こどもNISAとは?企業型DCも活用して効率よく資産形成する方法
子育て世帯にとって、避けては通れないのが「教育資金」の準備です。かつて人気を博した「ジュニアNISA」が2023年末で終了し、現在は「こども版」の非課税制度がない状態となっています。
しかし今、政府の「こども未来戦略」に基づき、2026年以降の創設を目指す新たな「通称:こどもNISA(以下こどもNISA)」が大きな注目を集めています。
本記事では、新制度の最新情報と、企業型DC(企業型確定拠出年金)を活用した賢い資産形成術を解説します。
この記事の監修
株式会社日本企業型確定拠出年金センター
執行役員 企業型DC導入支援グループマネージャー
石黒充顕
- DCプランナー2級
- AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 企業年金管理士
- 確定拠出年金ガイド(SBI Benefit Systems認定資格)
- 情報セキュリティマネジメント試験合格
- 知的財産管理技能検定3級
- グーグルデジタルワークショップ修了
- 給与計算実務能力検定2級
日本企業型確定拠出年金センターの立ち上げから事業化に関わり、自身も400社以上の企業に企業型DCを導入している。商工会議所や工事組合をはじめ多数の税理士法人で職員向け及び顧客向けにセミナーを実施している。
自身の出演するYouTube『DCチャンネル』は専門チャンネルでありながら1万人を超える登録者を誇っている。
▶DCチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/@ndc-center
NewsPicksやヒロ税理士、マキノヤ先生など動画出演も多数している。

1. 「こどもNISA」最新情報と検討されている理由
2023年に幕を閉じたジュニアNISAですが、子育て支援の拡充を求める声に応える形で、制度の骨子が固まりました。
新制度の概要と「こども未来戦略」の狙い
政府が掲げる「こども未来戦略」では、次元の異なる少子化対策の一環として、あらゆる世代の長期・安定的な資産形成の支援を図ることが明記されました。
背景には、物価高騰や教育費の上昇があり、「貯蓄から投資へ」の流れを次世代にも波及させたいという狙いが考えられます。
新制度は、現行のNISAの仕組みをベースに、未成年者が利用しやすい形にカスタマイズされる方針です。
旧制度の課題だった「18歳払い出し制限」は撤廃されるのか
旧ジュニアNISAの最大のデメリットは、「原則18歳まで引き出しができない」という制限でした。
これが利用のハードルを上げていたことから、新制度では「12歳以降での柔軟な引き出し」が盛り込まれました。(2025年12月時点)
これにより、大学入学時だけでなく、高校入学や急な教育費の発生にも対応できる「使い勝手の良い制度」への進化が期待されています。
新NISAの仕組みを引き継ぐ?非課税期間と投資枠の最新情報
こどもNISAでは、以下の点がポイントになると考えられています。
| 項目 | 旧ジュニアNISA | 新「こどもNISA」 |
| 非課税保有限度額 | 400万円 | 600万円 |
| 年間投資枠 | 80万円 | 60万円(5万円/月) |
| 対象年齢 | 0歳〜17歳 | 0歳〜17歳 |
| 払い出し制限 | 18歳まで原則不可 | 12歳(中学入学)以降は可能 |
2. 「こどもNISA」で教育資金を準備する3つのメリット
教育資金は「いつ、いくら必要か」が明確な資金です。だからこそ、早期からの準備が優位性を生みます。
1. 「0歳から18年」の長期運用で複利の力を最大限に活用できる
投資において「時間」は最大の武器です。0歳から運用を開始すれば、大学進学まで18年間の運用期間を確保できます。
運用益がさらに利益を生む「複利効果」は、期間が長ければ長いほど雪だるま式に膨らみます。
仮に毎月2.5万円を利回り3%で18年間運用した場合、元本540万円に対し、約712万円(+172万円)にまで成長する計算となります。
2. 児童手当を「眠らせず」に教育資金の原資として効率化する
2024年10月から拡充された児童手当ですが、これを普通預金に預ける以外にも、資産運用に回すという方法もあります。
家計に負担をかけない範囲で積み立てることで、効率的に教育資金の形成が期待できます。
3. 親子で「お金」を語るきっかけに!金融教育の生きた教材になる
こどもNISAは、子供自身の名義で運用を行います。 子供が成長した際、一緒に運用状況を確認することで、「社会の仕組み」や「長期投資の大切さ」を教える金融教育の機会とすることができます。
これは、親から子へ贈る「現金以上の価値があるプレゼント」といえるでしょう。
3. 【注意点】こどもNISA開始を待つだけでは不十分な理由とは
「2026年以降に始まってから考えればいい」というスタンスには、見落としがちなリスクが潜んでいます。
2026年以降開始までの「空白の期間」に発生する機会損失
2025年現在から制度開始までにはタイムラグがあります。また、議論が難航し制度開始が延長または廃止される可能性も残されています。
この「空白の期間」に投資を行わないことは、将来の複利効果を失う「機会損失」に繋がります。
