金を選んだ場合に「手数料負け」してしまうケースを極端に解釈した噂に過ぎません。
制度全体で8割が運用に失敗しているわけではないのでご安心ください。

Q なぜ「手数料負け」が起きるのですか?

A 利息よりも口座管理手数料が高くなってしまうからです。

iDeCo(個人型)では、加入者が毎月口座管理手数料を支払います。
定期預金の利息がほぼゼロの状態で、口座管理手数料だけが引かれ続けると、積み立てた元本が目減りしてしまいます。

Q 運用で損をするのが不安です。リスクを減らす方法はありますか?

A 「長期・積立・分散」の3つを徹底することです。

時間をかけてコツコツと、広く分散投資することで、リスクを抑えながら安定したリターンを目指すことができます。

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