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企業型DCと退職金は両方持てる?併用パターン別に徹底解説

企業型DCと退職金は両方持てる?併用パターン別に徹底解説

「今ある退職金制度に加えて企業型DCを導入したい」「どちらか一方に絞った方がよいのか」——そのような疑問を持つ経営者・人事担当者の方は多いと思います。結論として、企業型DCと退職金制度は併用が可能です。ただし、税制上の注意点や組み合わせのパターンによってメリットが異なります。本記事では、代表的な3つの併用パターンと税制上のポイントを詳しく解説します。

株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員  企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕

  • DCプランナー2級
  • AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
  • 企業年金管理士
  • 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
  • 情報セキュリティマネジメント試験合格
  • 知的財産管理技能検定3級
  • グーグルデジタルワークショップ修了
  • 給与計算実務能力検定2級

▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center

NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

① 企業型DCと退職金は併用できる

企業型DC(確定拠出年金)と退職金制度(退職一時金)は、法律上の制限なく同時に運用することができます。実際、大企業では両制度を組み合わせて運用するケースが多く、中小企業でもこのスキームを活用する事例が増えています。

ただし、退職時に受け取る金額の合計が大きくなると、税制上の「退職所得控除」の枠を超えるケースもあるため、事前に設計段階で確認しておくことが重要です。

② 主な3つの併用パターン

パターン1:退職一時金制度+企業型DC(上乗せ型)

既存の退職金制度を維持しながら、企業型DCを新たに追加する最もシンプルな方法です。退職金は従来通り一時金で受け取り、企業型DCは別途、年金形式または一時金で受け取ります。

メリット

  • 既存制度を大きく変えずに企業型DCを導入できる
  • 従業員の老後資産の充実が図れる

注意点

  • 退職時に両方の一時金が重なると退職所得控除の枠を超える可能性がある

パターン2:退職金の一部をDCに移行(ポータブル型)

退職金原資の一部を企業型DCに振り替える方法です。「退職金を減らす代わりにDCの掛金を増やす」という形で、会社の退職金コストを平準化できます。

メリット

  • 会社にとって退職金の積立負担が軽減される
  • 従業員は自分で運用方針を選べるため、資産形成の自律性が高まる

注意点

  • 従業員への説明と同意が必要。制度変更時は労使合意が必須

パターン3:選択制DC(給与・賞与の一部をDCへ)

従業員が毎月の給与または賞与の一部を企業型DCの掛金として拠出する仕組みです。会社が新たな掛金負担を負わずに制度を導入できることが最大の特徴です。

メリット

  • 会社の新たな掛金負担がゼロで導入できる
  • 従業員が拠出した金額には税制上の優遇措置(所得税・住民税の軽減など)が適用されるため、効率的な老後資産形成が可能

注意点

  • 従業員の手取り額が一時的に変動するため、丁寧な説明が必要

③ 退職所得控除の活用と注意点(2026年改正含む)

退職金や企業型DCの一時金受け取りには「退職所得控除」が適用され、税負担を大幅に軽減できます。

退職所得控除の基本(2026年現在)

勤続年数控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

勤続30年であれば、800万円+70万円×10年=1,500万円が非課税枠となります。

退職金とDC一時金を同年に受け取る場合の注意点

退職金(退職一時金)と企業型DCの一時金を同じ年に受け取る場合、原則として控除枠は1つを共用します(2022年の税制改正以降、5年以内に受け取る場合は控除の重複が制限されます)。

一方、受け取り時期を分散させることで、それぞれの控除枠を活用できる場合があります。具体的な節税シミュレーションについては、税理士や専門家にご相談ください。

2026年の法改正について

2026年現在、退職所得課税の見直しに関する議論が続いています。長期勤続者優遇の在り方や控除額の上限設定などが検討されており、最新情報は厚生労働省・国税庁のWebサイトでご確認ください。

④ 中小企業に多い中退共との違い・切り替え

中小企業に広く普及している「中小企業退職金共済(中退共)」と企業型DCは、目的は似ていますが仕組みが大きく異なります。

項目中退共企業型DC
運用主体国(独立行政法人)従業員自身
掛金負担事業主のみ事業主(選択制なら従業員も可)
受取形式一時金のみ一時金・年金・両者の組み合わせ
税制メリット法人税の損金算入損金算入+従業員の税優遇
加入対象中小企業に限定規模問わず
投資教育義務なしあり

中退共から企業型DCへの切り替えは可能です。中退共の解約金を企業型DCの原資に充当することもできますが、解約時に税務上の処理が発生するため、専門家との事前相談をお勧めします。

⑤ FAQ

Q. 退職金制度がなくても企業型DCは導入できますか?

A. はい、退職金制度がない会社でも企業型DCを新たに導入できます。退職金制度の代わりに企業型DCを設ける会社も多くあります。

Q. 中退共と企業型DCは同時に持てますか?

A. 原則として同時加入も可能ですが、企業型DCの掛金拠出限度額との関係から実務上の調整が必要です。詳細は専門家にご相談ください。

Q. 退職一時金とDCの一時金、受け取り順序に決まりはありますか?

A. 法律上の順序は定められていませんが、退職所得控除の活用という観点から、受け取り時期を戦略的に分けることが節税につながる場合があります。

Q. 選択制DCは会社のコスト負担がないと聞きましたが本当ですか?

A. はい、選択制DCは従業員が自分の給与・賞与の一部を掛金として拠出する仕組みのため、会社に新たな掛金負担は発生しません。財務面の負担を最小限に抑えながら、従業員の福利厚生を充実させたい中小企業にとって非常に適した制度です。

Q. 従業員が少ない会社でも企業型DCは導入できますか?

A. 従業員数の下限はありません。1人でも加入者がいれば規約を作成して導入できます。(株)日本企業型確定拠出年金センターでは、少人数の中小企業への導入支援も数多く行っており、1,300社以上の実績があります。

⑥ まとめ

  • 企業型DCと退職金制度の併用は法律上問題なく可能
  • 「上乗せ型」「一部移行型」「選択制DC」の3パターンから自社に合った形を選ぶ
  • 退職所得控除の枠を意識した受け取り設計が節税のカギ
  • 中退共からのリプレイスも選択肢の一つ

退職金制度と企業型DCの最適な組み合わせは、会社の規模・資金状況・従業員構成によって異なります。設計段階から専門家のサポートを受けることで、会社・従業員双方にとってメリットのある制度設計が可能です。

(株)日本企業型確定拠出年金センターでは、SBIベネフィット・システムズと共同開発した「SBIぷらす年金プラン」をベースに、退職金制度との最適な組み合わせをご提案しています。オンライン全国対応の無料相談(Zoom 60分)を随時受け付けていますので、お気軽にご活用ください。

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