役員の退職金って税金はいくらかかるの?計算方法は?退職所得控除や税額をシミュレーション
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会社役員が退職する際に受け取る退職金は、所得税および住民税の対象となります。退職金の税金を計算する方法は、一般的な給与とは異なるため注意が必要です。
退職金にかかる税金を把握するためには、退職所得控除額の計算や課税退職所得金額の算出などを理解する必要があります。企業内に退職予定の役員がいる方は、退職金の税金について知っておくとよいでしょう。
今回は、役員退職金にかかる所得税や住民税の基本的な仕組み、計算方法について解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
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1. 職金の計算方法を知ろう
会社役員が受け取る退職金は、勤続年数や役職、退職理由などによって金額が異なります。長期間勤続した役員ほど、退職金額が高くなるのが一般的です。
退職金は、勤務先で定めている規程に沿って算出します。そのうえで、退職所得控除を適用し課税退職所得金額を算出し、税率を乗じて控除額を差し引けば所得税額を計算できます。
1. 退職所得控除額の計算
退職金にかかる税金を計算する際、まず最初に控除額を計算する必要があります。退職所得控除額は、勤続年数に応じて以下のように計算します。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×勤続年数 |
| 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
勤続年数が20年以下の場合、1年あたり40万円の控除が適用され、20年を超える部分に対しては1年あたり70万円が加算されます。
例えば、勤続年数が15年であれば、退職所得控除は「40万円×15年」で600万円です。1年未満の端数は1年に切り上げるため、勤続年数が15年1日の場合は、勤続年数を16年として計算します。
控除額の計算を間違えると余分な税金を支払うことになりかねないため、勤続年数を正確に確認することが大切です。
さらに、退職金には所得税だけでなく住民税も課されるため、退職所得控除額の計算は住民税にも影響します。
2. 課税退職所得金額の算出方法
退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)× 1/2」で計算します。支給される退職金から退職所得控除額を差し引き、1/2を乗じれば課税対象となる退職所得金額を算出できます。
例えば、退職金額が1,000万円で退職所得控除が800万円の場合、退職所得は「(1000万円-800万円)× 1/2」で100万円です。
ただし、特定役員退職手当等(役員としての勤続年数が5年以下である人の退職金のうち、役員としての勤続年数に対応する部分)については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額となります。
つまり、退職所得控除を差し引いたあとに1/2を乗じずに計算します。
3. 税率と控除額の確認
課税対象となる退職所得を計算したら、以下の速算表に当てはめて税額を計算します。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円〜 | 45% | 479万6,000円 |
2. 退職金にかかる住民税について
退職金に対しては、所得税だけでなく住民税も課税されます。
退職金に係る住民税を計算する流れは、所得税と同じです。退職金から退職所得控除を差し引いた金額に1/2を乗じて、課税対象となる退職所得を計算します。
住民税の場合は税率が一律10%なので、退職所得に10%を乗じれば納めるべき住民税の金額を算出できます。
例えば、課税対象となる退職所得が500万円の場合「500万円×10%=50万円」で、納める住民税は50万円です。
退職金にかかる住民税は、退職金の支払者である事業主が税額を計算し、自治体へ納めることになっています。
3. 5年以内の退職が退職金へもたらす影響
会社役員や労働者が5年以内に退職する場合、通常とは異なる計算を行います。
1. 会社役員として5年以内に退職する場合の注意点
退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算しますが、役員としての勤続年数が5年以下の役員に対する退職金は「特定役員退職手当等」として、異なる計算をします。
退職所得を「収入金額-退職所得控除額」で計算する(1/2を乗じない)ため、一般的な計算式よりも所得が多くなります。つまり、納める税額も多くなる点に注意が必要です。
なお、役員として該当するのは以下の方々です。
● 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者
● 国会議員や地方公共団体の議会の議員
● 国家公務員や地方公務員
なお、年中に支払われる退職金に「特定役員退職手当等」と「特定役員退職手当等以外の退職金」の両方がある場合、それぞれ分けて退職所得を計算します。
| 退職所得の種類 | 計算式 |
|---|---|
| 特定役員退職手当等 | 収入金額-退職所得控除額 |
| 特定役員退職手当等以外の退職金 | (収入金額-退職所得控除額)×1/2 |
2. 従業員が5年以内に退職する場合の注意点
勤続年数5年以内の労働者がいる場合、通常とは異なる計算を行います。勤続年数が5年以下の労働者に対する退職金を「短期退職手当等」と呼び、収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分の金額については「1/2」を乗じません。
計算式に直すと以下のとおりです。
| 退職所得 | 計算式 |
|---|---|
| 「収入金額-退職所得控除額」≦300万円の場合 | 収入金額-退職所得控除額)×1/2 |
| 「収入金額-退職所得控除額」>300万円の場合 | 150万円 + {収入金額-(300万円+退職所得控除額)} |
4. 退職金に税金がかからないことはある?
