企業型DCで元本保証型だけで本当にいい?金利上昇局面での運用戦略
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入した際、「絶対に損をしたくない」という理由から、全額を定期預金や元本確保型保険などの元本保証型商品に預けている方は少なくありません。しかし、長期にわたるDC運用において、元本保証型だけに頼ることが必ずしも「安全」とは言えない場合があります。本記事では、元本保証型のメリット・デメリットを整理したうえで、2026年現在の金利上昇局面における最適な資産配分のヒントをご紹介します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

元本保証型の仕組みとメリット・デメリット
元本保証型商品とは、運用期間中に元本が毀損しないことが約束された商品です。代表的なものとして、DC専用の定期預金や元本確保型の生命保険商品が挙げられます。
メリットは、相場変動の影響を受けず、精神的に安心して運用を続けられる点です。特に運用開始直後や、退職が近い方にとっては資産を守るうえで有効な選択肢です。
デメリットは、インフレ率や長期的な物価上昇に対して、実質的な資産価値が目減りしやすい点です。名目上の元本は守られていても、購買力という観点では損をしている可能性があります。

「損をしたくない」が生む機会損失
DC運用は原則として60歳まで引き出せないため、20〜30年という長い時間軸で資産を増やせる絶好の機会です。この長期間において、元本保証型だけで運用した場合と、株式・債券を組み合わせたバランス運用をした場合では、最終的な資産額に大きな差が生じることがあります。
たとえば、毎月の掛金を全額定期預金に充てた場合、元本はほぼそのまま積み上がりますが、複利効果はほとんど期待できません。一方、国内外の株式や債券に分散投資した場合は短期的な価格変動はあるものの、長期的には高い収益を得られる可能性があります。
「損をしたくない」という気持ちは自然ですが、行動しないことによる機会損失もリスクのひとつです。

金利上昇局面で元本保証型はどう変わる?
2024年以降、日本銀行は政策金利の引き上げに踏み切り、2026年現在も緩やかな金利上昇局面が続いています。この環境の変化は、元本保証型商品にも影響を与えています。
定期預金の金利は以前に比べてやや改善されており、元本保証型の「ほぼゼロ金利」という状況は変わりつつあります。ただし、それでも長期の期待リターンとしてはリスク資産(株式など)には及ばないケースが多いです。
一方で注意が必要なのは、既存の長期固定型保険商品です。金利上昇局面では、固定された低利率の商品を長期保有することで相対的に不利になるケースもあります。DC加入者は定期的に商品ラインアップと自身のポートフォリオを見直すことが重要です。

年代別・リスク許容度別のおすすめ配分
DCの資産配分は、年齢やリスク許容度によって異なります。以下はあくまで一般的な目安です。
- 20〜30代:投資期間が長いため、株式比率を高め(50〜70%程度)に設定し、長期の複利効果を狙う配分が考えられます。元本保証型は10〜20%程度に留める方も多いです。
- 40代:株式と債券のバランス型(各40〜50%)を中心に、元本保証型を20〜30%程度組み合わせるイメージです。
- 50代以降:退職が近づくにつれ、元本保証型の比率を高めてリスクを抑える「グライドパス」的な調整が有効です。ただし、60歳以降も運用を継続できる制度設計も活用できます。
なお、最終的な判断はご自身の家計状況や退職後の収入見通しも踏まえて行うことが大切です。
元本保証型を組み合わせるベストな使い方
元本保証型商品を完全に排除する必要はありません。ポートフォリオの「安定の核」として位置づけ、リスク資産と組み合わせることが賢明です。
たとえば、「生活防衛資金の一部をDCの元本保証型で確保しつつ、残りは分散投資する」という考え方は、精神的な安心感と資産成長の両立を図るうえで有効です。また、相場が大きく下落した局面では、元本保証型に一時的に資産を移すことで損失を限定する使い方もあります。
SBIぷらす年金プラン(SBIベネフィット・システムズとの共同開発)では、元本保証型を含む多彩な商品ラインアップの中から、加入者が自分のリスク許容度に合わせて柔軟に配分を選べる仕組みを提供しています。現在1,300社以上の企業に導入実績があり、選択制DCとして導入すれば会社の新たな掛金負担なしで従業員の資産形成をサポートできる点も注目されています。

FAQ
Q1. 元本保証型だけで運用していれば、老後に損することはないですか?
A. 名目上の元本は守られますが、インフレによる物価上昇が続いた場合、実質的な購買力は低下します。20〜30年という長期では、その差が大きくなる可能性があります。元本保証型だけに頼るのではなく、一定のリスク資産を組み合わせることも検討してみてください。
Q2. 金利が上がったので定期預金だけに切り替えようと思っていますが、どうでしょうか?
A. 金利上昇で定期預金の魅力は増していますが、それでも長期的な資産形成の観点では、株式や債券との組み合わせが有効なケースが多いです。全額を定期預金に切り替える前に、ご自身の投資期間とリスク許容度を改めて確認することをお勧めします。
Q3. DCの商品を途中で変更できますか?
A. はい、企業型DCでは「スイッチング(過去の積立分の変更)」と「配分変更(今後の積立分の変更)」の2種類の変更が可能です。加入している制度の規約に基づいて、定期的に見直すことができます。
Q4. 選択制DCとは何ですか?会社に費用がかかりますか?
A. 選択制DCとは、従業員が給与の一部をDCの掛金として拠出するかどうかを選択できる制度です。会社が新たに掛金を拠出するわけではないため、会社側の新たな掛金負担なしで導入できるのが特徴です。従業員にとっては掛金が所得控除の対象となる税制メリットがあります。
まとめ+CTA
企業型DCにおいて元本保証型商品は「安心感」を与えてくれる存在ですが、長期運用においては機会損失やインフレリスクも伴います。金利上昇局面の今こそ、ご自身のポートフォリオを見直し、元本保証型とリスク資産のバランスを再確認する絶好のタイミングです。
どのような配分が自分に合っているか迷われている方は、専門家への相談をご活用ください。NDCセンターでは、Zoomを活用したオンライン全国対応の無料相談(60分)を提供しています。企業型DCの導入から運用見直しまで、幅広くサポートいたします。





