企業型確定拠出年金（企業型DC）は中小企業におすすめ！
仕組みやメリット・デメリットを徹底解説

企業型確定拠出年金は、中小企業経営者や従業員にとって魅力的な退職金制度です。
月々の拠出額を企業が決定し、従業員が資産運用しながら計画的に老後資産を用意できるメリットがあります。企業型確定拠出年金は、従業員だけでなく役員も加入できます。
役員が自分一人だけの企業でも導入できるため、事業主自身が退職金を用意することも可能です。
また、企業型確定拠出年金には税制優遇措置があります。運用益が非課税となるため、加入者は効率よく老後資産を用意できます。
ただし、選択する運用商品は従業員の決定に委ねられるため、運用リスクは加入者個人が負う点に留意しましょう。

最近では中小企業でも企業型確定拠出年金を導入するケースが増えており、特に福利厚生の一環として役立っています。
この制度を採用することで、企業側は従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保にも寄与できます。
また、社会保険料の負担を軽減する手段としても利用されることが多いです。特に選択制確定拠出年金制度を導入すれば、従業員が加入するかどうかを選ぶことができるため、企業は掛金の負担を抑えつつ、福利厚生を充実させることが可能です。
こういった背景から、企業型確定拠出年金は今後ますます重要な制度として注目されるでしょう。

中小企業が企業型確定拠出年金を導入するメリットをおさらいしてみましょう。中小企業が福利厚生の一環として、企業型確定拠出年金を導入するメリットは大きいです。
企業型確定拠出年金を導入することで福利厚生の充実化を図れるため、働くモチベーションの向上が期待できます。老後生活の経済的な不安を軽減できれば、従業員は安心して長く働けるでしょう。
長く働ける環境を整備すれば、離職率の低下につながります。また、競合となる中小企業と差別化できれば優秀な人材採用にもつながる可能性が期待できるでしょう。
中小企業には退職金制度がない企業も多くあることから、企業型確定拠出年金を通じて従業員の退職金を用意するのは有意義です。

企業型確定拠出年金の中でも、従業員ごとに加入するかどうかを判断できる「選択制企業型確定拠出年金」は、事業主による掛金の拠出が発生しません。
財務上の負担を抑えて福利厚生を充実できるメリットがあります。さらに、企業型確定拠出年金は税制面で優遇されており、企業が拠出する掛金は法人の損金として全額算入されるため、税金の軽減にもつながります。
これにより、企業はコストを抑えつつ、従業員への支援を強化することが可能になります。このような制度を導入することで、企業自身の成長にもつながるため、多くの中小企業にとって重要な選択肢となるでしょう。

そして、60歳以上になるまで引き出すことができない制度のため、節税効果を十分に得た上で投資の基本原則（長期・積立・分散）を強制的に行えるため、より良い資産形成をすることが大きなメリットとなります。

企業型確定拠出年金には、企業と従業員の双方に税制面での優遇措置があります。
福利厚生を充実化させるだけでなく、税制優遇を受けながら従業員の老後生活に向けた準備を行える点は企業型確定拠出年金のメリットです。例えば、企業が負担する掛金は全額福利厚生費として法人の経費に算入できるため、法人税に影響が出ます。

また、従業員側も運用益が非課税になるメリットがあります。通常の投資では運用益に対して20.315％の税金が課されることを考えると、企業型確定拠出年金は効率よく運用できることがわかるでしょう。

60歳以降に従業員が企業型確定拠出年金を受け取る際にも、所得控除が適用されます。一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る際には公的年金等控除が適用され、給付金の手取り額を増やせるメリットが期待できます。
さらに、企業が選択制確定拠出年金を導入した場合、従業員が自身の掛金を選択することで、個々のライフプランに合わせた運用が実現でき、さらなる税制面での優遇を享受することも可能です。これにより、企業型確定拠出年金は単なる制度に留まらず、企業全体の競争力を向上させる要素ともなり得ます。