退職金が退職所得控除の範囲内に収まる場合は、退職金に税金はかかりません。退職所得控除は勤続年数に応じて高くなるため、場合によっては退職金に税金がかからないケースはあり得ます。
5. 退職金シミュレーションの活用方法
退職予定者がいる場合、事前に退職金をシミュレーションしておけば、支給する退職金や納めるべき税金を事前に把握できます。また、退職予定者とコミュニケーションを取っておけば、退職後の生活設計をサポートできるでしょう。
実際に天引きで税金を納めるのは事業主である以上、税金の計算は欠かせません。また、退職者にとっても自由に使える手取りの退職金額は気になる情報のはずです。
数年以内に退職する予定の役員や労働者がいる際にも、「勤続年数が増えるとどうなるか」「控除額がどれくらい変わるか」など、具体的な数値を元にシミュレーションしましょう。
6. 役員退職金の受け取り方法とそのメリット
役員退職金の受け取り方法には、以下の3通りがあります。
● 一時金
● 年金
● 一時金と年金の併用
一時金で受給する場合、一度にまとまった金額を受け取れます。まとまった資金を計画的に使える方や、住宅ローンの繰り上げ返済や子どもの進学費用など、資金ニーズに対して柔軟に対応することが可能です。
年金で受給する場合、毎年一定額を受け取ることができます。まとまったお金を計画的に使えるか自信がない方や、公的年金の上乗せとして定期的な収入が欲しいと考えている方は年金での受け取りが向いているでしょう。
事業主の方は、退職を控えている役員や労働者から、退職金の受け取り方法について質問されるかもしれません。それぞれどのような特徴やメリットがあるのか、把握しておくとよいでしょう。
なお、一時金で受給する場合は「退職所得」扱いになり、年金で受給する場合は「雑所得」の扱いになります。税金の計算方法や社会保険料への影響が異なる点は、退職金を受け取る役員や労働者だけでなく、事業主も知っておくとよいでしょう。
なお、「一時金と年金のどちらが得なのか」に関しては、こちらの記事で解説しています。
7. まとめ
役員退職金の税金は、退職金から退職所得控除を差し引き、1/2を乗じて退職所得を計算します。退職所得に所得税の速算表を当てはめて計算すれば、納めるべき税額を算出できます。
ただし、役員としての勤務期間が5年以下の役員に関しては、退職所得控除の計算方法が通常とは異なるため注意しましょう。また、一時金と年金のどちらで受給するのかによって、税金や社会保険料への影響が異なる点にも留意する必要があります。
企業型確定拠出年金でも、60歳以降に「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3通りのパターンから受け取り方法を選択でき、一時金で受給する際には一般的な退職所得と同じ計算方法で税金を計算します。
「これから役員退職金制度の準備を進めたい」という事業主の方は、企業型確定拠出年金の導入を検討してみてはいかがでしょうか。日本企業型確定拠出年金では、年金制度のプロが企業に合った制度の導入をサポートいたします。
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