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公的年金等控除とは?計算方法や企業型DC(一時金・年金)の受け取り方も解説

公的年金等控除とは?計算方法や企業型DC(一時金・年金)の受け取り方も解説

老後の生活資金として頼りになる公的年金や企業型確定拠出年金(企業型DC)ですが、受け取る年金は全額が手元に残るわけではなく、所得税や住民税の課税対象となることをご存じでしょうか。

このとき、税金の負担を軽減してくれる重要な仕組みが「公的年金等控除」です。

本記事では、公的年金等控除の仕組みや計算方法、そして企業型DCの受け取り方について解説します。

1. 公的年金等控除とは?仕組みと雑所得の計算

公的年金等控除(こうてきねんきんとうこうじょ)とは、その名の通り、公的な年金を受け取る際に適用される「所得控除」のことです。

通常、自営業者などが収入を得る場合は、売上から「経費」を差し引いて所得を計算します。しかし、年金受給者には経費という概念がありません。そこで、「年金受給者にとっての必要経費」として、あらかじめ決められた金額を収入から差し引くことを認めたのがこの制度です。

年金収入は「雑所得」扱い!経費の代わりに控除がある

所得税法上、公的年金や企業年金などは「雑所得(ざつしょとく)」に分類されます。雑所得の金額は、以下の計算式で求められます。

・公的年金等に係る雑所得の計算式
年金収入の合計額 - 公的年金等控除額 = 雑所得

ここで算出された「雑所得」から、さらに「基礎控除」や「社会保険料控除」などを差し引いた残りの金額(課税所得)に対して、税率がかけられます。 つまり、「公的年金等控除」+「基礎控除などの各種控除」の合計よりも年金額が少なければ、税金はかかりません。

控除の目的は高齢者の生活負担軽減

この制度は、高齢者の生活の基盤となる年金収入に対し、過度な税負担をかけないよう配慮するために設けられています。

特に、65歳以上の受給者には、65歳未満の受給者よりも手厚い控除額が設定されており、高齢期の生活安定を税制面から支えています。

2. 公的年金等控除の対象となる年金・ならない年金

一口に「年金」と言っても、すべての年金が課税対象(=控除の対象)になるわけではありません。まずは、ご自身が受け取る予定の年金がどちらに分類されるかを確認しましょう。

・対象となる年金(老齢基礎・厚生年金、企業型DCなど)

公的年金等控除の対象となるのは、主に「老後の生活資金」としての性質を持つ年金です。

・国民年金(老齢基礎年金)
・厚生年金(老齢厚生年金)
・企業型確定拠出年金(企業型DC): 年金形式で受け取る場合
・個人型確定拠出年金(iDeCo): 年金形式で受け取る場合
・確定給付企業年金(DB): 年金形式で受け取る場合
・恩給(過去の勤務に基づき支給されるもの)

これらはすべて合算され、その合計額に対して控除が適用されます。

・対象外の非課税年金(遺族年金・障害年金)

一方で、社会政策的な配慮からそもそも非課税とされている年金があります。これらは所得としてカウントされないため、確定申告も不要ですし、公的年金等控除の計算に含める必要もありません。

・障害年金: 病気やケガで障害を負った際に支給
・遺族年金: 生計維持者を亡くした遺族に対し支給

「遺族年金だけで生活している」という場合は、そもそも非課税所得のみとなるため、所得税はかかりません。

3. 【年齢・所得別】公的年金等控除額の計算ルールと早見表

公的年金等控除額は、以下の3つの要素によって決まります。

・受給者の年齢(その年の12月31日時点で65歳未満か、65歳以上か)
・公的年金等の収入合計額
・公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額(給与所得や不動産所得など)

ここでは、一般的なケース(年金以外の所得が1,000万円以下)における計算ルールを解説します。

「65歳未満」の控除額(最低60万円)

65歳未満の方の場合、最低でも60万円が控除されます。

・年金収入が60万円以下の場合: 所得はゼロ(全額控除)
・年金収入が130万円未満の場合: 60万円を控除
・年金収入が130万円以上の場合: 収入に応じて一定割合を控除

【計算例】 年金収入が300万円の場合
300万円 × 25% + 27万5,000円 = 102万5,000円(控除額)
300万円 – 102万5,000円 = 197万5,000円(雑所得)

「65歳以上」の控除額(最低110万円)

65歳以上の方は控除枠が拡大され、最低でも110万円が控除されます。

これに加えて、2025年(令和7年)の税制改正により基礎控除額が引き上げられたため、「年金収入が年間205万円以下なら所得税は非課税」となります。 ※内訳:公的年金等控除110万円 + 基礎控除95万円 = 205万円

