投資信託の目論見書とは|企業型DCの信託報酬を見極めるポイント 2025.12.23 投資信託の目論見書とは|企業型DCの信託報酬を見極めるポイント 企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているものの、「どの商品を選べばいいか分からない」「目論見書は文字が多くて読む気が起きない」と感じていませんか? 投資信託の目論見書は、いわば「投資信託の説明書」です。自分に合った商品を選び、将来の資産を最大化するためには、この説明書を正しく読み解くスキルが欠かせません。 本記事では、目論見書で確認した方がよいポイントと、長期運用において重要な「コスト(信託報酬)」の見極め方を解説します。 目次1. 投資信託の目論見書(もくろみしょ)とは?役割と2つの種類投資判断に必要な情報が凝縮された「商品の説明書」2. 目論見書で必ずチェックすべき8つの項目3. 【初心者向け】失敗しないための3つのチェックポイントチェック1:運用方針が自分の「投資目的」と一致しているかチェック2:「最大下落幅(リスク)」を許容できるかチェック3:同類商品と比較して「コスト」は適正か4. 企業型DCでの活用術|信託報酬の「低コスト」にこだわる理由0.1%のコスト差による資産額のシミュレーション5. まとめよくある質問(FAQ)Q 交付目論見書はどこで手に入りますか?Q 信託報酬はいつ、どのように支払うのですか?Q 一度選んだ商品は後から変更できますか? 1. 投資信託の目論見書(もくろみしょ)とは?役割と2つの種類 目論見書とは、投資信託(ファンド)の運用方針、リスク、手数料などの重要事項を記載した書類です。 投資判断に必要な情報が凝縮された「商品の説明書」 目論見書には、その投資信託が「何に投資し」「どのようなリスクがあり」「いくらコストがかかるのか」という、投資判断に不可欠なデータが網羅されています。 家電製品を購入する前にスペックを確認するように、投資前には必ず目論見書を確認する習慣をつけましょう。 1. 交付目論見書|投資前に必ず確認すべき重要書類 一般的に「目論見書」と呼ぶ場合、この「交付目論見書(こうふもくろみしょ)」を指します。 投資家に対して事前に、あるいは購入と同時に渡されるもので、特に重要なエッセンスがカラーや図解等を用いて分かりやすくまとめられています。 2. 請求目論見書|より詳細な情報を知りたい時に参照 「請求目論見書(せいきゅうもくろみしょ)」は、投資家から請求があった場合に交付される詳細資料です。 ファンドの沿革や詳細な財務諸表などが含まれています。 2. 目論見書で必ずチェックすべき8つの項目 交付目論見書は、主に以下の8項目で構成されています。 1. ファンドの目的・特色 何に投資し、どのような成果を目指すか(インデックス型かアクティブ型か)。 2. 投資リスク 価格変動や為替など、元本割れを引き起こす要因。 3. 運用実績 過去の基準価額と「純資産総額」の推移。資産が減り続けていないか確認。 4. 分配金実績 過去の支払い実績。※企業型DCでは自動的に再投資されます。 5. 騰落率 一定期間の収益率。類似商品と比較して乖離がないか確認。 6. 主な資産状況 投資先の国・地域・業種の構成比。 7. 手数料・信託報酬 購入・保有・売却にかかるコスト。 8. 申込メモ 信託期間(運用終了日)や換金制限。長期投資なら「無期限」が理想。 3. 【初心者向け】失敗しないための3つのチェックポイント 目論見書には膨大な情報が記載されていますが、全てのページを精読する必要はありません。初心者の方が、企業型DCの商品選びで「これだけは外せない」という3つのポイントを紹介します。 チェック項目 確認する理由 目論見書の記載箇所 1. 運用方針の一致 自分の投資スタンスとズレがないか確認するため ファンドの目的・特色 2. 最大下落幅の許容 暴落時にパニックにならず保有し続けられるか 投資リスク・運用実績 3. コストの比較 長期的な運用パフォーマンスを低下させないため 手数料等(信託報酬) チェック1:運用方針が自分の「投資目的」と一致しているか まず、そのファンドが「何を目指して運用されているか」を確認しましょう。 ・インデックス型: 日経平均株価やS&P500などの指数(ベンチマーク)に連動することを目指す。低コストで市場平均の成果を狙いたい人向け。 ・アクティブ型: 指数を上回る成果を目指す。高いリターンを期待できる反面、コストが高く、成績が市場平均を下回るリスクもある。 