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建設業の退職金相場はどのくらい?平均値や建退共・企業型DCとの違いを解説

建設業の退職金相場はどのくらい?平均値や建退共・企業型DCとの違いを解説

建設業の企業に勤務している従業員が受け取れる退職金は、企業ごとに異なります。導入されている退職金制度や計算方法などが異なるため、退職金規程を確認しなければ正確な数字は計算できません。

自社で退職金制度を設けている企業や、建設業退職金共済制度(建退共)・中小企業退職金共済制度(中退共)・企業型確定拠出年金など、退職金制度の種類はさまざまです。

今回は、建設業における退職金制度の導入率やモデル金額などを解説します。

株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員  企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕

  • DCプランナー2級
  • AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
  • 企業年金管理士
  • 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
  • 情報セキュリティマネジメント試験合格
  • 知的財産管理技能検定3級
  • グーグルデジタルワークショップ修了
  • 給与計算実務能力検定2級

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NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

1. 建設業における退職金制度の状況

建設業界では、自社の退職金制度や企業型確定拠出年金、他にも建設業界独自の「建設業退職金共済制度(建退共)」などさまざまな退職金制度があります。

まずは、建設業界の退職金制度に関する基本的な情報から見ていきましょう。

①建設業における退職金制度の導入率

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、退職金制度の有無について「あり」と回答した建設業に属する企業の割合は76.1%でした。

「退職一時金のみ」「退職年金のみ」「退職一時金と退職年金の併用」など、制度の概要はさまざまです。

多くの建設業に属する企業が、何らかの退職金制度を導入していることがわかります。

②建設業におけるモデル退職金

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」を参考に、建設業のモデル退職金を紹介します。

【高卒】

勤続年数 自己都合退職 会社都合退職
5年 41.1万円 55.8万円
10年 89.2万円 132.1万円
20年 249.9万円 354.3万円
30年 550.2万円 604.4万円

【高専・短大卒】

勤続年数 自己都合退職 会社都合退職
5年 44.3万円 53.5万円
10年 105.5万円 130.2万円
20年 302.9万円 359.2万円
30年 518.4万円 581.7万円

【大卒】

勤続年数 自己都合退職 会社都合退職
5年 46.3万円 58.4万円
10年 108.8万円 141.4万円
20年 320.7万円 382.8万円
30年 580.5万円 633.8万円

あくまでも東京都内の中小企業のデータにはなるものの、おおむね100万円~600万円程度が退職金の相場と言えるでしょう。

2. 建設業退職金共済制度(建退共)とは?

建設業退職金共済制度(建退共)とは、建設業の従業員のために設けられた退職金制度(共済制度)です。建退共は共済契約を締結すれば加入できます。

建退共に加入している企業は、従業員の働いた日数に応じて掛金を納付します。当該従業員が建設業界を退職する際に、直接退職金が支払われる仕組みです。職種や国籍を問わず、建設業界で勤務する方が対象です。

非正規雇用者も加入対象となるため、幅広い従業員が、この制度の恩恵を受けられます。企業として建退共に加入することで、従業員の定着やモチベーション向上にも寄与する可能性が考えられるでしょう。

なお、建退共に加入している企業間で働いた日数が通算されるため、勤務先が変わっても退職金が累積されます。建設業界で働いている期間が長ければ受け取れる退職金も増えるため、長期的な勤続につながるでしょう。

①建退共のメリット・デメリット

建退共で退職金を積み立てる仕組みは、独立行政法人勤労者退職金共済機構により整備されています。建退共に加入している企業で働いた日数は全て通算され、退職金に反映されます。

退職金は国で定められた基準により計算して確実に支払われるため、制度そのものの安心感は大きいといえるでしょう。

一方で、デメリットとしては加入期間が1年未満の場合、退職金を受け取れない点が挙げられます。

②中小企業退職金共済制度(中退共)との違い

中小企業を対象とした退職金制度が「中小企業退職金共済制度(中退共)」です。中退共と建退共には、以下のようにいくつか違いがあります。

  中退共 建退共
対象 製造業・建設業・卸売業・サービス業・小売業など幅広い 建設業のみ
適用対象者 常用従業員 建設現場で働く従業員が対象で、職種や雇用形態を問わない
掛金 月額固定の掛金を納付 従業員の働いた日数に応じて掛金を納付(日額320円)
給付 従業員が退職したときに、直接支払われる 従業員が建設業界を退職したときに、直接支払われる

中退共は中小企業向けに設計されており、掛金は事業主が決められます。建退共は建設業界に特化しており、掛金日額は320円と決まっている点が特徴です。

いずれも、事業主が拠出した掛金は損金として控除が可能です。また、いずれも独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しており、安心して利用できる制度といえるでしょう。

3. 退職金制度が「なし」の場合の影響と選択肢

退職金制度を設けておらず、また中退共や建退共にも加入していない企業もあるでしょう。この場合、従業員は退職金に頼らず老後資金を用意しなければならず、将来の生活資金について不安を感じるかもしれません。

退職金がある企業と比較して安定感に欠け、勤めることに不安を感じてしまうでしょう。この場合、従業員自身でiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入したり、NISAで投資したりして、自助努力により老後資金を用意する必要があります。

コンサルタント石黒
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東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」を参考にすると、建設業界の中で2割以上の企業には退職金制度がありません。退職金がなく、自助努力で資産形成をしなければ、公的年金だけで老後生活を送ることになります。

 

