資産形成は企業型DCと保険どちらが得?税制優遇と仕組みを比較します 2025.11.25 資産形成は企業型DCと保険どちらが得?税制優遇と仕組みを比較します 将来に向けた資産形成とは、貯蓄や投資を通じて計画的にお金を準備することです。 その有力な手段として、会社の制度である企業型DC(企業型確定拠出年金)と、民間の生命保険がよく比較検討されます。 どちらも将来の安心につながる選択肢ですが、資金の流動性や税制優遇のルールには大きな違いがあります。この記事では、それぞれの特徴を比較し、あなたがどちらを選ぶべきか判断するための情報を解説します。 目次1. はじめに:今なぜ資産形成が必要とされている理由2. 資産形成の二大選択肢:企業型DCと保険の基本を知る企業型DC(企業型確定拠出年金)の仕組みと特徴資産形成に利用される保険の種類と仕組み3. 企業型DCの税制優遇メリット3選1. 掛金は給与算定対象外2. 運用益が非課税3. 受け取り時の税制優遇4. 企業型DCのデメリット原則60歳まで引き出せない運用結果次第では「元本割れ」の可能性がある5. 保険で資産形成を行うメリット万が一の死亡保障などを準備しながら貯蓄ができる生命保険料控除によって税負担を軽くできる専門家と相談しながら商品を選べる6. 注意すべき保険での資産形成のデメリット企業型DCよりも高いリターンは期待しにくい契約途中での解約は元本割れのリスクがある7. 【結論】目的によって最適な選択は変わる目的が老後資金なら企業型DC保障と貯蓄を両立したいなら保険8. まとめよくある質問(FAQ)Q 企業型DCと保険、結局どちらを選べばいいですか?Q 企業型DCと保険を併用することはできますか?Q 急にお金が必要になった時、途中で引き出せますか? 1. はじめに:今なぜ資産形成が必要とされている理由 平均寿命が延び、「人生100年時代」といわれる現代において、老後の生活資金をいかに準備するかは多くの人にとって重要な課題です。 公的年金制度だけでは、ゆとりある生活を送るのが難しくなる可能性も指摘されています。このような背景から、現役時代から自助努力で資産を形成し、将来に備える必要性が高まっています。 早いうちから計画的に準備を始めることで、長期的な視点で安定した資産を築くことが可能となります。 2. 資産形成の二大選択肢:企業型DCと保険の基本を知る 資産形成をする上で、選択肢の1つとなるのが企業型DCと保険です。 どちらも毎月コツコツと資金を積み立てていく「積立投資」が基本となりますが、その目的や仕組みは大きく異なります。 ・企業型DC: 老後資金作りに特化した制度で税制優遇が手厚い。 ・保険: 万が一の保障を確保しながら貯蓄ができる。 ここでは、それぞれの基本的な仕組みを解説します。 企業型DC(企業型確定拠出年金)の仕組みと特徴 企業型DCは、会社や従業員が掛金を拠出し、加入者が自ら運用商品を選んで資産を形成する年金制度です。 運用商品には投資信託や保険商品、定期預金などがあり、これらの配分は加入者が自己責任で決定します。そのため、運用成績次第で将来受け取る年金額が変動するのが特徴です。 あくまで「老後の生活資金」を目的としているため、原則として60歳まで資金を引き出すことはできません。 資産形成に利用される保険の種類と仕組み 資産形成に活用できる保険には、終身保険、養老保険、個人年金保険、変額保険などがあります。 これらの保険は、支払う保険料の一部が死亡保障などのコストや保険会社の運営経費に充てられ、残りの部分が貯蓄や運用に回される仕組みです。 例えば、変額保険は運用実績によって解約返戻金や満期保険金が変動します。 死亡保険金には最低保証がある商品が一般的ですが、解約時の受取額(解約返戻金)は運用実績によって変動し、タイミングによっては払込保険料総額を下回る(最低保証がない)ケースがあります。 3. 企業型DCの税制優遇メリット3選 企業型DCの税制優遇に関するメリットを解説します。 1. 掛金は給与算定対象外 従業員が拠出する事業主掛金は、給与算定対象外となり、住民税や所得税の負担が軽減します。 また、マッチング拠出を利用した場合、加入者掛金については小規模企業共済等掛金控除として所得控除になります。 生命保険料控除には控除できる金額に上限(枠)が設けられていますが、企業型DCの場合は拠出した全額が控除対象となります。そのため、資産形成をしながら効率的に毎年の税負担を軽減することが可能です。 2. 運用益が非課税 通常の証券口座(特定口座など)で運用して利益が出た場合、約20%の税金がかかります。しかし、企業型DCの制度内での運用であれば、この運用益が全額非課税となります。 本来引かれるはずの税金分もそのまま再投資に回せるため、複利効果を最大限に活かせます。特に20年、30年といった長期投資においては、このメリットが最終的な資産額に大きな差を生みます。 3. 受け取り時の税制優遇 積み立てた資産を60歳以降に受け取る際にも、税制上の優遇措置があります。 ・一時金受け取り: 「退職所得控除」が適用され、勤続年数に応じた大きな非課税枠が利用できます。 ・年金受け取り: 「公的年金等控除」の対象となり、公的年金と合算して税計算上の優遇が受けられます。 4. 企業型DCのデメリット 税制メリットが大きい企業型DCですが、制度上の制約(デメリット)も存在します。これらを正しく理解しておくことが重要です。 原則60歳まで引き出せない 企業型DCは老後資金専用の制度であるため、原則として60歳まで資産を引き出すことができません。 (※60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受取開始可能年齢が最大65歳まで後ろ倒しになります) 住宅購入や教育資金など、現役時代に必要となる資金には使えないため、これらは別途、預貯金などで準備する必要があります。 