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退職所得課税2026年改正(10年ルール)の実務Q&A|経営者・役員が取るべき行動

退職所得課税2026年改正(10年ルール)の実務Q&A|経営者・役員が取るべき行動

退職金にかかる税制が大きく変わろうとしています。2026年の税制改正により、企業型確定拠出年金(企業型DC)の一時金と退職一時金を別々のタイミングで受け取る場合の課税ルールが見直される見込みです。特に、経営者や役員にとっては退職後の手取り額に直結する重要な改正です。

本記事では、いわゆる「10年ルール」の概要と、企業型DCを活用している経営者・役員が今取るべき実務対応を解説します。

※本記事の内容は2026年6月時点の情報に基づいており、最終的な法令・通達の内容は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員  企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕

  • DCプランナー2級
  • AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
  • 企業年金管理士
  • 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
  • 情報セキュリティマネジメント試験合格
  • 知的財産管理技能検定3級
  • グーグルデジタルワークショップ修了
  • 給与計算実務能力検定2級

▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center

NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

① 退職所得課税2026年改正とは?概要を整理

退職所得の課税の仕組みおさらい

退職所得は、次の計算式で課税所得を算出します。

退職所得 =(退職収入 − 退職所得控除額)× 1/2

退職所得控除は、勤続年数が長いほど大きくなる仕組みです(勤続20年以下:40万円×勤続年数、20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年))。この優遇税制があるため、退職金は他の所得と比べて税負担が非常に軽い特徴があります。

改正前の「5年ルール」とは

これまでは、企業型DCの一時金を受け取った後、5年を超えてから退職一時金を受け取れば、それぞれの退職所得控除を独立して使うことができました(「分離課税の5年ルール」)。例えば、60歳でDC一時金を受け取り、65歳以降に退職一時金を受け取れば、各々に対して退職所得控除が適用されるため、税負担を大幅に軽減できていました。

2026年改正:「10年ルール」への変更

2025年末に決定した2026年度税制改正大綱において、この空白期間が5年から10年に延長される方向で検討されています。つまり、DC一時金を受け取ってから退職一時金を受け取るまでに10年以上の間隔が必要になる可能性があります。

この改正は、特に60歳前後でDC一時金と退職一時金の両方を受け取る予定の経営者・役員に大きな影響を与えます。

② 「10年ルール」が経営者・役員に与える影響

典型的な影響シナリオ

例えば、60歳で企業型DC一時金を受け取り、63歳で役員退職金を受け取る予定だったケースを考えます。

  • 改正前(5年ルール):63歳時点で5年を超えていないため、退職所得控除の重複適用に一定の制限はあったものの、工夫次第で節税が可能でした。
  • 改正後(10年ルール):DC一時金受取から10年未満の退職一時金には、退職所得控除の通算計算が行われ、控除額が圧縮される可能性があります。

具体的な影響額は役員報酬・勤続年数・受取額によって異なりますが、数百万円単位の税負担増になるケースも想定されます。

中小企業の経営者に多い「DC+役員退職金」の設計

中小企業では、経営者自身も企業型DCに加入しながら、退任時に役員退職金(功績倍率方式)を受け取るケースが一般的です。この設計のまま10年ルールが適用されると、従来の節税効果が大幅に低下します。全国1,300社以上の導入支援実績を持つ当センターにおいても、この点を懸念される経営者からの相談が増えています。

③ 企業型DC一時金と退職一時金の受け取り順序の最適化

10年ルールへの対応として、受け取り順序の最適化が重要です。

パターンA:DC一時金を先に受け取り、10年後に退職一時金

60歳でDC一時金を受け取り、70歳で退職一時金を受け取る設計です。10年の間隔を確保できれば、それぞれに退職所得控除を最大活用できます。ただし、役員の在任期間が10年以上必要になるため、現実的かどうか慎重に検討が必要です。

パターンB:退職一時金を先に受け取り、その後DC一時金

役員を退任して退職一時金を受け取り、その後にDC一時金を受け取るパターンです。DC一時金には、退職所得控除の残余部分が適用されます。DC加入期間が長い場合に有利になることがあります。

パターンC:DC一時金を「年金形式」で受け取る

DC一時金を一括で受け取らず、年金形式(分割受取)を選択すれば、退職所得課税ではなく雑所得として課税されます。受け取り総額や他の所得との兼ね合いによっては、一時金よりも手取りが多くなるケースもあります。

