2025年最新版!企業型確定拠出年金(企業型DC)は年末調整が不要?iDeCoとの違いや注意点を解説
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、従業員の将来の資産形成を支援する制度であり、その最大のメリットの一つが税制優遇です。しかし、年末が近づくと「企業型DCは年末調整が必要なのか?」「iDeCoと何が違うのか?」といった疑問が多く寄せられます。
結論から申し上げますと、企業型DCの「事業主掛金」は、年末調整の手続きが一切不要です。
本記事では、なぜ企業型DCは手続きが不要なのかという税制上の根拠、個人型DC(iDeCo)やマッチング拠出を併用している場合の正しい申告方法、さらには2025年(令和7年)の実務で注意すべき点について、実務担当者目線で分かりやすく解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

【動画で解説】企業型DCは年末調整が必要?iDeCoとの違いも解説します!
企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の扱い方や、書類の提出が間に合わなかった場合の対応方法について解説しております。
1. 企業型DCと年末調整:申告が「不要」な本当の理由
多くの従業員様が疑問に思う「企業型DCは年末調整が必要か?」という点について、税制の仕組みから解説します。
なぜ企業型DC(事業主掛金)は年末調整が不要なのか
企業型DCの事業主掛金については、「給与所得」ではないため、従業員が年末調整の申告書を提出する必要はありません。
通常の給与: 所得税・住民税の課税対象(給与所得)
企業型DC(事業主掛金): 福利厚生費などの扱いとなり、給与所得とはみなされない(全額非課税)
掛金が拠出される時点で、すでに「税金の対象外」となっているため、年末調整で計算し直したり、控除を申告したりする必要自体がないのです。これは選択制DCであっても、通常の企業型DCであっても同様の扱いとなります。
マッチング拠出(加入者掛金)がある場合
企業型DC制度導入企業において、従業員が上乗せして拠出する「マッチング拠出」を行っている場合、その「加入者掛金分」は「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象となります。
手続き:通常、マッチング拠出の掛金は毎月の給与から天引きされるため、会社側で金額を把握しています。そのため、iDeCoのように証明書を添付する等の手続きは基本的に不要で、会社側で自動的に年末調整(控除計算)が行われます。
※企業ごとの運用ルールにより異なる場合があるため、詳細は社内規定をご確認ください。
2. iDeCoを利用・併用している場合の年末調整手続き
企業型DCとは異なり、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合は、必ず年末調整での申告が必要です。
iDeCoはなぜ申告が必要なのか
iDeCoの掛金は、個人の口座から引き落とされるため、会社は「誰が・いくら払ったか」を把握できません。また、iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象となります。
そのため、加入者は自ら申告を行わないと、税金の計算上で控除が適用されないことになります。
iDeCoの所得控除の手続きの流れ
iDeCo加入者は、以下の手順で申告を行う必要があります。
①「小規模企業共済等掛金払込証明書」の確認
②10月~11月頃に、国民年金基金連合会から圧着ハガキ等で自宅に届きます。
③「給与所得者の保険料控除申告書」の記入
④申告書の右下にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、証明書に記載された年間の払込金額(予定額含む)を記入します。
⑤証明書を添付して会社へ提出
⑥証明書の原本を申告書に添付し、期限内に提出します。
【重要】手続きを忘れた場合のリスク この手続きを忘れると、iDeCoの掛金に対する所得控除自体が受けられなくなります。その結果、本来であれば非課税となる所得に対して税金がかかってしまいます。(※万が一忘れた場合は、個人で確定申告を行うことで還付を受けられます)。
3. 企業型DCの掛金の基本とメリット
企業型DCの掛金には、「事業主掛金」と「加入者掛金(マッチング拠出)」の2種類がありますが、それぞれの税制メリットを整理します。
4. 2025年(令和7年)年末調整の実務上の注意点
2025年(令和7年)の年末調整においては、企業型DCの手続き自体に大きな変更はありませんが、実務担当者は以下の点に留意して案内を行う必要があります。
企業型DCにおける実務上の注意点
証明書の有無: 企業型DCの事業主掛金については、控除証明書は発行されません。従業員から「証明書がない」と問い合わせがあった場合、「企業型DC(会社負担分)は証明書不要、iDeCoのみ必要」と明確に案内してください。
源泉徴収票の記載: 企業型DCの事業主掛金分は、源泉徴収票の「支払金額」には含まれません。
2025年(令和7年)の税制改正で注意すべき点
今年の年末調整で特に影響が大きいのは、以下の所得要件の変更です。
| 控除の種類 | 変更前(令和6年まで) | 変更後(令和7年から) |
| 扶養控除 | 合計所得金額要件:48万円以下 | 合計所得金額要件:58万円以下 |
| 配偶者控除 | 合計所得金額要件:48万円以下 | 合計所得金額要件:58万円以下 |
扶養控除・配偶者控除の対象となる給与収入の要件が、「年収103万円以下」から「年収123万円以下」(123万円-給与所得控除65万円=所得58万円)に緩和されます。
担当者は、従業員から提出される「扶養控除等申告書」に記載された扶養親族や配偶者の「所得の見積額」が、この新しい基準に基づいているかを正確に確認することが重要です。
5. まとめ:正しい知識でスムーズな年末調整を
企業型DCとiDeCoは、どちらも老後資産形成の柱ですが、年末調整における扱いは大きく異なります。
・企業型DC(事業主掛金): 給与所得ではないため、申告等の手続きは不要。
・iDeCo: 小規模企業共済等掛金控除を受けるため、必ず証明書の提出が必要。
・人事・給与担当者様は、iDeCo併用者への注意喚起と、今後の税制改正の動向への対応準備を進めましょう。
日本企業型確定拠出年金センターでは、企業担当者のみなさまに、制度導入から運営までサポートさせていただきます。選択制とマッチング拠出の違いについても詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。
よくある質問
Q 会社が支払った掛金は、税金対策になりますか?
A はい、会社が拠出した掛金は全額損金として計上できるため、法人税の節税効果が見込めます。
Q 従業員が個人的にiDeCoをやっている場合、会社はどうすれば良いですか?
A 年末調整での処理が必要です。 iDeCoは会社が掛金を把握できないため、従業員から「払込証明書」を提出してもらい、控除の手続きを行う必要があります。
Q 2025年(令和7年)の年末調整で、気をつける点は?
A 「扶養の壁」の金額変更です。税制改正により、配偶者控除などの年収要件が103万円から123万円に引き上げられます。
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