退職金は月いくら積み立てればいい?従業員規模・勤続年数別の掛金の決め方
結論(この記事で分かること) 企業型DCの掛金は「相場」より「目標退職金額から逆算」して決めるのが基本です。参考値として、他制度のない企業の事業主掛金は1人あたり月平均16,336円(企業年金連合会調査)ですが、中小企業では続けられる額から始める設計も選択肢です。上限は月5.5万円で、2026年12月から月6.2万円に引き上げられる予定です。
企業型DCの導入支援を専門とする株式会社日本企業型確定拠出年金センター(1,300社以上の導入実績)が解説します。この記事では、掛金の逆算式、積立額の早見表、人数別の会社負担を解説します。
結論:掛金は「目標額÷積立期間」で逆算して決める
掛金は「何年で、いくら準備したいか」から逆算するのが基本です。運用を考えない基本式は次のとおりです。
月額掛金 = 目標退職金額 ÷(想定勤続年数 × 12か月)
例えば、勤続20年で300万円を目標にするなら月12,500円、30年で500万円なら月約13,889円です。年1%で運用できたと仮定すると、それぞれ月約11,297円、月約11,915円です。

目標額の参考として、令和5年就労条件総合調査の定年退職者1人平均の退職給付額(勤続35年以上)は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で2,037万円、高校卒(現業職)で1,471万円です。ただし企業規模計の数字で、中小企業単独の水準ではありません。
このセクションのポイント
- 掛金は「目標額÷(年数×12)」で逆算するのが基本
- 退職給付額の全規模平均(勤続35年以上)は1,400万〜2,000万円台
- 運用益は会社が保証しない前提で説明する
勤続年数・掛金別の積立額早見表と、会社負担の目安
月3,000円〜2万円で、勤続10〜30年ならいくら貯まるか?
月1万円・勤続30年なら、利回り0%で360万円、年3%仮定で約583万円です。
(単位:万円)
| 勤続・利回り | 月3,000円 | 月5,000円 | 月1万円 | 月2万円 |
|---|---|---|---|---|
| 10年・0% | 36.0 | 60.0 | 120.0 | 240.0 |
| 10年・1% | 37.8 | 63.1 | 126.1 | 252.3 |
| 10年・3% | 41.9 | 69.9 | 139.7 | 279.5 |
| 20年・0% | 72.0 | 120.0 | 240.0 | 480.0 |
| 20年・1% | 79.7 | 132.8 | 265.6 | 531.1 |
| 20年・3% | 98.5 | 164.2 | 328.3 | 656.6 |
| 30年・0% | 108.0 | 180.0 | 360.0 | 720.0 |
| 30年・1% | 125.9 | 209.8 | 419.6 | 839.3 |
| 30年・3% | 174.8 | 291.4 | 582.7 | 1,165.5 |
※前提:毎月末に同額を拠出し、年利回り÷12の月利で月複利運用したと仮定(小数第2位を四捨五入、手数料・税金は考慮せず)。利回りは仮定で、将来の成果を示すものではありません。企業型DCの年金資産は加入者が自ら運用し、元本保証ではありません(商品により元本割れの可能性があります)。
従業員規模別に、会社の負担はいくらになるか?
会社の年間負担は「掛金×人数×12か月」で、事業主掛金は全額損金算入できます。
| 対象人数 | 月5,000円 | 月1万円 | 月2万円 |
|---|---|---|---|
| 5人 | 年30万円 | 年60万円 | 年120万円 |
| 10人 | 年60万円 | 年120万円 | 年240万円 |
| 30人 | 年180万円 | 年360万円 | 年720万円 |
※掛金のみ。別途手数料がかかります(退職金を企業型DCにすると会社の負担はいくら変わる?参照)。
掛金の上限はいくらか?
他の企業年金(DB等)がない企業の事業主掛金は月5.5万円が上限です(確定拠出年金法施行令第11条)。2026年12月1日から月6.2万円に引き上げられる予定で、DB等併用時は6.2万円から他制度掛金相当額を控除した額になります。

このセクションのポイント
- 月1万円×30年で、利回り0%なら360万円、年1%仮定なら約420万円
- 10人×月1万円なら会社負担は年120万円
- 上限は月5.5万円、2026年12月から月6.2万円(予定)
NDCセンターからのアドバイス
- 目標額と期間を先に決める:逆算した額なら従業員への説明に一貫性が出ます。
- 一律+資格区分ごとの差を検討する:職種・資格等級など合理的な理由のある区分ごとに掛金「額」を変える設計も可能です(「率」の差は不可)。
- 無理のない額から始め、増額で調整する:減額は従業員の不利益につながり得るため、継続可能な額から始めるのが安全です。規程との整合は提携する社会保険労務士法人とうかいと連携して確認します。

このセクションのポイント
- 目標額→期間→掛金の順に決める
- 資格区分ごとに掛金額を変える設計も可能
- 「続けられる額」から始める
よくある質問(FAQ)
Q1. 企業型DCの掛金は社員1人いくらが相場ですか? 他制度のない企業では月平均16,336円です(企業年金連合会「2024年度企業型確定拠出年金実態調査」)。DB等を併用する企業では月平均11,775円です。いずれも規模計の平均で、中小企業に限った数字ではありません。

Q2. 月3,000円でも効果はありますか? はい、あります。勤続30年なら利回り0%でも108万円になり、掛金は全額損金、従業員側も給与課税されません。
Q3. 従業員ごとに掛金額を変えられますか? はい、変えられます。ただし職種・資格等級など合理的な理由のある区分ごとに「額」を定める必要があり、特定の人だけを恣意的に優遇することはできません(厚労省DC Q&A No.51)。
Q4. 運用で増えなかった場合、会社が差額を補填する必要はありますか? いいえ、原則ありません。企業型DCの運用結果は加入者に帰属します。その分、会社には投資教育による支援が求められます。
まとめ
企業型DCの掛金は、目標額と勤続年数から逆算し、続けられる額で設計するのが基本です。平均は月1万円台半ばですが、小さく始めて増額する設計も有効です。株式会社日本企業型確定拠出年金センターでは、貴社の人数・目標額に合わせた掛金シミュレーションを無料で相談いただけます。

出典
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」退職給付(一時金・年金)の支給実態:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaiyou04.pdf
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」退職給付制度:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaiyou03.pdf
- 確定拠出年金法施行令(第11条 拠出限度額)厚生労働省法令等データベース:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=85aa2606&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働省「2025年の制度改正」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html
- 厚生労働省 制度改正資料:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001739467.pdf
- 企業年金連合会「2024(令和6)年度 企業型確定拠出年金実態調査結果(概要版)」:https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/files/dc_chosa_kessan2024_1.pdf
- 厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」:https://www.mhlw.go.jp/content/000653917.pdf
- 国税庁 タックスアンサーNo.5231「確定給付企業年金等に係る課税関係」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5231.htm
執筆・監修:株式会社日本企業型確定拠出年金センター(企業型DC導入支援専門/1,300社以上の導入実績)




