社会保険適用拡大(2026年10月)と企業型DCへの影響|対応策を解説
2026年10月、社会保険の適用拡大がまた一段と進みます。これにより、従業員数が51人以上の企業では、パートタイム・アルバイト労働者の社会保険加入が義務化されます。この変化は、単に社会保険料負担の増加にとどまらず、企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度設計にも直接影響を与えます。
本記事では、2026年10月の適用拡大の概要と、企業型DCへの具体的な影響、そして今すぐ着手すべき対応策を解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

① 2026年10月から何が変わる?社会保険適用拡大のポイント
社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大は、2022年10月・2024年10月と段階的に進められてきました。2026年10月からは、従業員51人以上の企業を対象に、以下の条件をすべて満たすパートタイム・アルバイト労働者が新たに社会保険の被保険者となります。

適用拡大の加入要件(2026年10月〜)
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 週所定労働時間 | 20時間以上 |
| 月額賃金 | 8.8万円以上(年収106万円相当) |
| 雇用見込み | 2か月超 |
| 学生 | 適用除外 |
2024年10月からは従業員101人以上の企業が対象でしたが、2026年10月からは51人以上へ拡大されます。
この改正により、これまで国民年金・国民健康保険に加入していたパートタイム労働者が、新たに厚生年金・健康保険の被保険者となります。企業にとっては社会保険料の事業主負担が増加しますが、同時に企業型DCの制度設計を見直す好機でもあります。
② 企業型DCの加入対象者への影響
企業型DCは、原則として厚生年金の被保険者が加入対象となります。したがって、2026年10月以降に社会保険に新たに加入するパートタイム労働者は、企業型DCへの加入対象者にもなり得ます。
加入対象者が増えることで生じる課題
- 掛金総額の増加:加入者数が増えれば、会社が負担する掛金(マッチング拠出なども含む)の総額が増加します。
- 規約変更の必要性:既存の企業型DC規約において、加入対象者の定義が「正社員のみ」などとなっている場合、パートタイム労働者の扱いを規約で明確化する必要が生じます。
- 投資教育の実施:新たな加入者に対する継続投資教育の義務が発生します。

「加入対象者から除外」できるケースも
企業型DCの規約設計上、一定の条件を設けてパートタイム労働者を加入対象から除外することも可能です(例:「週30時間未満の者は加入不可」など)。ただし、合理的な理由が必要であり、規約変更には労使合意と届出が必要です。
③ 選択制DCの設計・掛金上限への影響
選択制DC(選択制確定拠出年金)とは、従業員が給与の一部を企業型DCの掛金として拠出するか、通常の給与として受け取るかを選択できる制度です。会社が新たに掛金を負担する必要がないため、中小企業を中心に多くの企業が導入しています。
(株)日本企業型確定拠出年金センターが取り扱う「SBIぷらす年金プラン」は、SBIベネフィット・システムズと共同開発した選択制DCのパッケージプランです。すでに1,300社以上の企業に導入実績があり、中小企業にも使いやすい設計が特徴です。

適用拡大後の掛金上限への注意点
2026年10月以降、パートタイム労働者が選択制DCに加入する場合、掛金として拠出できる上限額は本人の給与水準に依存します。月額賃金8.8万円(年収約106万円)程度の方が拠出できる掛金は限られるため、制度設計時に加入者層の給与帯を踏まえたプラン設計が重要です。
また、企業型DCには法令上の掛金上限(他の企業年金がない場合:月額55,000円、他の企業年金がある場合:月額27,500円)がありますが、選択制DCの場合はこれとは別に、給与の一定割合を上限とする設計が一般的です。

④ 会社が今すぐやるべき対応3ステップ
ステップ1:対象となるパートタイム労働者の人数を把握する
まず、2026年10月以降に社会保険に新規加入する従業員の数を把握しましょう。週20時間以上・月額賃金8.8万円以上の方が対象となります。既存の企業型DC加入者に影響が出るかどうかの試算も重要です。自社の従業員構成を整理し、影響範囲を早期に確認することが第一歩です。
ステップ2:企業型DC規約の加入対象者要件を確認・見直す
現行の企業型DC規約において、加入対象者の定義を確認してください。パートタイム労働者を加入対象に含めるか、除外するかを検討し、必要に応じて規約変更の手続きを進めます。規約変更には労使合意と厚生労働大臣への届出が必要です(届出先:国民年金基金連合会)。手続きには一定の時間を要するため、早めの着手が肝心です。

ステップ3:掛金設計・制度コストの再試算を行う
新たな加入者が増えた場合の掛金総額・事務コストを試算し、現行制度の継続可否を判断します。選択制DCを活用すれば、会社の新たな掛金負担を抑えながら制度を継続・拡大できます。コスト面での影響を早期に把握することで、経営判断に余裕が生まれます。
⑤ FAQ
Q1. 2026年10月から社会保険に加入するパートタイム労働者は、必ず企業型DCに加入しなければなりませんか?
A. 必ずしも加入させる必要はありません。企業型DCの規約において加入対象者の要件を定めることができるため、例えば「週30時間以上の者」などの条件を設けることで、パートタイム労働者を加入対象から除外することが可能です。ただし、規約変更には労使合意と届出が必要です。
Q2. 選択制DCを導入している場合、会社の掛金負担は増えますか?
A. 選択制DCは従業員が自分の給与の一部を掛金として拠出する仕組みのため、会社が新たに掛金を負担する必要はありません。ただし、加入者が増えると事務手数料などのコストが変動する場合があります。事前にコストシミュレーションを行うことをお勧めします。
Q3. 企業型DCの規約変更にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 規約変更の手続き(労使合意→規約変更届の提出→受理)には通常1〜3か月程度かかります。2026年10月の施行に間に合わせるためには、2026年夏ごろまでに着手することをお勧めします。
Q4. パートタイム労働者向けの投資教育はどのように行えばよいですか?
A. 企業型DCの運営管理機関(金融機関)が提供する教育コンテンツ(動画・テキスト・Webセミナーなど)を活用するのが一般的です。(株)日本企業型確定拠出年金センターでは、加入者向けの継続教育サポートも提供しており、オンライン全国対応で対応しています。
Q5. 51人の従業員数はどのように数えますか?
A. 社会保険適用拡大における従業員数は、現時点で社会保険に加入している被保険者数でカウントします。パートタイム労働者など適用除外者は含みません。自社の該当人数について不明点がある場合は、社会保険労務士や専門機関にご相談ください。
まとめ
2026年10月の社会保険適用拡大は、企業型DCの加入対象者・規約・掛金設計に直接影響します。対応が遅れると、制度違反や従業員とのトラブルにつながる可能性もあります。今から準備を始めることが重要です。

(株)日本企業型確定拠出年金センターは、全国1,300社以上の企業型DC導入を支援してきた専門機関です。SBIベネフィット・システムズと共同開発した「SBIぷらす年金プラン」を中心に、貴社の状況に合わせた最適な制度設計をご提案します。オンライン全国対応のZoom相談(60分・無料)を実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。




