退職金制度がない会社が企業型DCで退職金制度をつくる手順と期間
結論(この記事で分かること) 退職金制度がない会社は、企業型DCを使えば「制度設計→退職金規程の整備→労使合意→規約承認申請→加入者説明→運営開始」の6ステップで退職金制度を新設できます。規約は厚生労働大臣(窓口は地方厚生局)の承認が必要で、NDCセンターの実務上の目安では準備開始から運営開始まで4〜6か月程度を見込みます。
企業型DC導入支援を専門とする株式会社日本企業型確定拠出年金センター(1,300社以上の導入実績)が解説します。この記事では、退職金制度をゼロからつくる手順・法令上の要件・期間を解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

結論:退職金制度は企業型DCなら6ステップで新設できる
退職金制度は法律上の義務ではありませんが、つくる場合は就業規則(退職金規程)に定め、企業型DCなら規約の承認を受ける必要があります。手順は次の6ステップです。
- 制度設計:対象者・掛金額・勤続3年未満退職時の扱いを決める
- 退職金規程の作成:適用範囲・計算方法・支払時期を定める(労働基準法第89条第3号の2)
- 労使合意:過半数労働組合または過半数代表者の同意を得る(確定拠出年金法第3条第1項)
- 規約の承認申請:企業型年金規約を地方厚生局へ申請する(同法第3条第1項)
- 従業員説明・加入手続き:説明会・投資教育を行い加入者を登録する
- 運営開始:就業規則の届出・周知を済ませ、掛金拠出を始める

このセクションのポイント
- 企業型DCで退職金制度を新設する手順は6ステップ
- 法令上の要となるのは「退職金規程の整備」「労使合意」「規約承認」の3点
各ステップで押さえるべきポイントと所要期間
退職金規程には何を書く必要があるか?
退職手当の定めをする場合は、「適用される労働者の範囲」「退職手当の決定、計算及び支払の方法」「支払の時期」を就業規則に記載する必要があります(労働基準法第89条第3号の2)。企業型DCでは「掛金を規約に基づき拠出し、給付は規約に基づき資産管理機関等から支払う」旨を明記します。常時10人以上の事業場は、意見書を添えて労働基準監督署へ届け出ます(同法第89条・第90条)。
労使合意は誰と、何について取るのか?
企業型DCの規約は、過半数労働組合、ない場合は従業員の過半数代表者の「同意」を得て作成する必要があります(確定拠出年金法第3条第1項)。就業規則の「意見聴取」(労働基準法第90条)とは別の手続きです。

規約承認はどこに申請するのか?
企業型年金規約は厚生労働大臣の承認を受ける必要があり、実務上の窓口は事業所を管轄する地方厚生局です。承認申請の提出時期や標準処理期間は、管轄の地方厚生局に確認してください。
掛金はどう決めればよいか?
掛金は規約で定める算定方法で事業主が拠出します。他の企業年金がない場合の上限は現在月5.5万円で、2026年12月から月6.2万円に引き上げられる予定です。小規模企業では全員一律の定額から始めるケースが多く見られます。

全体でどれくらいの期間がかかるか?
NDCセンターの実務上の目安は4〜6か月程度です。法定の期間ではなく、社内の準備状況で前後します。
| 工程 | 期間の目安(NDC実務) |
|---|---|
| 制度設計・掛金試算 | 1〜2か月 |
| 退職金規程作成・労使合意 | 約1か月 |
| 規約承認申請〜承認 | 1〜2か月 |
| 従業員説明・加入手続き | 約1か月 |
このセクションのポイント
- 退職金規程には適用範囲・計算方法・支払時期を必ず記載する
- DC規約は過半数代表者等の「同意」が必要
- 期間は4〜6か月程度が目安(法定期間ではない)
NDCセンターからのアドバイス
最初の一歩は「誰に・いくら・いつから」を決め、年間の掛金総額を試算することです。就業規則の整備が必要な場合は、提携する社会保険労務士法人とうかいと連携して退職金規程の作成まで対応します。希望開始月の半年前を目安に着手してください。

このセクションのポイント
- 「対象者・掛金・開始時期」を先に決める
- 就業規則・退職金規程の整備は社労士と連携すると手戻りが少ない
- 希望開始月の半年前に着手するのが目安
よくある質問(FAQ)
Q1. 退職金制度をつくるのは義務ですか? いいえ、義務ではありません。ただし制度を設ける場合は、適用範囲・計算方法・支払時期を就業規則に定める必要があります(労働基準法第89条第3号の2)。
Q2. 就業規則がない会社でも導入できますか? はい、導入は可能です。ただし退職金規程の整備が必要になるため、就業規則の作成とあわせて進めるのが一般的です。
Q3. 最短で何か月で始められますか? NDCセンターの実務上の目安では4か月程度です。ただし承認までの期間は地方厚生局の審査状況によります。
まとめ
退職金制度がない会社でも、企業型DCなら6ステップ・4〜6か月程度(目安)で退職金制度を新設できます。要となるのは退職金規程の整備、過半数代表者等の同意、地方厚生局への規約承認の3点です。具体的な手順は導入の流れをご覧いただくか、無料セミナー・無料相談でお気軽にご相談ください。

出典・参考資料
- 確定拠出年金法 第3条(規約の承認):e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000088
- 労働基準法 第89条・第90条:e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「就業規則の作成・変更・届出の義務」 https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/newpage_00483.html
- 厚生労働省「2025年の制度改正(確定拠出年金)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html
- 関東信越厚生局「確定拠出年金(申請・届出)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/nenkin/kyoshutsu.html
監修:株式会社日本企業型確定拠出年金センター(企業型DC導入支援の専門会社・1,300社以上の導入実績)