①退職金制度の計算方法

一般的に、退職金の相場は勤続年数や退職時の給与額を基に計算します。勤続年数が長く、退職時の給与が高いほど、退職金の額も大きくなります。

退職金制度 計算方法の特徴
退職一時金制度 退職時に一括で退職金を支給する制度。勤続年数・給与・離職理由などによって決まる
企業型確定拠出年金制度(企業型DC) 企業が拠出した掛金を従業員が自ら運用し、将来の年金資産を形成する制度。従業員の運用結果次第で、受け取れる金額は決まる
確定給付企業年金(DB) 退職後の給付額が事前に確定している制度。予定利率に基づいて退職金額を決める
中退共・建退共 掛金と加入期間に応じて決まる

退職金額の計算方法は、企業が採用する制度によって異なります。退職金制度に基づく運用方法によっても結果が変わるため、具体的な退職金額を知るためには、制度を理解することが不可欠です。

4. 建退共と企業型DCの違い

建退共は、建設業の企業しか加入できません。一方で、企業型DCは建設業に限らず法人であれば導入できます

建退共と企業型DCの違いをまとめると、以下のようになります。

建退共 企業型DC
対象業種と加入者 建設業に特化 業種を問わず、企業が導入できる退職金制度
運用方法 共済機構が運用する 従業員自身が年金資産の運用を行う
受け取れる退職金 事前に確定している 運用成績によって将来受け取れる退職金・年金が変動する
受給開始年齢 退職時に受け取る 原則60歳以降
税制優遇 なし 運用益が非課税で、受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除の対象となる
携帯性(ポータビリティ) 建設業内での転職時に継続可能 離職・転職時に他の確定拠出年金制度へ資産を持ち運べる

建退共では、従業員が受け取れる退職金は確定しています。機構が運用するため、従業員自身で運用することはありません。

一方、企業型DCは運用実績に基づいて将来の給付額が決まります。運用益が非課税になる税制優遇があるため、リスクを取って運用すれば、効率よく年金資産を用意できる可能性があります。

5. 退職金制度導入のポイントと注意点

これから退職金制度を導入しようか検討している事業主の方は、自社に合った退職金制度を導入する必要があります。

企業において退職金制度の導入は義務ではないものの、退職金制度がなければ従業員の離職を招いたり、人材採用で苦労する可能性が考えられるでしょう。

新たに退職金制度を導入することで、従業員のモチベーション向上に繋がり、自社の魅力を高められます。他社よりも人材採用で有利になったり、採用した従業員が長期的に勤務してくれる可能性が期待できるでしょう。

例えば、建退共や企業型DCの導入を検討しているときは、それぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。どの制度が自社に適しているかを見極めるためにも、詳細な比較が大切です。

退職金制度を導入したあとは、退職金規程を就業規則に明確に定める必要があります。支給要件・支給額の計算方法・支給時期・不支給事由などを具体的に明記し、従業員への説明や同意取得などを行いましょう。

コンサルタント石黒
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従業員との話し合いを通じて意見を集め、制度設計を行うことも大切です。従業員の意見を反映させることで、制度への理解や満足度が高まります。労使間でコミュニケーションを取ることで、安心して働ける職場づくりを実現できるでしょう。

6. 建設業の事業主は企業型DCの導入を検討しましょう

企業型DCの導入は、さまざまなメリットを企業にもたらします。建設業で退職金制度が整備されていない事業主の方は、導入を検討しましょう。

企業型DCは、従業員の資産形成をサポートするための制度です。企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員は非課税で運用しながら効率よく老後資金を用意できます。

加入者自身で運用商品を選択できるため、ライフプランに合わせた資産形成が可能です。どのように運用するかは各従業員が自分のリスク許容度に合わせて決められるため、柔軟性に優れています。

導入する事業主としても、退職給付債務を抑制できたり福利厚生を充実化できるメリットがあります。企業が運用リスクを負わないため、財務の健全性と予測可能性が高まるでしょう。

また、福利厚生を充実化させることにより、採用時のアピールポイントとなります。従業員の満足度を高め、優秀な人材の定着を促す効果が期待できるでしょう。

コンサルタント石黒
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人材投資の一環としても機能するため、人手不足に陥りがちな建設業界にとって、企業型DCは魅力的な制度といえます。逆にいえば、企業型DCに加入することで、人材採用に関するお悩みを解決できるかもしれません。

7. まとめ:建設業の企業は自社に合った退職金制度を導入しよう

建設業における退職金制度は、企業によって異なります。多くの企業が退職金制度を導入していますが、中には退職金制度がない企業もあります。

建設業は慢性的に人手が不足しています。退職金制度を整備することで、自社の魅力を高め、人材採用や離職率の低下につながるでしょう。つまり、企業の安定を図るうえで、退職金制度の整備は重要な要素といえるのです。

これから退職金制度を導入する際には、柔軟性に富んでいる企業型DCがおすすめです。財務的なコストが限定的で、企業は運用責任を負わないため、中小企業にとって相性がよい退職金制度といえるでしょう。

日本企業型確定拠出年金センターは、企業型DCの導入をサポートしています。企業年金制度の専門家が、貴社の状況をヒアリングしたうえで、最適な制度導入をご提案させていただきます。

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企業型DCには、企業が掛金を拠出するタイプと加入希望者が自分の給与から掛金を拠出する「選択制」というタイプがあります。弊社では、企業と社員双方にとって良好な環境を築くサポートをいたしますので、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。

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