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企業型確定拠出年金とiDeCoは併用可能!併用するメリットや注意点を解説
企業型確定拠出年金とiDeCo(個人型確定拠出年金)は併用できます。いずれも、税制優遇を受けながら退職後の老後生活資金を用意できる特徴があります。
両者を併用すれば、効率よく資産形成を行いながら老後資金を用意できるでしょう。しかし、実際に併用する前にメリットや注意点を知っておくと安心です。
今回は、企業型確定拠出年金とiDeCoの違いや併用するメリットなどを解説します。
企業型確定拠出年金とiDeCoは、いずれも老後の資産形成を目的とした年金制度です。まずは、それぞれの違いを確認しましょう。
企業型確定拠出年金 | iDeCo | |
---|---|---|
加入対象者 | 原則として70歳未満の企業の従業員 | 65歳未満の国民年金保険加入者 |
積立期間 | 70歳 まで | 65歳 まで |
掛金を拠出する人 | 企業 | 個人 |
拠出の上限額 | 27,500円または55,000円/月 | 12,000円~68,000円/月(最低拠出額は5,000円) |
手数料の負担 | 企業 | 個人 |
運営管理機関の選定 | 企業 | 個人 |
企業型確定拠出年金の対象となるのは企業の従業員に限られますが、iDeCoに関しては65歳未満の国民年金保険加入者であれば加入できます。
ほかにも、掛金を拠出する人や掛金の上限額、運営管理手数料を負担する人にも違いがあります。
企業型確定拠出年金は、企業が従業員の退職金を用意するために毎月掛金を拠出する企業年金制度です。掛金を拠出するのは企業ですが、運用を行うのは従業員自身です。
なお、企業型確定拠出年金の中には加入するかどうかを従業員が各自判断できる「選択制企業型確定拠出年金」があります。
選択制企業型確定拠出年金では、企業ではなく従業員が掛金を拠出します。毎月受け取る給与から掛金を拠出するため、事業主が掛金を負担する必要はありません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、加入者が自分で掛金を拠出し、資産運用を行う個人向けの確定拠出年金制度です。
企業型確定拠出年金では、企業が契約している運営管理機関(金融機関や保険会社など)が決まっており、従業員が選択することはできません。
しかし、iDeCoは個人型の確定拠出年金として、各加入者が自分にとって使いやすい運営管理機関を選定できます。
ただし、運用している期間中に発生する運営管理手数料は加入者自身が負担する必要があるため、加入者である個人にコスト負担が発生する点に注意しましょう。
企業型確定拠出年金とiDeCoを併用すると、税制優遇を活かして効率よく資産形成を行えるメリットがあります。
以下で、具体的に解説します。
企業型確定拠出年金とiDeCoを併用すれば、それぞれの税制優遇を活用できます。いずれの制度も運用益が非課税で、給付金を受け取る際にも所得控除を受けられます(年金で受け取る場合は公的年金等控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除)。
通常の投資では、運用益に対して約20%が課税されます。例えば、200万円の利益を得たときは約40万円が課税され、手元に残るのは約160万円です。
しかし、企業型確定拠出年金とiDeCoは運用益が非課税なので、利益をそのまま手元に残せます。
通常の投資と比較して20%分効率よく運用できるため、税制優遇を最大限に活用すれば効率よく資産形成を行えるでしょう。コツコツと定期的に掛金を拠出するため、「気付いたら大きな資産が用意できていた」というケースもあり得ます。
企業型確定拠出年金とiDeCoを併用すれば、選択できる運用商品の選択肢が増えます。企業型確定拠出年金では企業が契約している運営管理機関が用意している金融商品から選ぶため、従業員には選択肢に一定の制約があります。
一方で、iDeCoでは個人が利用する運営管理機関を選定できます。複数の選択肢を比較検討したうえで、自分に合っている機関を選択できるため、運用商品の選択肢が広がるでしょう。
企業型確定拠出年金とiDeCoを併用することで、拠出可能枠を最大限に活用できます。企業型確定拠出年金だけで掛金上限額に届かないとき、iDeCoを併用すれば非課税で多くのお金を効率よく運用できます。
なお、企業型確定拠出年金とiDeCoを併用する場合における、iDeCoの掛金上限は以下のとおりです。
