【2025年11月最新情報】確定拠出年金(DC・iDeCo)制度の今後の改正議論と見通し 2025.11.04 確定拠出年金制度は、老後資産形成の柱として、2022年にも大規模な法改正が施行されるなど、継続的に見直しが検討されています。 この見直しは、厚生労働省を中心に進められており、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員だけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用している、あるいは検討している多くの人に関わる重要な議論です。将来的に、拠出できる金額の上限や加入期間が見直され、より柔軟な資産形成が可能になる可能性があります。 本記事では、2025年11月現在、今後の年金制度改正の議論で浮上している主な検討事項や、私たちがどのように備えるべきかを解説します。 目次1. 今後の制度改正で検討されている主な議論の方向性1. 【企業型DC】マッチング拠出の上限額の柔軟化2. 【企業型DC・iDeCo共通】iDeCoの拠出限度額の算定方法の見直し3. 【iDeCo】加入できる年齢の上限のさらなる延長2. 今後の制度見直しが会社員や加入者個人に与える影響将来受け取れる年金額を増やしやすくなる見込み企業型DCとiDeCoの併用がより実用的になる3. 今後の制度改正に向けて今から準備すべきこと自身の加入状況と拠出可能額を正確に把握する勤務先の退職給付制度に関する規約をチェックする今後のライフプランに合わせて掛金額の見直しを検討する4. 老後資産形成は企業型DCがおすすめ役員は事業主掛金として全額損金で積み立て可能社会保険料の負担軽減が期待できる(選択制DCの場合)希望者だけ加入ができる柔軟な導入形態5. まとめ 1. 今後の制度改正で検討されている主な議論の方向性 日本の年金制度改革は、高齢期の多様な働き方や長期化する人生設計に対応するため、継続的に進められています。 確定拠出年金制度においても、以下の点が今後の改正に向けた主要な検討課題となっています。 1. 【企業型DC】マッチング拠出の上限額の柔軟化 企業型DCのマッチング拠出とは、会社が拠出する掛金に加えて、加入者自身が掛金を上乗せできる仕組みです。 現行制度では、「加入者自身の掛金額が会社の掛金額を超えてはならない」という上限が設けられています。 今後の制度改正の議論では、この上限を柔軟化・撤廃し、会社の掛金額にかかわらず、加入者が法令上の拠出限度額の範囲内まで掛金を設定できるようにすべきという方向性が議論されています。 これが実現すれば、これまで会社の掛金が少額だったために自身の拠出額も制限されていた人も、より積極的に企業型DCを活用して積立額を増やせるようになります。 2. 【企業型DC・iDeCo共通】iDeCoの拠出限度額の算定方法の見直し 企業型DCとiDeCoを併用する場合、毎月の掛金として拠出できる上限額の計算方法の明確化が検討されています。 現行制度では、企業型DCに加入している人のiDeCoの掛金上限は、他の企業年金(確定給付企業年金など)の加入状況に応じて月額2万円または1.2万円(または2万円から確定給付年金等の掛金相当額を引いた額)に制限されています。 今後の改正では、この一律の上限が撤廃され、「各月の拠出限度額から企業型DCの事業主掛金を差し引いた残りの金額」をiDeCoの掛金の上限として拠出できるよう、計算方法をより明確に、かつ柔軟にする方向で議論が進む見通しです。 これにより、企業型DCの事業主掛金額が少ない人は、iDeCoでより多くの金額を拠出できるようになり、制度間の配分を柔軟に決められるようになる可能性があります。 将来的な見直しにおいては、iDeCoの掛金上限を、個人拠出枠全体の拠出限度額(月額5.5万円または2.75万円)から、勤務先の確定給付企業年金等の掛金相当額と企業型DCの事業主掛金額を差し引いた「残りの金額」を上限とするなど、より柔軟な設定が可能となる方向で議論されています。 3. 【iDeCo】加入できる年齢の上限のさらなる延長 iDeCoに加入できる年齢の上限について、現行の65歳未満からさらなる引き上げ(例:70歳未満)が、今後の年金制度改正の議論において検討されています。 iDeCoの加入可能年齢は2017年に60歳未満から65歳未満へ引き上げられた経緯があり、今回の議論は、高齢期の就労が多様化する社会情勢を反映したものです。 コンサルタント石黒これが実現すれば、国民年金の被保険者であれば、65歳以降も働きながらiDeCoで掛金を拠出し、より長期間にわたって掛金の所得控除という税制上のメリットを受けながら、資産形成を続けられるようになります。 2. 今後の制度見直しが会社員や加入者個人に与える影響 今後の制度見直しに向けた議論の方向性は、会社員や確定拠出年金の加入者にとって、老後資産形成の選択肢を大きく広げるものです。 拠出限度額の柔軟化や加入期間の延長が実現すれば、個々人のライフプランや経済状況に応じた、より主体的で効果的な資産形成を後押しすることになります。 将来受け取れる年金額を増やしやすくなる見込み マッチング拠出の上限柔軟化や企業型DCとiDeCoを併用する際の拠出枠の明確化により、加入者は拠出できる掛金の選択肢が広がり、将来受け取れる年金額を増やしやすくなることが期待されます。 