企業型確定拠出年金と同じく従業員の退職金を用意する制度として、中小企業退職金共済制度（中退共）があります。「運用リスクがあるかどうか」が、それぞれの大きな違いです。 

将来受け取れる金額は、運用結果に応じて変動する点が特徴です。一方で、中小企業退職金共済制度で受け取れる退職金は「基本退職金＋付加退職金」となっており、基本的に掛金月額と納付月数に応じて固定的に定められています。

給付金を受け取るタイミングに関しても、企業型確定拠出年金は原則60歳以降であるのに対し、中小企業退職金共済制度は退職時です。年齢的な制限がない点も、相違点として押さえておきましょう。また、中小企業退職金共済制度は、加入が比較的容易で手続きが簡便であることから、小規模な企業でも導入しやすいメリットがあります。

これは、運営資源が限られた中小企業において、選択肢の一つとして評価される要因です。しかし、企業型確定拠出年金は従業員自身が運用を管理し、資産形成の選択肢が広がるため、個々のニーズに合わせた利用ができる利点もあります。
こうした特徴を踏まえると、企業の規模や将来の展望に応じた選択が重要です。

企業型確定拠出年金のデメリットとして挙げられるのが、従業員が運用リスクを負う点です。運営管理機関が取り扱っている金融商品の中から、従業員が自己責任で運用するため、投資に慣れていない従業員の場合は適切な投資判断ができない可能性があります。
預金や保険に投資する「元本確保型商品」を選択すれば、元本割れのリスクを回避できます。しかし、資産がほとんど増えないため運用益が非課税になるメリットを享受できません。
結果的に、従業員が企業型確定拠出年金を有効活用できない可能性がある点に留意する必要があります。さらに、企業型確定拠出年金を導入する際には管理コストや手続きが発生します。社内リソースが限られる中小企業にとって、重い負担となる可能性がゼロではありません。

制度を導入した後は定期的に投資教育を行う必要がある点も、企業にとって負担になりかねません。必要に応じて外部の専門家や金融機関との連携が必要となる点にも注意が必要です。
企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイスせっかくコストや手間をかけて企業型確定拠出年金を導入しても、有効活用されなければ残念な結果に終わってしまいます。
人材獲得で苦労している中小企業ほど、制度の内容を理解して従業員へ丁寧に説明することが大切です。

また、企業型確定拠出年金を導入することで、従業員のモチベーションや満足度向上が期待できる一方で、制度が不十分だと逆に不満を生むことがある点も考慮すべきです。
長期投資は、余剰資金で行うものであるため、目先の給与額面や年収低下に不満を覚える方には向きません。また、運用商品の選択肢が限られる場合、従業員が満足しない可能性があります。

そして、運用結果によっては、退職後に想定していたよりも少ない年金額になるリスクもあります。ここまで記述した内容を重宝される方であれば、デメリットしかないと思われることでしょう。これにより、企業に対する信頼感が損なわれる恐れがあるため、運用に関する透明性を確保し、定期的に運用状況を共有することが重要です。
従業員の理解と納得度を高めるためには、制度導入と同時に十分な情報提供を行う体制を整えることが求められます。これらの点を考慮し、制度を円滑に運営するための方策を検討することが、中小企業にとっての課題となるでしょう。

企業型確定拠出年金と似ている制度に、iDeCo（個人型確定拠出年金）があります。違いをまとめると、以下の表のようになります。

企業型確定拠出年金とiDeCo（個人型確定拠出年金）には、類似点とともに異なる特徴がいくつかあります。特に、税制優遇の面で違いが見られます。
企業型確定拠出年金では、企業が拠出した掛金が全額法人の損金に算入され、加入者も掛金について所得控除を受けることができます。
一方、iDeCoの場合は、個人が掛金を拠出するため、その全額が所得控除の対象となる点が大きな特徴です。