「運用益が非課税になるメリットを最大限活かしたい」と考えており、まだ拠出できる余裕がある場合はiDeCoも併用するとよいでしょう。
企業型確定拠出年金とiDeCoを併用するデメリットも存在します。
メリットだけでなくデメリットも認識したうえで、併用すべきか判断しましょう。
企業型確定拠出年金には「マッチング拠出」という制度がありますが、既にマッチング拠出をしている場合はiDeCoとの併用ができません。どちらか選択制になる点は注意しましょう。
マッチング拠出を行ったほうがよいかiDeCoを行ったほうがよいかは、一概には言えません。
iDeCoよりもマッチング拠出が向いている人 | 口座管理手数料を払いたくない人 iDeCoで拠出できる金額が5,000円未満になる人 |
---|---|
マッチング拠出追加よりも iDeCoが向いている人 | 事業主が拠出している掛金が低い人 自分で運営管理機関を選択したい人 |
iDeCoを始める場合は、加入者自身が口座管理手数料を支払う必要があります。コスト負担に対して抵抗を感じる場合は、マッチング拠出が向いています。
また、iDeCoの最低拠出金額は月5,000円となっているため、iDeCoで拠出できる金額が5,000円未満の方は、そもそもiDeCoに加入できません。企業型確定拠出年金で多くの掛金を拠出してもらっている場合、iDeCoに加入できない可能性があります。
iDeCoを始める場合は、自分で運営管理機関を選定し、加入の手続きを行う必要があります。始めるにあたってさまざまな手間が発生する点には注意が必要です。
また、企業型確定拠出年金の運用資産とiDeCoの運用資産を別で管理する必要があるため、管理コストもかかります。企業型確定拠出年金とiDeCoを併用すると、さまざまな手間がかかる点は留意すべきでしょう。
iDeCoでは、加入者自身が口座管理手数をはじめとしたコストを負担する必要があります。
企業型確定拠出年金では企業が手数料を負担してくれますが、iDeCoでは加入者自身がコストを負担しなければなりません。
iDeCoを始めるときには約3,000円の手数料がかかり、運用をしている期間中も口座管理手数料が発生する点に注意しましょう。
企業型確定拠出年金に加入している方がiDeCoと併用する際には、それぞれの制度を有効活用しましょう。
将来の資産形成をより効率的に進めるうえで、退職後の手続きと60歳以降の働き方を考えることが大切になるため、以下で詳しく解説します。
退職後には、6ヶ月以内に企業型確定拠出年金の資産を移管する必要があります。転職先に企業年金制度がある場合は当該企業年金に資産を移管し、企業年金制度がない場合はiDeCoに移管しましょう。
資産を移管する手続きを行わないと、国民年金基金連合会に自動移管され、現金で保管されます。自動移管されている期間中は運用ができないだけでなく、手数料がかかり続けるため、よいことが何もありません。
退職する段階でiDeCoを行っていない場合でも、退職後にiDeCoの口座を開設すれば引き続き運用できます。非課税で運用できるメリットを活かすためにも、退職後は資産の移管手続きを忘れずに行いましょう。
60歳以降も同じ企業で働く場合は、引き続き企業型確定拠出年金に加入できます。ただし、企業によって加入対象者を「正社員のみ」のように制約を設けているケースがあるため、嘱託や短時間勤務になる場合は加入できない可能性があります。
現行制度では、65歳未満の国民年金保険加入者はiDeCoに加入することが可能です。60歳以降に雇用形態が変わったことで企業型確定拠出年金に加入できない場合も、iDeCoに資産を移管して運用を続けるとよいでしょう。
非課税で運用できる点は、企業型確定拠出年金とiDeCoのメリットです。60歳以降も働いて収入を得られれば、受け取らずに運用できる期間を長く確保でき、より効率よく資産を増やせる可能性が生まれるでしょう。
企業型確定拠出年金とiDeCoの併用は、老後資金を効果的に準備するための有力な手段です。事業主の拠出額やマッチング拠出との兼ね合いを考える必要がありますが、可能であれば両者の併用を検討しましょう。
税制優遇制度を最大限活用すれば、効率よく資産形成を行えます。より豊かな老後を実現するうえで、企業型確定拠出年金とiDeCoを併用するメリットは大きいでしょう。
日本企業型確定拠出年金センターでは、企業型確定拠出年金の導入を検討している事業主様をサポートしています。年金制度に詳しいプロの視点から、制度を導入する具体的なメリットをわかりやすく説明するので安心してご利用ください。
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