これまでよりも多くの資金を非課税の恩恵を受けながら積み立てることが可能となり、長期的な運用による複利効果も大きくなります。 企業型DCとiDeCoの併用がより実用的になる 現在の制度でも併用は可能ですが、今後の見直しにより、企業型DCとiDeCoの併用がより実用的になる見込みです。拠出限度額の配分が柔軟になることで、個人の判断でiDeCoの比重を高めることが可能になります。 コンサルタント石黒例えば、勤務先の企業型DCの商品ラインナップに魅力を感じない場合でも、iDeCoで自分が運用したい商品を選んで積極的に資産を増やすといった選択がしやすくなり、確定拠出年金制度全体の使い勝手が向上します。 3. 今後の制度改正に向けて今から準備すべきこと 2024年12月に制度改正の議論が加速して以降、将来的なメリットを活用するための準備は待ったなしです。 今のうちから準備を始めることが重要です。まずは自身の加入状況や勤務先の制度を正確に把握し、その上で改正後にどのような選択肢が生まれるのかを理解しておく必要があります。 自身の加入状況と拠出可能額を正確に把握する 法改正に備える第一歩として、自身の確定拠出年金の加入状況を正確に把握することが不可欠です。 ・自分が企業型DCのみに加入しているのか、iDeCoも併用しているのか。 ・毎月の事業主掛金額と自身が拠出している掛金額(マッチング拠出やiDeCo)はいくらか。 これらの情報を把握することで、将来的に制度が変わった際に自分がいくらまで拠出額を増やせるのか、具体的なシミュレーションが可能になります。 勤務先の退職給付制度に関する規約をチェックする 企業型DCの拠出限度額は、勤務先が導入している他の退職給付制度(確定給付企業年金など)の有無によって変わるため、自社の制度を理解することが重要です。 就業規則や退職金・企業年金規約を確認し、特に会社がマッチング拠出制度を導入しているか、iDeCoへの加入に関する規約はどうなっているかといった点を正確に把握しておきましょう。 今後のライフプランに合わせて掛金額の見直しを検討する 拠出の自由度が増す可能性を見据え、自身のライフプランに合わせた掛金額の見直しを検討することが重要です。 今後の収入の見通しや、住宅購入、子どもの教育費といった大きな支出の計画を考慮に入れ、無理なく継続できる掛金額を設定しましょう。 コンサルタント石黒掛金は原則として60歳まで引き出せない資金であるため、長期的な視点で慎重に検討する必要があります。 4. 老後資産形成は企業型DCがおすすめ 個人の利便性が向上する方向で議論が進む確定拠出年金ですが、特に企業型DCは、従業員だけでなく導入する企業側にも大きなメリットがある制度です。 役員は事業主掛金として全額損金で積み立て可能 企業型DCは、従業員だけでなく役員も加入でき、経営者にとって大きなメリットがあります。 会社(事業主)が拠出する掛金は、役員報酬の適正額の範囲内で、全額を法人の経費(損金)として計上することが可能です。 これにより、法人の税負担を抑えながら役員個人の老後資産を形成できます。これは、役員退職慰労金の準備としても有効な手段となります。 > なお、役員個人が拠出するマッチング拠出やiDeCoの掛金は、会社の損金にはなりません。 社会保険料の負担軽減が期待できる(選択制DCの場合) 給与の一部を原資として掛金を拠出する「選択制DC」を導入した場合、企業と従業員の双方で社会保険料の負担を軽減できる可能性があります。 掛金として拠出した分は、厚生年金保険法上の報酬(標準報酬月額の算定基礎)には算入されません。これにより、労使双方の社会保険料負担が軽減される効果が期待できます。 【留意点】 社会保険料の算定基礎額が下がることは、将来受け取る厚生年金や傷病手当金、失業手当などの給付額にも影響するため、従業員への十分な説明と理解が不可欠です。 希望者だけ加入ができる柔軟な導入形態 企業型DCには、全従業員が一律に加入するだけでなく、加入を希望する従業員だけが参加できる選択制という柔軟な導入形態があります。 コンサルタント石黒企業側にとっては、新たな資金負担なしで制度を導入できる場合も多く、従業員の多様なニーズに応えながら、福利厚生を手厚くする手段として取り入れやすい点が魅力です。 5. まとめ 確定拠出年金制度の今後の改正議論は、拠出限度額の柔軟化や加入可能年齢の延長など、個人の老後資産形成における自由度を大きく高める方向で進んでいます。 特に企業型DC加入者にとっては、マッチング拠出やiDeCoとの併用がより活用しやすくなります。 この機会を最大限に生かすためには、今のうちから自身の加入状況や勤務先の制度を確認し、今後のライフプランに合わせた掛金の見直しを検討しておくことが重要です。 制度の変更点を正しく理解し、主体的に活用することで、より豊かな老後生活の実現に繋がります。 お問合せ・ご相談はこちら お気軽にお問合せください 営業時間:9:00〜17:00休業日:土曜・日曜・祝日 お電話でのお問い合わせはこちらTEL:050-3645-9040※導入に関するご相談を承っております。個人の方の質問はお答えできませんのでご了承ください。 確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の目標額はいく...