運用結果次第では「元本割れ」の可能性がある 投資信託などで運用する場合、市場環境によっては資産が掛金総額を下回る「元本割れ」のリスクがあります。 ただし、企業型DCの商品ラインナップには「定期預金」などの元本確保型商品も用意されています。自身のリスク許容度に合った資産配分を行うことや、「長期・積立・分散」投資を心がけることが重要です。 5. 保険で資産形成を行うメリット 保険を活用した資産形成は、企業型DCとは異なる形で安心感をもたらす場合があります。 万が一の死亡保障などを準備しながら貯蓄ができる 貯蓄性のある保険の最大の利点は、資産形成の途中で契約者に万が一のこと(死亡や高度障害など)があった場合、まとまった保険金が支払われる点です。 投資信託のみの場合、資産が十分に貯まる前に何かが起きると計画が崩れますが、保険であれば経済的なリスクをカバーできます。 生命保険料控除によって税負担を軽くできる 生命保険料を支払うことで、「生命保険料控除」を利用できます。 控除額には上限がありますが、所得税・住民税の負担を軽減しつつ、将来のための資産と保障を同時に準備できる点は保険ならではのメリットです。 専門家と相談しながら商品を選べる 保険商品は仕組みが複雑なものもありますが、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、ライフプランに合わせた商品設計が可能です。投資初心者にとって、直接相談できる安心感は大きな要素です。 6. 注意すべき保険での資産形成のデメリット 保険には「保障コスト」がかかるため、純粋な投資効率としては注意が必要です。 企業型DCよりも高いリターンは期待しにくい 保険料の一部は保障や経費に充てられるため、支払った全額が運用されるわけではありません。そのため、投資信託を直接購入して運用する企業型DCと比較すると、資産の増加スピードは緩やかになる傾向があります。 契約途中での解約は元本割れのリスクがある 多くの貯蓄型保険は、早期に解約すると「解約返戻金」が払込保険料の総額を大きく下回ることがあります。 急にお金が必要になっても安易に現金化しにくいため、満期まで無理なく払い続けられる計画が必要です。 7. 【結論】目的によって最適な選択は変わる これまで見てきたように、企業型DCと保険はそれぞれ異なる特徴を持っています。 どちらが優れているということではなく、個人の資産形成の目的や価値観によって最適な選択は変わります。 老後のための資産形成を最優先に考えるのであれば、税制優遇の大きい企業型DCがおすすめの選択肢です。 一方で、万が一の保障も同時に確保したいと考えるなら保険が適しています。 自身のライフプランをよく考え、必要であれば専門家への相談も活用しながら、自分に合った方法を選びましょう。 目的が老後資金なら企業型DC 目的が「老後のための資産形成」であれば、企業型DCを最優先すべきです。保険商品は保障のためのコストが含まれますが、企業型DCはダイレクトに投資へ資金が回るため、資金効率が高いのが特徴です。 掛金が給与算定対象外であることや運用益非課税といったメリットは、効率的に資産を増やす上で最適解と言えます。 保障と貯蓄を両立したいなら保険 「自分に何かあった時に家族を守りたい」「ある程度の強制力を持って貯蓄したい」という場合は、保険が適しています。 リターンは控えめですが、保障という安心感を得ながら資産形成が可能です。 8. まとめ 資産形成の手段として、企業型DCと保険はそれぞれ明確な役割を持っています。 ・企業型DC: 税制優遇を活用して、老後資金を効率的に最大化する。 ・保険: 万が一のリスクヘッジをしながら、中長期的な資金を作る。 どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。「老後資金のベースは企業型DCで作り、万が一の備えは保険で補う」といったように、目的を分けて両者を組み合わせるのも方法の1つです。 ご自身のライフプランに合わせて、最適なバランスを見つけてください。 日本企業型確定拠出年金センターでは、企業担当者のみなさまに、企業型DC導入に関する個別相談を無料で行っています。企業型DC導入のメリット・デメリットも詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。 よくある質問(FAQ) Q 企業型DCと保険、結局どちらを選べばいいですか? A 目的によります。 「老後の生活資金」を効率よく増やしたいなら税制メリットが大きい企業型DCがおすすめです。 一方、「万が一の時の保障」も同時に確保したい場合は、保険を選ぶのが適しています。 Q 企業型DCと保険を併用することはできますか? A はい、可能です。 例えば「老後資金のベースは企業型DCで作り、万が一の備えは保険で補う」といったように、両方のメリットを活かして組み合わせる方法もあります。 Q 急にお金が必要になった時、途中で引き出せますか? A 企業型DCは原則60歳まで引き出すことができません。 保険は解約すれば現金化できますが、早期解約だと支払った額より戻ってくるお金が少なくなる(元本割れする)可能性があるため注意が必要です。 お問合せ・ご相談はこちら お気軽にお問合せください 営業時間:9:00〜17:00休業日:土曜・日曜・祝日 お電話でのお問い合わせはこちらTEL:050-3645-9040※導入に関するご相談を承っております。個人の方の質問はお答えできませんのでご了承ください。 企業型DCで月1万円は少ない?メリットと30年のシミ... 公的年金等控除とは?計算方法や企業型DC(一時金・年...