なお、住民税の非課税ラインは自治体により異なりますが、所得税と同様に引き上げが行われています(詳細はお住まいの自治体にご確認ください)。

・年金収入が110万円以下の場合: 所得はゼロ(全額控除)
・年金収入が330万円未満の場合: 110万円を控除

【計算例】 年金収入が300万円の場合 控除額 = 110万円(定額) 300万円 – 110万円 = 190万円(雑所得) ※ここからさらに基礎控除(最大95万円)などが引かれて税額が決まります。

65歳未満の例と比較すると、同じ収入でも雑所得が7万5,000円少なくなることがわかります。

・年金以外の所得が1,000万円を超える場合の調整

2020年の税制改正により、年金以外の所得(給与や不動産など)が多い富裕層に対しては、公的年金等控除額が減額される調整が入りました。

公的年金等以外の合計所得金額 控除額の調整
1,000万円以下 減額なし(通常通り)
1,000万円超~2,000万円以下 通常の控除額から 一律10万円引き下げ
2,000万円超 通常の控除額から 一律20万円引き下げ

4. 企業型確定拠出年金(企業型DC)の受け取り方

企業型DCやiDeCoを受け取る際、最も重要なのが「受け取り方法の選択」です。受け取り方によって適用される控除の種類が変わります。

「年金受け取り」は公的年金等控除の対象

企業型DCを分割して「年金形式」で受け取る場合、その収入は「雑所得」となり、これまで解説してきた「公的年金等控除」が適用されます。

・メリット: 定期収入として計画的に使える。
・デメリット: 公的年金(国民年金・厚生年金)と合算されるため、収入合計が増えて控除枠を超えやすくなる。結果、課税対象額が増え、国民健康保険料や介護保険料の負担が増加する可能性があります。

「一時金受け取り」は退職所得控除の対象

企業型DCを一括して「一時金形式」で受け取る場合、その収入は「退職所得」となり、「退職所得控除」が適用されます。

メリット: 税制優遇が手厚いことです。
・勤続年数に応じた大きな控除額がある(例:勤続20年で800万円控除)
・さらに控除後の金額を1/2にして課税される(分離課税)
・社会保険料の計算には影響しない。

デメリット: 大きな金額が手元に入ることで浪費につながるリスクがあります。

【注意点】
会社の退職金と時期が重なる場合 企業型DCの「一時金」と、勤務先からの「退職一時金」を同じ年(または近い時期)に受け取ると、勤続年数の期間が重複している部分は「退職所得控除」を二重に使えないというルールがあります。

知らずに受け取ると予想外に税金が高くなることがあるため、退職金とiDeCo・企業型DCをダブルで受け取る予定の方は、受け取る年をずらすなどの出口戦略を専門家に相談することをお勧めします。

5. まとめ

公的年金等控除は、年金生活者の税負担を抑えるための大切な権利です。

しかし、仕組みは複雑で、「企業型DC」や「iDeCo」などが絡むと、受け取り方次第で税金や社会保険料が大きく変わります。

・公的年金等は「雑所得」として課税される
・65歳以上は控除額が増え(最低110万円)、税負担が軽くなる
・企業型DCは金額によって受け取り方を検討する必要がある

「とりあえず年金で」と安易に選択する前に、ご自身の退職金額や公的年金の見込額を確認し、どちらの受け取り方が最適となるか専門家に相談またはシミュレーションを行うことをおすすめします。

【経営者・企業担当者のみなさまへ】
日本企業型確定拠出年金センターでは、企業型DC導入に関する個別相談を無料で行っています。企業型DCの受け取り方に関する情報も詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。

よくある質問(FAQ)

Q 公的年金等控除とは、簡単に言うと何ですか?

A 年金受給者のための「経費」のようなものです。

現役世代の給与所得控除と同じように、年金収入から一定額を差し引くことで、税金の負担を軽くする仕組みです。

Q 65歳になると税金の計算方法は変わりますか?

A はい、変わります。

65歳以上になると公的年金等控除の最低額が「110万円」に増額されます(65歳未満は最低60万円)。
そのため、同じ年金額であっても65歳以上の方が税負担は軽くなります。

Q 年金を受け取りながら働いている場合、控除額は減りますか?

A 年金以外の所得(給与など)の合計が1,000万円以下の場合は、控除額は減りません。

ただし、年金以外の所得が1,000万円を超えると、公的年金等控除額が引き下げられます。※在職老齢年金とは別の話ですのでご注意ください。

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