SBIベネフィット・システムズと共同開発した「SBIぷらす年金プラン」では、こうした受取方法の柔軟なカスタマイズが可能です。一時金・年金・併用といった選択肢の中から、個々の経営者の状況に合わせた最適な受取設計をご提案しています。

※どのパターンが最適かは個人の状況により異なります。必ず税理士等の専門家にご相談ください。

④ 改正を踏まえた制度設計の見直しポイント

規約における受取年齢の柔軟化

企業型DCの規約で定める「受取開始年齢」を60歳〜75歳の範囲で柔軟に設定できるようにしておくことが重要です(法改正により75歳まで受け取り開始を繰り下げ可能)。役員の退任予定時期と10年ルールを考慮した上で、最適な受取時期を設計します。

新規加入時からの出口設計

企業型DCに新規加入する経営者・役員については、最初から出口(受取方法・タイミング)を見据えた設計が重要です。特に選択制DCは、会社の新たな掛金負担がない仕組みのため、役員が加入してもコスト増を抑えながら退職給付を積み立てることができます。この点は中小企業の経営者にとって大きなメリットです。

退職金規程との整合性確認

役員退職金の支給時期を定めた退職金規程と、企業型DCの受取時期が矛盾しないよう整合性を確認してください。特に、役員退任後も会社に残る(顧問・嘱託)ケースでは、「退職」の認定時期が問題になることがあります。

⑤ FAQ(よくあるご質問)

Q1. 10年ルールは2026年以前に加入した企業型DCにも適用されますか?

A. 改正の施行日以降に受け取りが発生する場合には新ルールが適用される可能性があります。既に加入されている方も含め、早めに税理士への相談をお勧めします。制度加入時期にかかわらず、現在の規約・規程の確認を今すぐ始めることが重要です。

Q2. DC一時金を60歳で受け取り、70歳で退職する場合、10年ルールをクリアできますか?

A. 10年の間隔があれば、それぞれに退職所得控除を独立して使える可能性があります。ただし、勤続年数・受取額・退職所得控除の計算方法は複雑なため、個別に試算が必要です。70歳まで現役を続ける意向がある経営者の方には、このパターンが有力な選択肢になり得ます。

Q3. 年金形式で受け取れば10年ルールの影響を受けませんか?

A. DC一時金(一括受取)ではなく年金形式を選択した場合、退職所得ではなく雑所得として課税されるため、10年ルールの影響を受けません。ただし、雑所得として他の所得と合算されるため、総合的な税負担の試算が必要です。SBIぷらす年金プランでは年金形式での受取設計にも対応しています。

Q4. 選択制DCを導入している場合、役員も加入できますか?

A. 企業型DCは役員も加入対象となります(規約の設計次第)。選択制DCは会社の新たな掛金負担がないため、役員の加入によるコスト増を抑えながら退職給付を積み立てることができます。中小企業の経営者にとって、メリットの大きい選択肢です。

Q5. 今から対応するために何をすべきですか?

A. まずは①現在の企業型DC規約と退職金規程の確認、②役員の退任予定時期とDC受取時期の試算、③税理士へのシミュレーション依頼、の3点から着手することをお勧めします。(株)日本企業型確定拠出年金センターでは、無料相談(Zoom 60分)にて制度設計のご相談を全国オンラインで承っています。

まとめ

2026年の退職所得課税改正(10年ルール)は、企業型DCと退職一時金の両方を受け取る予定の経営者・役員にとって、手取り額に直結する重要な改正です。受け取り順序の最適化や規約の見直しを、今から準備することが節税対策の鍵となります。

(株)日本企業型確定拠出年金センターは、全国1,300社以上の企業型DC導入を支援してきた専門機関です。SBIベネフィット・システムズと共同開発した「SBIぷらす年金プラン」を活用した最適な制度設計をご提案します。選択制DCなら会社の新たな掛金負担もなく、今すぐ導入を検討できます。まずはお気軽に無料相談(Zoom 60分)をご活用ください。全国どこからでもオンラインで対応しています。

※本記事は税務アドバイスを提供するものではありません。具体的な税務対応については税理士等の専門家にご相談ください。

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