ポイント:「老後資金として着実に増やしたい」のか「リスクを取って大きく増やしたい」のか、自分のライフプランと商品の性格が一致しているかを照らし合わせてください。 チェック2:「最大下落幅(リスク)」を許容できるか 「いくら儲かるか」よりも重要なのが、最悪の場合、どのくらい損をする可能性があるかを知ることです。 目論見書の「投資リスク」や「運用実績」の項目にある、過去の騰落率(価格の変動幅)を確認しましょう。 例えば、リーマンショックやコロナショックなどの大きな経済危機があった際、そのファンドが1年間で最大何%下落したかをチェックします。 ・30%下落の実績がある場合:100万円が70万円になっても、冷静に積立を継続できるか? ・許容できない場合:一般的に、株式の比率を下げ、債券が含まれる「バランス型」などを検討することが推奨されます。 運用実績や、資産構成から推測されるリスクを確認しましょう。自分の心が折れない範囲でリスクを設定することが、長期投資を成功させる最大のコツです。 チェック3:同類商品と比較して「コスト」は適正か 企業型DCのラインナップの中には、似たような投資先(例:日本株式、外国株式など)の商品が複数並んでいることがあります。 同じ投資対象であれば、信託報酬(運用管理費用)の低いものを選択することが推奨されます。信託報酬は、運用成績にかかわらず毎日資産から差し引かれるため、コストの差はそのまま将来の受取額の差に影響します。 比較のコツ 似た商品を比較する場合は、目論見書の「手数料」のページを開き、年率のパーセンテージを横並びで比較しましょう。 また、目論見書に記載された信託報酬以外に、売買委託手数料などの「その他の費用(実質コスト)」がわずかに発生します。これは運用状況によって変動するため事前に正確な数字は分かりませんが、まずはベースとなる「信託報酬」で比較すれば、商品選びの判断材料として十分です。 4. 企業型DCでの活用術|信託報酬の「低コスト」にこだわる理由 企業型DCは数十年単位の長期運用です。ここで最も差が出るのが、保有中ずっとかかり続ける「信託報酬(運用管理費用)」です。 0.1%のコスト差による資産額のシミュレーション 例:毎月3万円を30年間積み立て、年利5%で運用した場合(初期投資ゼロ) 信託報酬(年率) 30年後の資産総額(概算) コストによる減少額 0.1% 約2,430万円 約40万円 0.2% 約2,390万円 約80万円 1.0% 約2,090万円 約380万円 ポイント:0.1%と0.2%のわずかな差でも、30年後には約40万円の差となって現れます。 5. まとめ 目論見書は難解に見えますが、「目的・リスク・コスト」の3点に絞れば、商品選びの失敗は抑えることが期待できます。特に企業型DCでは、一度設定すると放置しがちですが、信託報酬のわずかな差が将来の資産額に影響を与える可能性があります。 まずは今運用している商品の「信託報酬」をチェックしてみましょう。 もし類似商品でより低コストな商品がある場合、一般的にはスイッチング(預け替え)を検討することが推奨されます。 経営者・企業担当者の方へ 日本企業型確定拠出年金センターでは、経営者・企業担当者のみなさまに、企業型DC導入に関する個別相談を無料で行っています。低コストな運用商品ラインナップ(SBIぷらす年金プラン)の詳細もお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。 よくある質問(FAQ) Q 交付目論見書はどこで手に入りますか? A 運営管理機関(証券会社や銀行など)の加入者専用サイトから確認できます。 基本的には、いつでも閲覧・ダウンロードが可能です。 Q 信託報酬はいつ、どのように支払うのですか? A 別途支払う必要はありません。 信託報酬は、投資信託の資産(基準価額)から毎日少しずつ自動的に差し引かれています。 目論見書に記載されている「年率」を日割り計算した分が、運用資産から差し引かれた後の価格が基準価額となります。 Q 一度選んだ商品は後から変更できますか? A はい、いつでも変更可能です。 これから積み立てる商品の割合を変える「配分変更」や、すでに保有している資産を売却して別の商品に買い替える「スイッチング(預け替え)」という手続きで行えます。 お問合せ・ご相談はこちら お気軽にお問合せください 営業時間:9:00〜17:00休業日:土曜・日曜・祝日 お電話でのお問い合わせはこちらTEL:050-3645-9040※導入に関するご相談を承っております。個人の方の質問はお答えできませんのでご了承ください。 企業型確定拠出年金は毎月3,000円でも効果ある?最...