企業型DCのリバランスとは?やり方・頻度・タイミングをわかりやすく解説
企業型DC(確定拠出年金)を導入している企業の従業員の中には、「リバランスって何?」「やらないとどうなるの?」と疑問を持つ方も多いです。リバランスは、長期の資産形成において非常に重要な操作です。この記事では、リバランスの基本から具体的な手順・頻度まで、わかりやすく解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

リバランスとは?スイッチングとの違い
リバランスとは、時間の経過とともに変化した資産配分(ポートフォリオ)を、当初設定した目標の比率に戻す操作のことです。たとえば「株式50%・債券50%」という配分でスタートしても、相場の動きによって気づけば「株式70%・債券30%」になっていることがあります。このズレを修正するのがリバランスです。
一方、スイッチングとは、現在保有している運用商品を別の商品に乗り換える操作です。リバランスが「配分比率の調整」であるのに対し、スイッチングは「商品そのものの変更」を指します。どちらもDCの運用管理において重要な手段ですが、目的が異なる点に注意しましょう。

なぜリバランスが必要か(放置するリスク)
リバランスを長期間放置すると、当初意図したリスク許容度とかけ離れた資産構成になってしまいます。
たとえば、株式市場が好調に推移した場合、株式の比率が大きく高まります。この状態で相場が急落すると、想定以上の損失を被る可能性があります。逆に、債券比率が高まりすぎると、長期的なリターンが期待より低くなるリスクもあります。
特に確定拠出年金は老後の生活資金を育てる制度であるため、リスクの管理は非常に大切です。放置による「リスクの歪み」は、退職前に大きな問題となり得ます。定期的なリバランスを行うことで、自分のリスク許容度に合った運用を継続できます。

具体的なやり方(手順)
企業型DCのリバランスは、主に以下の手順で行います。
- 現在の資産配分を確認する 加入しているDCの記録関連運営管理機関(レコードキーパー)のWebサイトやアプリにログインし、現在の運用状況・各商品の保有残高を確認します。
- 目標の配分比率と比較する 自分が設定した目標配分と現在の配分を比較し、どの商品が過剰・不足しているかを把握します。
- スイッチングで保有残高を調整する 目標比率に戻すため、比率が増えすぎた商品を売却し、不足している商品を購入します。これが「スイッチング」によるリバランスです。
- 掛金配分の見直し(任意) 今後の掛金の積み立て先(配分比率)も合わせて見直すことで、次回以降のズレを最小限に抑えられます。
操作はすべてオンラインで完結するケースがほとんどですが、手順が不明な場合は運用管理機関のサポートを利用しましょう。
おすすめの頻度・タイミング
リバランスの頻度に法的な制限はありませんが、一般的には年に1〜2回を目安にするのがおすすめです。頻繁に行いすぎると手間がかかる上、相場の短期的な変動に振り回されやすくなります。
タイミングの目安としては、以下の2つのアプローチが有効です。
- 時間基準(カレンダーリバランス):毎年1月や年度末など、あらかじめ決めた時期に行う方法です。シンプルで継続しやすいのが特長です。
- 乖離基準(ドリフトリバランス):目標配分と現在配分の差が一定の幅(例:±5〜10%)を超えたときに行う方法です。相場の大きな変動時に対応できます。

どちらのアプローチが合うかは、加入者の性格や運用スタイルによって異なります。迷う場合は年1回の定期見直しから始めるとよいでしょう。
年代別のリバランス戦略
リバランスの目標配分は、年齢や退職までの期間によって変えていくことが重要です。
- 20〜30代(積立初期):退職まで時間があるため、株式など成長資産の比率を高めに設定できます。多少の値動きがあっても長期で回復が期待できます。
- 40〜50代(中間期):株式と債券のバランスを意識し始め、リスクを徐々に抑えていく時期です。リバランスを通じて安定寄りの配分へシフトしましょう。
- 60代前後(退職直前):元本の保全を重視し、定期預金や債券など安定型の商品の比率を高めます。退職後の受け取り方も念頭に置いて配分を調整することが大切です。

年代に応じた最適な配分戦略は、専門家への相談を通じて整理するとスムーズです。
FAQ
Q1. リバランスは何歳から始めるべきですか? A. 企業型DCに加入したタイミングから意識することをおすすめします。加入直後は運用商品と配分を設定した直後なのでズレは小さいですが、1〜2年後には確認する習慣をつけましょう。
Q2. リバランスに手数料はかかりますか? A. 企業型DCのスイッチングには、一般的に売買手数料はかかりません。ただし、商品によっては信託財産留保額が発生する場合がありますので、各商品の目論見書を確認してください。
Q3. リバランスをしないとどうなりますか? A. 長期間放置すると、株式市場の上昇時には株式比率が大きく膨らみ、当初のリスク設定を大幅に超えた状態になります。相場が下落した際の損失も、本来の想定より大きくなる可能性があります。
Q4. 自動でリバランスしてくれるサービスはありますか? A. 一部のDCプランでは、バランス型ファンドが自動で資産配分を調整する仕組みを持っています。また、プランによっては自動リバランス機能を提供しているケースもあります。導入企業のプラン内容を確認してみましょう。
Q5. 会社が企業型DCを導入していない場合はどうすればよいですか? A. 選択制DC(給与切出し型)は、会社の新たな掛金負担なしに導入できる仕組みです。従業員が給与の一部を掛金として拠出する形式のため、企業の財務的な負担を抑えながら福利厚生を充実させられます。まずは専門家への相談から始めることをおすすめします。
まとめ+CTA
企業型DCのリバランスは、長期の資産形成を適切なリスク水準で続けるための重要な操作です。放置によるリスクの歪みを防ぎ、年齢・ライフステージに合った配分を維持することで、老後の資産をより着実に育てることができます。
年に1回の定期確認から始め、必要に応じてスイッチングを活用したリバランスを行う習慣をつけましょう。

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