これにより、iDeCoは自己資産形成のための非常に有効な手段となる一方、企業型確定拠出年金は従業員の福利厚生としての役割を強化し、企業全体の人材確保や定着率向上へとつながります。
さらに、iDeCoは自営業者やフリーランスなど、多様な職業の方が利用できるため、個々のライフスタイルに応じた資産形成を実現することが可能です。

この柔軟性は、特にライフステージの変化に対応するために役立ちます。また、iDeCoの平均利回りや資産形成効果は、運用商品の選択によっても大きく異なるため、加入者は自分のリスク許容度や年齢を考慮して慎重に商品選びを行う必要があります。税制面や自身の状況に応じて、どちらの制度がより適しているかを判断することが重要です。
これらの要素を理解した上で、企業は従業員に対して適切な選択肢を提供し、個々の資産形成を支援することが求められます。

企業型確定拠出年金を導入する手順は、大まかに以下のとおりです。

1. 必要書類の準備
2. 年金の制度内容の確定
3. 従業員への説明
4. 労使合意の取得
5. 送付書類の手続き
6. 厚生局へ申請
7. 加入者の登録
8. 制度の開始

企業型確定拠出年金を導入する際には、契約を締結する運営管理機関を選定する必要があります。運営管理機関ごとに用意している金融商品のラインナップが異なるため、確認しておきましょう。

また、運営管理機関の選定にあたっては、手数料の設定や運用実績、サポート体制の充実度も比較検討することが重要です。中小企業の場合は、運用管理にかけるリソースが限られているため、専門的なサポートが受けられる運営管理機関を選ぶと安心です。

企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイスとして、導入後に従業員がそれぞれの運用商品の仕組みや特徴を理解できるよう、定期的な社員向け説明会や教育プログラムを計画することが推奨されます。また、企業型確定拠出年金制度に詳しいプロと相談すると、より適切な運営管理機関の選定や制度設計が図れるでしょう。
導入する制度が決まったら、従業員との同意を取得したうえで、厚生局に申請を行います。申請にあたって就業規則の改訂が必要になるケースがあるため、制度導入に向けた準備も必要となります。

企業型確定拠出年金を導入する過程では、従業員との労使同意を取得する必要があります。もし企業型確定拠出年金に否定的な従業員がいる場合、制度を導入できない可能性があります。
企業型確定拠出年金には元本割れのリスクがあるため、「自分がうまく運用できるかわからない」という不安から、導入に反対する従業員がいるかもしれません。労使同意を得られるか不明な企業におすすめできるのが、選択制企業型確定拠出年金です。

選択制企業型確定拠出年金は「選択制」なので、従業員が各自の判断で加入するかを判断できます。加入を希望する従業員に関しては、企業は掛金を拠出せずに加入者が給与から拠出します。
加入を希望しない従業員に関しては特段何も変更はないため、不利益を被ることがありません。つまり、選択制企業型確定拠出年金は加入を希望する従業員と希望しない従業員にとっても、納得しやすい制度といえます。

制度の導入をスムーズに進めたい場合、選択制企業型確定拠出年金は検討する価値があるのではないでしょうか。企業型確定拠出年金コンサルタントのアドバイスとして、加入者のために教育プログラムや情報提供を行うことも重要です。
従業員が制度の利点を理解し、自信を持って運用商品を選べるようにサポートすることで、制度の受け入れやすさが向上します。
こうした取り組みにより、従業員の満足度を高め、企業全体としての運営が円滑になる効果が期待できるでしょう。

日本企業型確定拠出年金センターが取り扱っている「SBIぷらす年金プラン」は、加入者が1名以上いれば役員だけでも加入可能な選択制企業型確定拠出年金であり、企業規模や従業員数に関係なく導入しやすいメリットがあります。中小企業の事業主の方はぜひ前向きにご検討ください。

※導入に関するご相談を承っております。個人の方の質問はお答えできませんのでご了承ください。