大学資金だけじゃない!高校・中学での「教育資金の早期枯渇」への備え
教育資金が必要なのは大学だけではありません。私立中学への進学や、塾代、習い事など、支出のピークは予想より早く訪れることがあります。
「こどもNISA」という一つの財布だけに頼るのではなく、親世代の資産形成とバランスを取ることが重要です。
4. どっちを優先?「親の新NISA」と「こどもNISA」の使い分け
新たな「こどもNISA」が誕生した際、迷うのが「親の枠(1,800万円)を使い切る前でも、子供名義で始めるべきか?」という点です。これは、各家庭の「何を重視するか」によって判断が分かれます。
「親の新NISA」を優先する考え方
中学入学前に塾代や習い事で資金が必要になる可能性があるなら、いつでも解約できる親の名義を優先するのが合理的です。
流動性の減少(12歳までおろせないこと)をリスクと捉えるなら、こちらが安心です。
「こどもNISA」を活用する考え方
「大学資金として絶対に手をつけない」などの理由で強制力を持たせたい場合や、将来的に子供への金融教育を兼ねたい場合には有効です。
また、親の投資枠をすでに使い切っている(あるいは使い切る見込みがある)世帯にとっては、非課税枠をさらに広げられる大きなメリットになります。
結論として、どちらかが絶対的に正しいわけではありません。
「万が一の備え(流動性)」を重視するか、「枠の最大化と教育的価値」を重視するかで、バランスを検討しましょう。
5. 企業型DCを早く始めるメリット
こどもNISAの開始を待つ間、あるいは開始後も並行して活用すべきなのが、企業型DC(企業型確定拠出年金)です。
所得税・住民税の負担軽減が「教育費の原資」を生み出す
企業型DC(選択制)のメリットは、掛金が給与算定対象外となるため、所得税や住民税の負担を軽減できる点です。
運用で資産を増やすのと同時に、毎月の税負担を抑えることで、実質的な「手残り」を増やすことができます。
税負担が軽減されて実質的に手元に残った資金を、将来始まる「こどもNISA」の掛金や、現在の「新NISA」の上乗せ分に充てることが可能です。
投資の「複利効果」を1日でも早く享受できる
投資信託などで資産運用する際、こどもNISAの開始を待つ間に企業型DCを先行して活用することで、複利の恩恵をより長く受けることが期待できます。
開始時期を1年早めるだけでも、数十年後の資産残高に大きな差が生まれる可能性があります。
「老後資金」の目途を立てることで、教育費に注力できる
多くの親が直面するのが、「老後資金も貯めたいが、教育費も不安」という課題です。
企業型DCで「老後のための資金」の積み立てを早めに確立しておくことで、以下のような心理的・資金的なメリットが生まれます。
・目的の明確化:老後は「企業型DC」、教育費は「こどもNISA」「新NISA」と役割を分担できます。
・リスク許容度の向上:老後の土台が固まっていく安心感があるからこそ、子供の教育資金運用で一歩踏み込んだ投資判断ができる可能性があります。
ライフステージに合わせて「掛金」を柔軟に変更できる(選択制DCの強み)
「選択制DC」は、従業員が給与の一部を掛金にするか、給与として受け取るかを自分で選択できる制度です。
「今は子供が小さく教育費がかからないので、企業型DCに多めに配分する」「こどもNISAが始まったら、その分バランスを調整する」といった、ライフステージに応じた柔軟な掛金設定が可能です。
6. まとめ
2026年以降に施行予定の「こどもNISA」は、子育て世帯にとって大きな追い風となります。しかし、制度の開始を待つことだけが正解ではありません。
家計のキャッシュフローを可視化し「投資に回せる資金」を明確にし、現在の家計で「いくら教育資金に回せるのか」を把握しましょう。
・現在の貯蓄ペース
・親の新NISAの活用状況
・老後資金の準備状況
これらを整理することで、新制度が始まった際にスムーズに利用できる準備が整います。
経営者・企業担当者の方へ
日本企業型確定拠出年金センターでは、経営者・企業担当者のみなさまに、企業型DC導入に関する個別相談を無料で行っています。企業型DCの制度についても詳しくお伝えできますので、ぜひ一度お問合せください。
よくある質問(FAQ)
Q 新しい「こどもNISA」はいつから始まる予定ですか?
A 2026年以降に予定されています。
制度の方向性が決まり、子育て世帯の大きな注目を集めています。
Q 旧ジュニアNISAのように「18歳まで引き出せない」制限はありますか?
A 12歳(中学校入学)までは原則として引き出せません。
旧制度の「18歳まで」から「12歳まで」へと緩和されますが、小学校の間は原則として引き出しができません。
そのため、中学受験費用や小学校時代の急な出費には、他で備える必要があります。
Q 選択制DC(企業型確定拠出年金)がなぜ教育資金づくりに役立つのですか?
A 掛金は給与算定対象外のため、効率的に教育資金の準備ができるためです。
企業型DCを利用すると、掛金は給与算定対象外のため、所得税や住民税が軽減され実質的な手取りが増えます。
その浮いた税金分を「教育資金の原資」として積み立てに回すことができます。
老後資金と教育資金を効率よく準備することができます。
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